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捨てられた女  作者: yukko
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2/6

絶望

それからは、どうすれば良いのか分からなかった。

夫が帰って来なくなって、義両親に相談した。


「帰って来ないだとぉ―――!」

「はい。」

「あんた、何をしたんだ!」

「何もしてません。」

「親が居ない子なんかと結婚したのが悪かったのよ。」

「そんな………。」

「妻として支えてなかったからじゃないか?」

「私が至らなかったからだと?」

「そうに決まっている!」

「あの………こちらには連絡がありました?」

「……無い!」

「そうですか……もし、連絡があったら教えて下さい。

 お願いします。」

「………それは、あれの考えによる。」

「そうですか……。」

「あの子が帰って来なければ、あんたのせいだからね。

 絶対に私は許さないんだから!」

「お義母さん。」

「金をくれと言われても渡さないぞ。

 生まれてきた子は女の子だ。跡取りじゃない。」

「本当に役立たずよね。跡取りも産めないなんて!」

「分かりました。助けて頂こうとは思いません。お邪魔しました。」


◇◇◇◇

夫が家を出てから、どのくらい経ったのだろうか。

一通の手紙が届いた。

封を開けると、夫からの手紙だった。


「済まない。

 俺の人生で一番愛した女性が余命宣告を受けた。

 最期の日まで傍に居てやりたい。

 済まない。

 恵子のことは頼む。」


便箋に書かれた文字は、たった、これだけだった。

そして、会社から通達が来た。


「退職により、社宅を月末までに退去して頂きたい。」という内容だった。


夫と暮らしていた家は社宅だった。


「会社を辞めてまで……その女性の所へ行ったのね。

 あ……ははは……捨てられたんだ。私……。

 生まれて間もない娘まで捨てても平気だったんだ。」


貯金通帳を見る。

残高で暮らすしかなかった。

仕事を見つけるまでは………。

乳飲み子を抱えて、どうしたら生きていくことが出来るか――それだけを考えた。

絶望しかなかった。

仕事など見つからないと思った。


「お母ちゃん、頑張るからね。

 泥水を啜っても……育てるからね。」


泣いている我が子を抱き締めながら、そう誓った。


「どんなに苦しくても、食べられなくても、この子だけは飢えさせない。

 私が食べなければいいだけのこと。

 どんな仕事でもする。

 やらなきゃ生きられない。

 この子の為にだけ生きる。

 絶対に……育て上げてみせる。」


そう誓った。

乳飲み子を抱えたまま、社宅を出た。

引っ越し先が決まるまで会社は待ってくれた。

事情を説明して、退去迄の期間を延ばしてくれた。

古いアパートに引っ越した後、職業安定所に通い続けた。

敷金も礼金も、引っ越し代金も全て夫が残した通帳から支払った。

支払ったら残高が不安なほど少なくなった。

退職金も振り込まれているが、年数が短いので定年退職者の金額には遠く及ばない。

通帳を見る度に絶望しか感じられなかった。

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