成人した子ども達
時が過ぎて、娘は高校を卒業し就職した。
息子は大学医学部に進学した。
二人とも全て公立に進学してくれた。
息子は奨学金で大学に進学した。
母親の収入だけでは私立は無理だった。
大学も奨学金が無ければ進学出来なかった。
子ども達に申し訳ないと妻は思い続けている。
「お母ちゃんは高卒で勉強は苦手だった。
恵子も賢一も勉強が出来るのは、お父ちゃんに似てるからよ。」
「そうなの?」
「へぇ~~っ、そうなんだ。」
「お父ちゃん、大卒よ。工学部だったと思うわ。
だから、二人のお祖父さんとお祖母さんにお母ちゃんは嫌われてたの。
色々……あったわね、本当に色々あった。」
「お母ちゃん、結婚式のことだけど。」
「うん、何?」
「バージンロード、お母ちゃんと歩きたいんだ。いいでしょ?」
「お母ちゃんでいいの? お父ちゃんよね。」
「普通の家族だったらね。違うでしょ。」
「あぁ……そうね。」
「でも、一応、お父ちゃんは呼ぶ。」
「えっ? どうしてなんだよ、姉ちゃん。」
「一応、親だから………お父ちゃん、離婚してから会うようになったし。」
「最近な。」
「結婚するって言ったら、一応お祝いくれたのよ。」
「上野君は? 聞いたの?」
「うん、聞いたよ。いいって言ってた。
隅っこの席にするつもり。」
「隅っこか……いいな。っていうか、隅っこの席ってあるのか?」
「考え中。」
「まぁ、上野君と二人で考えてね。二人の結婚式なんだから……。」
「うん!」
娘の結婚式は近い。
息子は大学病院で医師をしている。
いつの日か、お世話になった人達の病気を治せる医者になりたいそうだ。
辛くて苦しい日々だったが、今は穏やかな日々を過ごせている。
幸せだと妻は思った。




