2つの家庭
妻は懸命に働いた。
子どもを一人で育てているが、曾ての社宅の人達の協力が無ければ不可能だった。
誰かが子育てを助けてくれた。
少し大きくなると、社宅の他の子達と息子も遊んで貰えるようになった。
あの頃は、中学生や高校生たちが小さな子達と遊んでくれていた。
長じて子を持った娘も息子も「今の世の中では考えられないことだ。子どもの社会で遊び方も学んだ。」と言っている。
地蔵盆には盆踊り、可愛い浴衣を着た娘と息子が踊った。
◇◇◇◇
元夫からは当初、正月のお年玉と誕生日に現金書留でその都度、送られてきていた。
それが元夫に子どもが出来てからは全く送られて来なくなった。
元夫と再婚相手は1人子どもを授かったが、男子ではなかった。
あれから、年を重ねて元夫は両親と同居したらしい。
それが離婚の引き金になったそうだ。
そちらの子には毎月決まった金額を送っていると聞いた妻は腹が立った。
浮気相手との子には育てる為の金額を僅かでも払いながら、最初の妻で二度も裏切った子どもに対して、全く何もしない父親。
腹が立って仕方なかった。
娘と息子に会いに来たのも最初のうちだけだった。
そのうち、「再婚相手が嫌がるから……。」という手紙が届き、現金書留が届く回数が減り、遂には「子どもが出来たから送れない。」という手紙が来た。
その手紙以降、元夫からの現金書留は届かなくなった。
元夫は遂に娘と息子を捨てた。
妻は許せない!と思った。
◇◇◇◇
元夫と再婚相手は直ぐに子どもを望まなかった。
再婚相手・恵は18歳で結婚した。
大学生になったばかりの恵は「大学卒業後に赤ちゃんを産みたい。」と言った。
友人達には「だって、皆、遊ぶのに、私だけ子育て何て嫌だわ。」と言った。
たまたま、元夫はその本音を聞いた。襖の前で………。
⦅当然だよな……。⦆と思ったが、ショックがなかったとは言い切れない。
大学卒業するまで、家事などは母親が来て行い、恵は友人達との交友に忙しい日々を送った。
大学卒業後、就職せずに専業主婦になった。
それから、子どもを授かった。
それから元夫の両親との同居が始まったが、直ぐに恵は出て行った。
元夫の両親は生まれてきた子が女児だったことにガッカリし、第二子の出産を期待した。
それも、熱烈に……。
元々、恵は同居したくなかった。
それなのに、元夫の一言で決まった。
「恵ちゃんは、何時までお義母さんに頼るのかい?
もう22歳だよね。
一人で出来ないのか?」
家事のほとんどを母親に頼っていた恵は、大学卒業後、就職したくなかったので言うことを聞いて同居した。
恵の母親も、家族を置いて京都で娘と同居するのを続けられなくなっていた。
「お母さんも帰らないといけないから……。」と母親に言われたのが決定打だった。
元夫の両親との同居は恵にとって地獄だった。




