夫の新しい恋
1970年(昭和45年)3月15日(日曜日)から9月13日(日曜日)までの開催された大阪万博。
その頃、夫は京都に居た。
夫の最愛の女性の為に……。
その最愛の女性・恵子の姉の家族が見舞いに京都へ来ていた。
余命宣告を受けた後だから当然のことだった。
その時、夫は姉の家族を大阪万博へ連れて行ったそうだ。
「楽しかったんだ。彼女も連れて行ったんだ。それが最後だったけど、本当に喜んでくれたんだ。」と夫に聞いたのは何時のことだったのか。
その中の一人が、夫の最愛の女性に似ているという。
今の夫の心を掴んで離さないのは、その女性だった。
最愛の女性の姪に当たる女性。
名前は恵。
夫と初めて会った大阪万博の時は、高校生だった。
夫のただ一人の女性・恵子と恵子の姉は15歳年が離れている。
恵子の両親にとって初めての子が恵子の姉で、最後の子が恵子だった。
恵子と恵は叔母と姪だが、年が近かった。
恵は高校を卒業して就職して京都へ来た。
その恵と夫は京都で再会したのだ。
それが二人の始まりだった。
それを知らされたのは、案じて京都にまで来てくれた上司夫婦が来てくれた日だった。
二人が夫に尋ねた。「何があったのか。」と……。
夫はゆっくり、途切れ途切れに話した。
「離婚したいのか?」
「離婚…………。」
「恵子ちゃんが居るんだぞ。」
「……はい。」
「お腹の中に二番目の子が居るんだぞ。」
「……はい。」
「どうするんだ。無責任じゃないか。」
「…………はい、そうですね。でも! 好きになったんです。」
「18の子をか?」
「はい。」
「どこがそんなにいいんだ?」
「似てるんです………恵子に………。」
妻は泣き崩れた。
娘の恵子とお腹の子が不憫だった。




