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魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~  作者: SUN_RISE
第2章:新たなる戦乱の影

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2−17:ダンジョンの厳しい現実


「よし、着いたね、第7階層」


 第6階層をサクッと抜けた僕たちは、無事に第7階層へと下り立つ。ここからバットとコボルドの姿が消え、代わりにゴブリンアーミーとゴブリンアーチャーが出現してくるようになる。

 ……コボルドはともかく、バットが居なくなるのはありがたいな。もう空を気にしなくていいから、注意を向ける方向が少なくて済むね。


 ちなみに、第6階層では合計4回の戦闘が起きた。レッサーインプ1体、レッサーインプ2体、コボルド3体、バット3体の順番で出てきたけど、どれもブロンズゴーレムを前に一撃で沈んでいった。

 そしてラッキーなことに、レッサーインプからキュアポーションⅠを2個も手に入れることができた。在庫数はこれで4個になり、万が一毒ガスの罠を踏んでしまっても全員にキュアポーションⅠが行き渡るようになった。コボルドもポーションを1個ドロップしたし、第6階層ではなかなか悪くない成果を得ることができた。


 ……まあ、ボス部屋を周回した方がずっと実入りが多いんだけどね。ボス周回はゴーレムによるダメージ無視・数の暴力で蹂躙することによって成り立ってるので、誰にでも真似できることじゃない。いわゆる普通の探索者たちは、こうやって地道にドロップアイテムを集めてるんだろうね……。


「少し身構えてたけど、レッサーインプがそこまで強くなくて良かったよ」

「エリオス様、さすがに考え過ぎっすよ。あれはモンスターに置き換えたら、Fランクの雑魚っすからね? スモールボア(Eランク最強格)を圧倒する強さのブロンズゴーレムに、傷1つ付けられるわけがないじゃないっすか」

「……多分ですが、ロックゴーレムでも完封できます。それくらいの実力差がありますね」

「うーん、そうかぁ……」


 ホブゴブリンにロックゴーレムをぶつけて、ややゴーレムが優勢な程度だったからね。あまりロックゴーレムの強さを信用してなかったんだけど……よくよく考えたら、ホブゴブリンってEランクなんだよね。それと戦って優勢なんだから、多勢に無勢でもない限りロックゴーレムがFランクのレムレースに負ける道理が無い。

 ほとんど最初にホブゴブリンと戦ってしまったせいで、僕の中で基準がおかしくなってしまったのかもしれないな。


「でもまあ、安全マージンは十分に取っておいて損は無いからさ。何かあってからじゃ遅いし、これからも安全第一で進んでいこう」

「さすがです、エリオス様!」


 ティアナは手放しで僕を称賛してくれるけど、これって当然のことだからね?

 探索者は、冒険をしてはいけない。これはダンジョン探索で名を馳せた、とある超有名探索者が語った格言なのだから。


「さて、この階層のボス部屋でスモールボア3体と連戦だね」

「その予定っすけど……他の探索者、居ないっすよね?」

「さすがにここは大丈夫じゃないかな?」


 第10階層なら転移装置もあるし、オークに挑戦する人も多いだろうけど……ここは、ハッキリ言って中途半端な場所だ。転移装置から地味に遠く、かつスモールボア自体が手強いわりにドロップ品が美味しくない。スモールボアより弱いホブゴブリンを倒しまくって、確定ドロップするポーションを集めた方がよっぽど稼ぐことができる。

 よって、この辺りのボス部屋で戦う人はまず居ないだろう。さっきのランドルフ殿のパーティや、僕らのパーティがちょっと特殊なだけだ。


「……前方に、レムレース発見。ゴブリンアーミーと、ゴブリンアーチャーです」

「おっ、早速来たね。どれどれ……?」

「ギャ……」

「「ギャギャ!」」


 フランクに言われて、前方を確認する。

 小さな弓を持ったゴブリンが1体と、槍のような武器を持ったゴブリンが2体、僕たちの行く手を塞いでいた。前者がゴブリンアーチャーで、後者がゴブリンアーミーかな?

 ……普通のゴブリンよりは、ちょっとだけ体格が良いかもしれない。でも正直それだけだ。当然だけど、ホブゴブリンには遠く及ばない。


「……まあ、こんなものか。ブロンズゴーレム、行っておいで」

――ガシャガシャ!!

「ギャギャ!?」

――ギギ……

――ヒュッ!


 前衛のブロンズゴーレムを3体、ゴブリン部隊にけしかけてみる。それを見たゴブリンアーチャーが、慌てて矢を放ってきたけど……。


――カンッ

「……エイム力はイマイチだね」


 僕たちの所に矢は届かず、それどころか横の壁に当たって地面に落ちた。いくら焦って放った矢とはいえ、そこまでブレたら脅威になり得ないでしょ……。

 もっとも、まぐれ当たりということもある。遠距離攻撃はそれがあるから怖いのだ。


「「ギャギャ!」」

――ズババッ!

「「ゲブゥッ!?」」

――バタタッ


 一方のアーミーは、素早く迎撃態勢を取ったものの……ブロンズゴーレムに真正面から斬られて、あっさりと地面に倒れ伏した。

 やはり、ホブゴブリンほどではないね。ホブゴブリンなら、もう少しフェイントなりなんなりを入れないと当てさせてもらえないからね……まあ、それでも簡単に引っかかってくれるんだけど。


――ズバッ!

「ギギャッ!?」


 そこからほとんど間を置かず、ゴブリンアーチャーもブロンズゴーレムに斬られて地面に倒れる。

 致命傷を受けた3体は、白い粒子となって地面へと溶けるように消えていき……結局、何もドロップしなかった。


「……うん、大丈夫そうだね」


 ブロンズゴーレムで十分圧倒できる相手だ。油断さえしなければ、そうそう怪我することもなさそうだね。


「さて、と。第7階層は、第2階層と同じ構造だから……」


 途中で3方向に道が分岐して、最後に合流する形だったね。第2階層は左に行くのが正解ルートだったけど、今回はどうかな?


「……今回は右が1番安全そうだね」


 右ルートは罠がほとんど無いので、比較的楽に進めそうだ。逆に左ルートは罠だらけで、真ん中のルートは相変わらず警報の罠があるみたいだ。


「………」


 一瞬、警報罠を踏み続けてレムレースと連戦したら効率が良いのでは、と思ったのだけど……よくよく考えれば、今さらFランクのレムレースと連戦する意味は無い。スモールボアでさえ経験値的にもはや美味しくないのに、それより弱い相手と戦って何になるのだろうか。

 それよりは、さっさとボス部屋に直行した方が遥かに効率的だろう。


「……よし、行こうか」


 全員を引き連れて、先へと進む。余計なことは考えず、予定通りに進んでいこう。






「……ん? またボス部屋に誰か居るね」


 第7階層を抜けてボス部屋に至ると、なんとまた先客が居た。さすがは休養日、珍しいこともあるものだね。

 ……人のことは言えないんだけど、こんな中途半端な場所で何をしてるんだろうか?


「……あ、ちょっとヤバそうっす」


 先にボス部屋の様子を確認しに行ったゼルマが、険しい表情で僕を見る。


「もしかして、劣勢?」

「……はい。探索者側、押されてる?っす」


 僕もゼルマにならって、ボス部屋の扉の前に立つ。そうして、金属製の扉に耳を当てた。


――くそっ、脚を狙えって言ってるだろ!

――分かってるよ! 分かっぐぼぁっ!?

――なっ、エルまで!?

――ちくしょぉっ、フォローに回れ!


 ボス部屋の中から、悲鳴にも似た叫びと怒号が聞こえてくる。脚が弱点なのは分かっているみたいだけど、3体のスモールボアに翻弄されてうまく狙えていないようだ。

 ……そして、少なくとも2人はスモールボアの突進攻撃を食らってしまったらしい。何人でパーティを組んでいるのかは分からないけど、フルメンバーでさえ苦戦する相手に2人もやられてしまえば……その均衡は、一気に崩れる。


――ぎゃあぁぁぁっ!?

――ハイン!? くっ、くそっ!? 2体も3体も変わらねえと思ったのに……ぐげあぁぁぁぁぁぁっ!?!?

――ドシャッ!!

――…………


 壁に何かが……おそらくは探索者の人が叩き付けられたであろう音を最後に、ボス部屋の中は静かになった。そこからしばらく、中の様子を伺っていたけど……結局、人の声が聞こえてくることは2度と無かった。


「全滅してしまったみたいだね……」

「……スモールボア2体相手に楽勝だったから、3体でも楽勝と思い込んだのでしょう」

「その考え方は、ちょっと迂闊だったっすね」

「せめて、魂が偉大なる創造神様の御下(みもと)に参られますよう……」


 しんみりとした空気が辺りに流れる。

 ……そう、ダンジョンは危険な所だ。僕たちも少しでも気を抜けば、ボス部屋の中に居た人たちの後を追うことになってしまうだろう。


 そのことを、改めて認識することができた。


「……あ、扉開くっすね」

「よし、中に入ろう」

――ガシャガシャガシャッ!!


 ブロンズゴーレムを先に入らせて、僕たちも後に続く。そうして扉は開けたまま、辺りを見回せば……先ほどの惨劇の跡は、戦っていた相手(スモールボア3体)と共に綺麗さっぱり消えていた。

 ダンジョンで倒れた探索者は、ダンジョンに吸収されてしまう。その人が持っていた装備品も一緒に、ダンジョンの糧となってしまうのだという。


「……でも、なぜか探索者証だけは残るんだよね」


 ボス部屋に残った、4枚の探索者証を拾い上げる。血がべったり付いたそれらを、僕はマジックバッグに丁寧にしまい込んだ。

 ダンジョンに落ちている探索者証を見つけた場合、なるべくギルドまで持ち帰ることが推奨されている。絶対ではないんだけど、探索者証はその探索者が生きていたことを示す最後の証だからね……僕もそれに(のっと)り、探索者証を持ち帰ることにした。


「さて、僕らは僕らの戦いを始めよう。ゼルマ、扉を閉めてくれ」

「了解っす!」

――バタンッ!


 ボス部屋の扉が閉まり、同時に光の柱が3本立つ。そこに向けて、ブロンズゴーレムを移動させた。

 ……さて、僕らはダンジョンの糧にはならないようにしないとね。



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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