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ゴミクズバイオレット  作者: つかさ
ホビロ村

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10/15

ヴィオレとレドとホビロ村2

 気温も日に日に上がっていき、雪の下から地面が顔を出してきている。

 外に出る機会も増え、エルフの双子を見ても、変な顔をする者はいなくなっていた。


 雪融けに合わせてダストは出発の準備を始めた。春先に毎回訪れる村にとって馴染みの行商人が来たら相乗りさせて貰おうと考えていた。

 今回はダスト一人でタキミに行くため双子はお留守番だ。

 奴隷という事は村の大人達には伝えられているが、これまで奴隷を扱った事などない村だったので、とりあえず他の親がいない子供と同じ様に村全体で面倒を見ていく事になった。

 それでもやはり家が大きく余裕のあるヒューイの家に滞在するのがメインになりそうだ。


「ダスト! ヴィオレとレドを連れていっていい!?」


 ヒューイの家の畑を三人で手伝っていた所、村の子供が声を掛けてきた。

 双子と同年代くらいの、カナンと言う少女だ。後ろにも仲間が控えている。


「んあ? ああ、いいぞ、行ってこい」


 井戸で手を洗った双子を少女達が連れていく。


「早々に馴染んじまったな」


「子供の適応力は無限大って事だ」


 ダストとザックは走り去っていく子供達を見送り、畑仕事を再開したのだった。


 当初初めて見るエルフの子供に村人達は扱いを計りかねていたが、一番最初に動いたのは同年代の子供達だった。

 最初は耳の形や髪の色をからかわれたりする事もあったが、何を言われてもポヤポヤとしている双子を見て世話焼きのカナンを中心としたグループが最初に交流を持った。

 そこからは馴染むのも早いもので、割りと頻繁に引っ張り出されている双子であった。




「ザック、じゃあコイツら頼むわ」


「おお、気をつけろよ! なんかヤバかったらすぐ帰ってこい」


 そして春を迎え、ダストは再度タキミへ旅立つことになった。


「はやく帰ってきてね」


「たくさんお話きかせてね」


「わかったわかった、良い子にしてろよ」


 双子がダストに抱きつく、ダストは頭を撫でてやるでもなく、好きなようにさせていた。

 行商人から声を掛けられ御者台の隣に乗り込む、ノタンまでは乗せて貰いそこからは徒歩でタキミで入る予定だ。


「なんか不思議よね」


「ん、なにがだ?」


 遠くなっていく馬車を見送りながらシーラがボソッと溢した。


「ほら、あんたは昔から仲が良かったけどさ、ダストって口は悪いし理屈っぽい所があると思ったら大雑把だったり……、綺麗好きかと思ったらズボラだし」


「ボロクソ言うじゃねーか」


 ザックはシーラの顔を見るが貶めようとしているわけではないようだ。


「自分が子供の頃から小さい子苦手そうにしてたじゃない? 今だってあの子達のスキンシップに困ってる時があるくらいなのに」


「見てる分には面白いよな、抱き付かれたりしてどうしていいかわからない顔してるアイツは」


 シーラの言わんとしている事を察したザックは視線を移す。

 何時までも馬車を見ている双子がいた。


「あの子達があんなに懐いてるのが本当不思議」


「本当それな、まぁ良い感じならそれで良いじゃねぇか」 





「いやぁ、無料で冒険者に乗って貰えるなんてついてますなぁ」


「あんま期待するなよ、こちとらEランクの糞雑魚ナメクジだぜ?」


「いやいや! 冒険者らしき人物が堂々と乗っているだけで効果はあるんですよ!」


「そんなもんかねぇ、根拠なく堂々とすることに関しては俺の右に出るものはいねぇ、任せな」


 南下する馬車の上、人当たりの良い行商人との会話に適当に合わせながら、ダストは今後の事を考えていた。


 以前の戦闘で虎の子であるスクロールは使い切ったし、補充するにもすぐには元手がない。

 出発前に村で用意できる小細工は尽くしてきたので、とりあえずはタキミで情報収集しそれから考える事とする。


「ホビロの作物は隠れた人気を博してましてねぇ、毎年仕入れに行かせて貰ってるんですよ」


「そうかい、行商人が来るのは村にとっては少ない娯楽だからな、末長く頼むよ」


 晴れ空の下、二人のテンポの良い会話はいつまでも続いた。




「元気……、無いよな?」


「多分……、無いわね」


 ダストが旅立ったその日の夜、マーサの「久しぶりにウチに来なさい」という鶴の一声で、シーラはザックの家で晩御飯をご馳走になっていた。

 前村長夫婦と双子も含め全員で食卓を囲んだが、双子の様子がいつもと違う事に全員気付いていた。

 ヴィオレとレドは同年代の子供と比べてあまり表情がコロコロ変わる方ではないので分かりづらいが、いつもよりも目の光に力が無い気がする。


「ヴィオレ、レド」


 晩餐が終わり食休みでまったりとしているなか、ザックが口を開いた。

 双子はザックに視線を向け、首を傾けている。


「ダストは滅茶苦茶長引いても秋の収穫祭までには一回帰るように言ってる。そんな落ち込むな」


 ザックが慰めるが、頷きはするもののあまり効果は見られなかった。


「昔のダストの話でもして上げればいいんじゃない?」


「「昔のダスト?」」


 見かねたシーラが横から口を挟む、ちなみにシーラは晩餐後帰ろうとしたらマーサに捕まり、結局泊まることになっていた。

 シーラの一言に双子は興味のあまり少しずつ近寄って来ていた。


「あいつの? おまえらはあいつからなんか聞いてるか?」


「親はもういないって言ってた、おそろい」


「おそろい」


 双子の返しになんとも言えない表情をしながらもザックは続ける。


「ほとんど何も言ってないんだなあいつ、まぁいいや、シーラも思い出すの手伝えよ」


 そしてザックはホビロ村のダストという男の過去を話し始めた。

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