第7話 模擬試験
クラス振り分け試験の結果は次の日の9時に塾の1階に張り出されるということだったので、翌日、少し早めに塾に出かけていった。塾についた時、ちょうど扉が開いて、塾の前で待っていた中学生たちが塾の中に入っていった。
塾の廊下の掲示板に張られた紙に、あいうえお順で氏名と振り分けられるクラス名が書かれていた。俺のクラスは残念ながらBクラスだった。こればかりは仕方がない。俺の実力が及ばなかっただけだ。
京子のクラスはやはりAだった。黒ぶち眼鏡の名まえを俺は覚えていないのであいつのクラスは分からなかったが、多分Aクラスなのだろう。考えようによっては、連中と一緒のクラスにならず良かったのかもしれない。
クラス分けを確認し、明日から始まる講習の時間割の書かれたプリントを受け取って塾から出たところで、京子と黒ぶち眼鏡に会った。
「祐介、どうだった? Bクラスくらいには成れた?」
相変わらずの上から目線で俺にそう聞いてきた。隠す必要もないしすぐにわかることなので、
「ああ、Bだった」
「あんたでBならまずまずじゃない。それじゃあね」
京子と黒ぶち眼鏡は二人そろって塾の中に入っていった。
明日から1カ月、俺はわき目もふらず頑張ればいいだけだ。いや、明日から1カ月じゃなくて今日から受験の日まで。そして目指す高校に合格したら大学を目指して。やってやるぞ!
京子と黒ぶち眼鏡に会うたび俺のやる気がリフレッシュされる。二人はある意味俺にとってありがたい存在だ。感謝はしないけどな。
翌日から塾の講習を受けた。講習は午前中は午前9時から各1時間、10分の休憩を挟み3コマあり、12時20分に午前中は終了する。午後の部は13時30分から始まり、同じく3コマで午後4時50分で終了する。
別に親しい者がいるわけでもないので、俺はBクラスの教室で休憩時間中は目を閉じて次の講義を待っている。昼食時には近くのコンビニで適当な物を買って教室で一人で食べた。
授業の内容はそれなりだったし、受験のテクニック的な話も聞けた。良かったのはこれまでしてきた勉強方法を特に改める必要はないことが確認できたことだ。
講習が始まって3日目。
2時限目と3時限目の間の休憩時間中俺はいつも通り目を閉じていたら、
「祐介!」と、俺を呼ぶ京子の声が聞こえた。
目を開けると、京子が教室の中に入ってきて、
「真面目にやってる?」
「ああ」
「ここが、Bクラスか。教室は変わらないんだ」
当たり前だろ。と思ったが口には出さなかった。
「今日は悠二くんがいないから暇なんだ」
悠二くんって誰? どうでもいいが、文脈からして黒ぶち眼鏡のことだろう。
「そう」
「祐介、愛想がないわね」
「ここには勉強しに来てるからな」
「そう。退屈しているだろうと思ってきてあげたのに、いいわ、それじゃあね」
京子はそう言って教室から出て行った。京子自身が退屈していたんだろうなとぼんやり思った。
そんなこともあったがそれ以来京子は俺の教室に来ることもなく、塾の最終日が迫ってきた。
この日は高校受験用の模擬試験だ。俺の志望校は今も変わらずKI高校だ。KI高校は本来中高一貫校なのだが、高校でも募集している。高校の募集人員はかなり少ないので、そうとう狭き門だ。しかし、KI高校で落ちこぼれず授業についていくことができれば、超難関大に合格する可能性はかなり高い。
今回の塾での模試は、志望校の難易度に合わせて試験問題が異なるわけではないので、志望校合格判定はあまり正確ではないだろうがそれでも目安にはなる。
5科目の試験を終えた俺は、筆記用具を筆箱に仕舞って塾を後にした。
自己採点では各教科とも7割から8割がた。この成績が志望校の難易度から言ってどの程度のものなのかはわからない。
夏期講習最終日。模試の結果が帰ってきた。予想通り平均して8割取れていたが、志望校の合格判定はCだった。若干残念だが、まだ時間は十分ある。俺の志望校の場合、国語、数学、英語の比重が高く、理科と社会の比重が低い。今回の模試の結果、平均は8割取れていたが、英語の成績が悪かった。これが足を引っ張ったようだ。英語の場合、とにかく反復が大事と聞いているので、少し勉強法を変える必要があるかもしれない。
夏季講習を終え、2学期が始まった。中学最後の夏休みだったわけだが、日焼けした男子生徒、見違えるように大人びた女子生徒が何人もいた。みんな夏休みをそれなりに過ごしたのだろう。俺は俺、彼らは彼ら。ただそれだけだ。
京子と黒ぶち眼鏡は夏の講習に引き続いて例の進学塾に通っていたようだが、俺は自宅で自習だ。
2学期に入り、体育祭、文化祭と学校の行事をこなしていき、12月に入った。この月の終盤、冬休みに入ってすぐ例の進学塾で高校入試のオープン模擬試験があるというので俺も応募しておいた。前回KI高校の合格判定がCだったが今回は何とかしてB判定をとりたい。先日の面談で担任は俺に公立校進学を勧めたが、俺はKI高校志望だとはっきり言っている。
摸擬試験当日、塾の入り口で京子と黒ぶち眼鏡に遭った。二人とも似たようなコートを着ていた。俺は母さんが買ってくれたジャンパーだ。
今回も5教科で午前3コマ、午後2コマ。途中5分ずつの休憩と昼休みがある。
昼休み時間、コンビニに昼食に何か買おうと廊下に出たら、京子と黒ぶち眼鏡が二人そろって廊下を歩いるところに出くわした。二人はおそろいのセーターを着ていた。いいんじゃないか。ただ、中学生の分際で、セーターをお揃いで買えるということには驚いた。その時はお互いに声をかけることはなかった。
そういったことはあったが、試験も無事終了した。今回は前回よりかなりいい手応えがあった。前回しくじった英語も何とかいけたはずだ。これならB判定、あわよくばA判定がとれるのではと期待してしまった。
模試から4日後。結果が郵送されてきた。
期待半分、不安半分。
レターナイフで封筒を開けて中身を見ると、志望校の合格判定で残念ながらA判定ではなかったが何とかB判定を貰えていた。
一歩前進できた。俺のやる気がまたリフレッシュできた。よーし、やってやるぞ!
俺はその日担任からもらった調査書を添えてKI高校に願書を郵送した。入試まで2カ月を切っている。滑り止めの公立高校への願書も郵送しておいた。
インターネット出願よくわからなかったので、郵送にしました。




