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魔法陣の向こう〜モリーの物語〜  作者: サンガツワサコ


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9/17

過去

プリシア様はヴィンセント様の婚約者だった。


けれど、ドリオレント王子がプリシア様に懸想されて、またヴィンセント様は研究や戦場に行かれることが多く、プリシア様を放って置かれていたこともあってね。ヴィンセント様との婚約をとりやめて王都に居ることが多かったドリオレント様と婚姻されたのだよ。



当時、グレイシア様は弟子としてヴィンセント様の研究室に入られていた。グレイシア様をヴィンセント様の弟子にされるように動かれたのは先王だったが、おそらくはグレイシア様の魔力の質が王家それに近い事に気がついた魔法学校の講師が、先王に進言されたのだろう。

先王が初めからグレイシア様をヴィンセント様の相手にと考えていたかどうかはわからない。しかし、弟子入りしたグレイシアの存在に、プリシア様はひどく警戒されていたというし、ドリオレント王子がプリシア様に懸想されていると聞いて、割とすぐにプリシア様とドリオレント王子の婚姻を認めたという。



ヴィンセント様は、プリシア様について気にされていなかった。あの方の興味は国と魔法陣にしか無かった。そこに、同じ魔法陣を見つめるグレイシア様が加われた。本人たちが特に希望したということはなかったが、王家はそのまま、グレイシア様をヴィンセント様の婚約者とした。


グレイシアの容姿について、あれはヴィンセント様の呪いだと言われている。ヴィンセント様の魔力が、グレイシア様の中に留まり続けているのだと。


陛下はあの魔力は魔法陣に繋がっているとおっしゃっている。

故に、王家はグレイシア様を保護する必要があると。


「元々有能なお方だからな。王家としても、手放しはしないだろう。しかし、それがまた、プリシア様にはお辛いところなのだろう」


プリシア様はその容姿の美しさでドリオレント陛下に望まれた。


40を超えた今も、十分に美しさを保っていらっしゃるが、そこにグレイシア様が現れたら、どうだろう。


時間を、止めたような、変わらぬ姿。


美しさを誇ったプリシア様が、どう思われるか。



宰相である父は、グレイシアのその美貌を知る者たちからプロポーズする姿を何度か目撃しているという。


元々社交嫌いで研究室に篭っておられる方だったが、必要最低限でしか王宮に現れなくなったのは、そういった出来事の積み重ねかもしれない。


グレイシア様はごく稀に王宮へ出向く時には、ずっとローブを被られるようになったという。


だからあの時も、頭からローブを被っていたのだろう。


ローブを被ろうとも、その魅力的な魔力までは隠せないけれども。


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