褒賞
祝勝会では、王太子セヴァリウス殿下と王太子妃リーフェリア様の婚姻式も行われた。戦時中の貴族に多いことであるが、二人はすでに家族であり、第一子も誕生している。婚姻式には可愛らしい王子のすがたを見ることもできた。
モリーは王太子殿下とリーフェリア様にお祝いを申し上げる。
王太子殿下は、モリーの隣に居るはずのヨシュア様を探して視線を背後に投げたが、一歩下がったところに立っていたのは父の宰相だった。
同じ婚約者同士という間柄でも、王太子夫妻とモリーたちでは関係性がだいぶ異なっているが、モリーとしては全てはヨシュア様の采配にお任せするつもりでいた。
ヨシュア様の魔力を探すことができなかったので、おそらくその時には不在にしていたのだろう。
モリーは両陛下に挨拶をして、父に伴われて会場を後にした。
「どうして僕を待っていなかった?」
まさかその後、ヨシュア様に叱られるとは露ほども思わなかった。
モリーから見たヨシュア様は、モリーをきちんと婚約者として扱っていた。
ヨシュア様はモリーと結婚する事を決めている。
それでも、グレイシア様とは向き合わないといけないのだろう。
ヨシュア様はグレイシア様への興味を隠さなかった。
モリーと同じだけの情報を得ても、その想いに変わりはなく、いや、ヴィンセントの存在に、なお憧れを強くした気配もあった。
モリーが想像した通り、ヨシュア様は褒賞として、グレイシア様との面談を望んだ。この度の戦に置いて重要な役割を果たした魔法陣について、説明を求めたのだ。
弟子のレオンハルト様ではなく、開発者本人の話を聞きたい、との申し出を、褒賞として受理されたと言う。
グレイシア様からは条件が出された。
両陛下立会の元であれば、お受けいたします。
そこには王妃様も出向かれるのだ。
モリーは不安で仕方がなかった。
ヨシュア様よりも、王妃様の方が、心配でならなかった。




