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第2飛 決意の秘匿

 次の日の朝。


「うーん……、はっ」


 一緒に寝たはずの華澄がいない。


「あれ? 華澄さんどこ行った?」


「華菜さーん、起きましたかー?」


 奥から華澄の声がする。


「あ。起きたー」


「今朝ごはん作ってますから少々お待ちくださいねー」


「……マジで?」


 着替えて奥の部屋に行ってみる。


「洗面台なら向こうですよー」


「……本当に料理してる!」


「……? 普通じゃないですか?」


「だって、おかあ……じゃない! 今と変わってない!」


「はい?」


「あ、ごめん。寝ぼけてるね。

顔洗ってくるー……」


「相変わらず華菜さんは面白いなぁ……」




 キッチンにて。


「いただきます……」


「簡単なもので申し訳ないのですが」


「簡単!? 私、こんなに手の込んだ料理できないよ! 凄い!」


「ここまで褒められたのは初めてですね……、あはは。

恥ずかしいですからやめてくださいよー」


「むぐむぐ……、うま」


「美味しそうに食べますね……」


「美味しいし?」


「ふふ、ありがとうございます」


「そうだ、機械直さないとな……」


「学校はどうされます?」


「あー、学校もあった。

って、通いようあるんだっけ?」


「今日手続きしますので、

明日から滝川小学校に通えるように転入手続きをしますね」


「おねがーい」




 華澄が学校に行った後で。


「さて。このタイムマシンを直さなきゃいけないんだけど……、

道具も何もかも向こうに全部置いてきちゃったんだよね」


 ガシャガシャ……。


「うん?」


 ガシャン!


崩れた機械の隙間から機械が飛び出す。


「あ」


「あー、やっと出られた!

酷い目にあった!」


「ナヴィ!」


「華菜さま! ご無事でしたか!」


「あ、まぁ無事なのは無事なんだけど……

あなた一晩ずっとここにいたの?」


「一晩……? 意識が途切れていたようですね」


 ナヴィは私の作った、と言っても機械が機械を作ってたからもう分かんないんだけど

機械作成のサポート、指示を出してくれる機械。

 結構助けられてるんだよね。


「タイムマシン、壊れちゃいましたねー」


「直りそう?」


「コアは生きているようなので、そんなに難しくないですよ?」


「ナヴィがいなかったら帰れないところだった」


「このナヴィ、華菜さまのためなら火の中水の中!」


「そんなところ行ったらあなた壊れるでしょ」


「例えですよー、嫌だなぁ」


「……これ、小型化したいんだけど今日中って無理筋?」


「どれくらいですか?」


「スマートリングに誤魔化したいのが本音」


「ふーむ……」


「どう?」


「出来ますよ」


「ほんと!?」


「ちょっと外周と幅が大きくなりますけど、大丈夫です?」


「ぜんぜーん」


「ちょっと忙しくなりますよ!」




 夜になって。


「できたー! ナヴィありがとう!」


「スパナどころかドライバーすらもないのに完成しましたねぇ。

私に内蔵してますからね!」


「これ、何リングになるんだろ。

時間まで操作できるのにスマートリングって言うのも変な感じ」


「ふふん。ちゃんと考えてございます。

時間と並行励起世界を行き来できるリング、

その名も『パラレルリング』!

そのままのネーミングセンスで申し訳ありませんが……」


「ぜんぜーん」


「偉いナヴィをもっと褒めてくださってもいいんですよ?」


「そりゃもうナヴィは……」


「……? どうされました?」


「まずい」


「ですから、どうされましたと」


「華澄さんにナヴィをどう説明しようー!」


「普通に紹介していいのでは?」


「信じるよ!?」


「……自信はありませんが」


「あぁあぁあぁ!」




 教会に帰って。


「た、ただいまー……」


「華菜さん!? どこ行ってたんですか!?」


「あ。もと来たところ?」


「心配したんですよ……!

って、あら? 何か……、浮いてません!?」


「この子? ナヴィって言うのー」


「ナヴィ……?」


「華澄様、よろしくお願いします」


「あ、はい。よろしくお願いします……」


「私の作った機械だよー」


「す、凄い……! 人工知能……? ノーベル賞ものでは……?」


「あはははは……、大丈夫大丈夫。

ちょっと不可思議なロジックで存在しているバグみたいなものだから」


「華菜さま! バグとは失礼な!」


「ナヴィは黙ってて」


「むぅぅ」


「私が変わってるんでしょうか……?」




 次の日の朝。


「じゃ、学校行ってくるね!」


「ナヴィはお留守番ですか?」


「あんまり派手に動かないでよ?

あなた、この時代にはナンセンスな存在」


「酷い!」


「華菜さーん? 学校に行きますよー?」


「あ。はーい!

じゃ、ナヴィ! 大人しくしててね!」


「はぁい……」




 教室。


「というわけで引っ越してきた、如月華菜って言います!

機械が好きです! よろしくお願いします!」


「華菜ちゃんかー、結構可愛いじゃん。

瞬、あぁいう子は好みだったりする?」


「そういう会話はしないの」


「ちぇー、かったいのー」


「華菜さんはそこの空いてる席のところに」


「はーい」


 華菜が着席する。

 と、隣の男の子が声をかけてくる。


「僕、如月瞬。よろしくね」


「っ!? 如月瞬!?」


「ど、どうしたの?」


「こんな偶然あるんだ……!?」


「偶然?」


「だって、おとう……! むぐぐ」


「おとう?」


「おとうふ食べたいなぁ……、あはははは」


「華菜ちゃんって面白いね」


「おか……うぐぐ、華澄さんにも言われたね」


「華澄さんと知り合いなんだ?」


「下宿先が華澄さんのとこで」


「あー、そうなんだー」


「はい、授業を始めますよー」




 休み時間。

 わっと華菜に人が集まる。


「機械が好きなんだって?」

「変わった格好してるね、どこから引っ越してきたのー?」

「どんな男の子がタイプ?」


「あ、あぁあぁいっぺんに言わないでぇ……」


「華菜ちゃん大人気だね。

華澄さん、一緒のところに住んでるの?」


「瞬君、そうですよー」


「姉妹ってことない? よく似てるけど」


「ちょっと私も似てるとは思ったんですけどね。

特に姉妹ということはありませんよー」


「……華菜さん、なにかあるのかな?」


「女の子に隠し事はつきものですからー」


「そうだね」


「あら。瞬君、分かるんですか?」


「女の子には秘密があることも分かるよ、詮索しないほうがいい。

話してもいい気持ちになってくれるまで待つよ」


「……瞬君、素敵だなぁ」


「華澄さん?」


「ううん、何でもない」


「……。(お父さんとお母さん、もうこの時には仲良かったんだ)」




 下校時刻。


「華菜ちゃんまたねー!」


「またねー」


「華菜さん、帰りましょうか!」


「華澄さん、行こっか!」


「瞬君、ではまた」


「華澄さん、またね!」


 隠しきれる自信がない。

 いっそのことバラしちゃうか。

 信じてもらえるかそもそもわかんないし。

 たださ、これをバラすと華澄さんがやりにくくなって

両親が助からない未来が出てくるんじゃないかなって。

 私が言って楽になりたいだけの我儘だよね。

 ……隠し通すかぁ。

Copyright(C)2026-大餅 おしるこ

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