あれは、呪いだったみたい
お父様の部屋に来た私は、部屋のドアをノックして、
「失礼します、フレイリアです」
堂々と挨拶した。
「入れ」
そう言われたので入ることにしたの。まだちょっと怖いけど、にこやかな笑顔を作れている気がする。あぁ、でも…
「今日フレイリアを呼び出したのは…」
「お父様っ、ごめんなさい。もう夜中に本なんて読まないから許して!」
私は直ぐに謝った。謝っても許してくれるかどうか分からないけど、とにかく謝った。
「はぁ…そんなことしていたのか。フレイリア、一週間書庫に立ち入り禁止だ」
あれ、この話じゃなかったの?と言うことは自分の悪事をお父様に教えてしまっただけ…?
ああぁ!もったいないことをしちゃったな。
「ごめんなさい…」
お父様はぎこちない動作で頭を撫でてくれた。冷たいと思っていたお父様が。お母様が前に家族思いの優しい人とか言っていた気がするけど、あれは本当だったのね。
もっと早くに気づいておけばよかったな。お父様は素敵な人だったのに。次からお父様とお話をしてみましょう。きっと楽しいと思うの。
「かまわない、次から気を付けろ」
お父様は小さく微笑んでくれた。この瞬間だけでお父様が好きになってしまった。
「今から話すのはこれとは違うことだ。先に謝っておく。…すまん」
どうしてお父様が謝るの?今から話す?どんなことなのかしら。嫌なこととか…?
「フレイリア、お前は、悪魔に呪われている」
悪魔に…呪われている?…私が…?
「フレイリアの髪は白銀だろう。ウェルローゼ家から白銀の子が生まれたのなら、その生まれた子は悪魔に呪われている。すまん」
私は、つくづく運がないみたいね。幸せになろうって思う度に不幸が私に押し寄せてくる。…怖い。私は何なの…?
お父様は、悪魔に呪われた子についてくる不幸を教えてくれた。私が怒ると狂ったように暴走する。
その時の記憶はなくなってしまうらしい。しかも私は召喚魔法が使えるようになったばかりだったらしくて、その魔法で人を…殺そうとした。
しかもそれを繰り返す事によって自分の命が減っていくらしい。私の命は減ってしまったの?
自分が怖い…。どうして幸せになれないの…?過去は人に不幸にされて、今は悪魔に不幸にされて…私は自由に生きることが出来ないの…?やっぱり駄目だったの…?
神様は、優しくなんてなかった。
涙がポロポロと溢れた。お父様が前にいるから声を出して泣くことはせずに、声を殺して泣いた。
俯いている私を見て、お父様は察してしまったでしょうか。お父様は何も言わなかった。
私は、幸せになれない。この言葉が私の頭でながれていた。消えてほしいのに、ずっと頭から離れない。
誰か、私を助けて。
この何度目か分からない絶望から、私を救って。
私が心から思った事だった。
少し落ち着いてきた頃、まだ頭にあの言葉がめぐっていて気分が悪くなったけどさっきよりは楽になった。
部屋に戻ろうと思ってお父様の方を向くと、お父様は私を真っ直ぐに見つめていた。まだ、何かあるのかな。
これ以上はやめてほしいのに…。
「フレイリア、驚かせてしまったな。いきなりこんなこと言われて怖かっただろう。明日王都へ行ってこい。暴走する呪いは何とか一時的に封じることが出来るらしい。あくまでも一時的だから、王都に通うことが今まで以上に多くなると思うが、大丈夫か?あと、フレイリアの魔力は多すぎる。私が毎日丁度いい量にしてやる。お前には家族がついている。殿下だっている。新しい味方も増えただろう?お前には頼もしい味方が沢山いるんだ。私だって味方だ。フレイリア、絶対に負けるな」
お父様は私の事を邪魔だと思っていないの?味方?
私の家族は、とても暖かい。
少し心が軽くなった。
そう思っていたときだった。お父様が、
「最後に、悪魔の呪いがかかっているものには辛い過去の記憶があるらしい。フレイリア、お前は何者だ?」
と言ったのは。私はドキリとした。
「今は言わなくても構わない。いつか、心に余裕が出来たらでいい。今日はゆっくりと休め」
「はい、ありがとうございますお父様。失礼させていただきます」
私は淑女の礼をしてからお父様の部屋を出た。
辛い過去記憶って…私の、私が、“ルート外れのヒロイン”だったときの記憶の事…?
あれは、呪いだったの…?
お読みいただきありがとうございました。更新に間が空いてしまいました。すみません。
新連載「私はヒロインだけど、嫌になったので今から死にたいと思います。」を始めました。良ければそちらも見ていって下さいませ。




