002
chapter 2 ニコが教室に足を踏み入れた。
そして、瞬時に、すべての目が彼に向けられた。
友好的な目ではない。「あら、新しい生徒ね」という好奇心の目でもない。それは、アキラが前世で嫌というほど知っている種類の視線だった――獲物を値踏みする捕食者の目だ。
通路の真ん中で、ブロンドの少年が座っていた。
彼は椅子に足を組んでかけ、通路全体を塞いでいた。手にはトランプの束――地球のものとまったく同じトランプだ。彼の両側には二人の友人が座り、その顔は自己満足に歪んだ嘲笑に満ちていた。
ルキウス。
ニコが受け継いだ記憶から、その名が浮かび上がった。同じ年頃だが、魔法のレベルはもうすぐ4に達するという。賢く、強く、傲慢。誰もが自分の下位にいることを思い知らせるタイプの人間だ。
そして今、彼は新入りに、*自分の居場所* というものを思い知らせようとしているのだ。
ルキウスはカードから目を離しさえしなかった。
ただそこに座り、足を伸ばして道を塞ぎ、まるでニコなど存在しないかのようにカードをシャッフルし続けている。
ニコは立ち止まった。
*また、このパターンか。*
心臓がドクンドクンと打った。手のひらが冷たくなる。古い記憶が怒涛のように押し寄せた――廊下、嘲笑、いじめっ子たちが決して暴力からは始めないと学んだ日々。彼らは小さなことから始める。道を塞ぐ足。何気ない言葉。それから彼らは押す。押す。押しまくる。君の何もかもがなくなるまで。
*もう、あんな思いはさせない。*
しかし彼が何かを言う前に――
エレナが前に出た。
彼女の顔は真っ赤だった。拳は握りしめられている。今にも爆発しそうな様子だ。
「この――!」
ニコの手が素早く伸び、彼女を遮った。
彼は彼女を見なかった。その目はルキウスに固定されていた。しかし声は冷静だった。
「駄目だ。僕に任せて」
エレナは凍りつき、彼を見つめた。
その時、ニコは皆を驚かせる行動に出た。
彼は戦わなかった。言い争わなかった。
ただ単にうつむき、向きを変え、反対側へ歩き始めた――教室の反対側へ、自分の席への別の通路を探しに。
ルキウスが顔を上げ、驚いて瞬きし、そして爆笑した。
「ハッ! 見ろよ! 新入り、もう自分の居場所ってものを学習したみたいだぜ!」
彼の友人たちも一緒に笑った。クラス中が含み笑いを漏らす。
「そうだ、歩き続けろよ、負け犬!」
「いい子ちゃんの犬みたいに、別の席を探しに行くんだな!」
ルキウスはカードに戻り、勝ち誇ってニヤニヤしながら。
「惨めだな」彼は呟いた。「抵抗すらしなかった」
二秒が過ぎた。
その時――
**バキッ。**
その音は吐き気を催すものだった。生々しく。重く。
シャベル――本物の鉄のシャベル――が、ものすごい力でルキウスの顔の側面に叩き込まれ、鉄の頭が**木の柄から完全に吹き飛び**、宙を舞ってからガチャンと床に落ちた。
ルキウスには悲鳴をあげる時間すらなかった。
彼の体は椅子から浮き上がり、空中でねじれ、後ろの机に激突した。鼻から、口から、頬を真っ二つに裂く深い傷から、血が噴き出した。
彼は地面に叩きつけられる前に、意識を失っていた。
教室は、完全な静寂に包まれた。
針が落ちる音さえ聞こえたかもしれない。*羽根* が落ちる音さえ。
誰もが見つめていた。
ルキウスの折り重なった体を。
床に広がる血溜まりを。
ニコの手にある、壊れたシャベルの柄を。
ニコはそこに立ち、ゆっくりと、規則正しく呼吸していた。彼の顔は冷静だった――いや、冷静ではない。それは*空虚* だった。完全に空っぽ。ただ、彼の目を除いては。
彼の目は、*殺意* そのものだった。
二人の友人――ルキウスの子分たち――は凍りつき、その口は林檎を丸ごと詰め込めるほどに大きく開いていた。彼らの脳は、今まさに起こったことをまだ処理しきれずにいた。五秒前まで、彼らは新入りを笑っていたのだ。今や、彼らのリーダーは床で血を流している。
一人がようやく動いた。
彼は震える手を上げ、手のひらを前に突き出し、火の魔法を唱えようとした――身を守るために。
かすかな火花が、指先でちらついた。
そして、しぼんで消えた。
何も起きない。
彼の手は下がった。彼の顔は真っ青になった。
ニコが一歩、前に踏み出した。
その少年はあまりに速く後ずさりしたため、椅子から転げ落ち、床にドスンと音を立て、カニのように這って逃げた。
ニコは止まった。
彼はルキウスの意識を失った体を見下ろした。血を。近くに転がる鉄のシャベルの頭を。
それから、彼はクラスの残りの者たちを見上げた。
数十の顔。青ざめて。衝撃を受けて。恐怖に怯えて。
誰一人、動かなかった。誰一人、話さなかった。
ニコは首をかしげた。まるで、飼い主がなぜボールを投げるのをやめたのか、首をかしげる犬のように。
「何か?」
彼の声は柔らかかった。ほとんど優しくさえあった。
「今日、新学期初日だよね?」
こうして、ニコの新学期初日は終わった。
家に帰る途中、彼の顔は不安で重く沈んでいた。手には、保護者招待状——何か問題を起こした生徒が必ず持ち帰らなければならない通知——を握っていた。
彼はそれを見つめた。
ため息をついた。
*保護者会。*
その言葉だけで、胃がキリキリと痛み始めた。前世の記憶が押し寄せてくる——両親が学校に行かなくてはならなかった、あの何度もの日々。当時の彼が問題児だったからではない。彼は被害者だった。いじめられる側だった。それなのに、いつも両親は怒って帰ってきた。いじめっ子に対してではなく、*彼* に対して。
*「なぜ自分でちゃんと立ち向かえないんだ?」*
*「なぜ奴らに好き勝手させてるんだ?」*
*「お前のせいで恥をかく」*
その言葉は、決して癒えることのない古い傷跡のように、彼の心の中でこだました。
*新しい両親は、何と言うだろう?*
エレナが隣を歩きながら、彼の顔が次々と感情を変えていくのを見ていた。彼女は魔法など使わずとも、彼の心が読めた。
「ねえ」
彼女は優しく彼をつついた。
「そんなに心配しないで。家に着いたら、私がお父さんとお母さんに話してあげる。全部説明するから」
ニコは彼女を見た。彼女の目は真剣で、決意に満ちていた。*何があっても、あなたの味方だよ* と言っているような目つきだった。
彼は微笑みたかった。彼女を信じたかった。
しかし、恐怖は消えなかった。
---
二人は家に着いた。
アンナは台所で、夕食の支度をしながら優しく鼻歌を歌っていた。アレックスは居間で、暖炉のそばで分厚い本を読んでいた。その光景はとても暖かく、とても平和で——ニコの胸は締め付けられるようだった。
*この平和な空気を、壊したくない。*
しかし、エレナが背後からそっと彼を押した。
「行ってらっしゃい」
ニコは深く息を吸い込んだ。
*遅かれ早かれ、向き合わなければならない。*
彼は母親のところへ歩いて行き、手紙を差し出した。
「母さん……これ」
アンナはそれを受け取り、読みながら眉をひそめた。そして——
彼女の表情が変わった。
目が見開かれた。顎が引き締まった。ついさっきまであった温かみが消え失せ、代わりに、もっと冷たい何かが現れた。
「ニコ」
彼女の声は低く、抑えられていた。しかしニコには、その下に潜む嵐が聞こえた。
「何度、喧嘩をするなと言ったら気が済むの?」
ニコは瞬いた。
*え……何?*
「も、もう知ってるの?」
アンナは大きくため息をつき、こめかみを揉んだ。
「学校から伝書鳩が来たわ。もう聞いてる」
ニコの心臓は沈んだ。
*来た。怒鳴られるんだ。失望されるんだ。そして——*
「あなた、今まで何度こんなことを繰り返してきたと思ってるの?」アンナは声を荒げて続けた。「先月は鍛冶屋の息子、その前の月はパン屋の息子。そして今度はルキウス?! 彼の家がどんな家か分かってるの?!」
ニコは呆然と立ち尽くした。
*待って……前もやってたの?*
*ニコ——本物のニコ——は、問題児だったのか?*
アンナは両手を上げた。
「あなたは誰とでも喧嘩する! 自分に少しでも変な目を向ける者、一言でも何か言う者——バーン! 手が出るのはいつも先で、後で理由を考えるなんて絶対にしない! 行動する前に、ちょっとは考えるってことができないの?!」
ニコの口は、魚のようにパクパクと開いたり閉じたりした。
*つまり……この身体……ただの大人しい、無実の子供ってわけじゃないのか?*
*ニコ・アラートは、不良だったのか?*
アンナはまくしたて続けたが、ニコの頭の中は慌ただしく回転していた。
*だから、俺の最初の反応がシャベルを掴むことだったのか。アキラの怒りだけじゃなかったんだ。ニコの身体——訓練されていて、経験豊富で、暴力に慣れている——*
*アレックスの剣術の才能。彼の並外れた体格。*
*ニコはそのすべてを受け継いでいたんだ。*
アンナはようやく言葉を切り、息を切らしていた。彼女は自分の息子——時々、初めて母親を見たかのような目で彼女を見る、この奇妙な少年——を見つめた。
「もういいわ。後はあなたの父親が話すから」
彼女は手紙をアレックスに手渡した。
アレックスは冷静にそれを受け取った。ゆっくりと読んだ。それから、その落ち着いた、何も読み取れない目でニコを見た。
「座りなさい。全て話してごらん」
ニコは座った。
そして話した。全てを。ルキウスが道を塞いだこと。嘲り。エレナが戦おうとしたこと。自分が引き下がったこと。シャベルのこと。
アレックスは遮らずに聞いた。その顔は、何も語らなかった。
ニコが話し終えると、長い沈黙があった。
それからアレックスは立ち上がった。
「そうか」
彼は暖炉のところへ歩いて行き、しばらく炎を見つめた。それからニコの方へ振り返り、初めて、かすかな微笑みが彼の唇の端を引き上げた。
「よし。明日、私とお前で学校へ行こう」
ニコの心臓はドキンドキンと打った。
*来た。説教だ。罰だ。そして——*
「もし教師の裁定が不公平なら」アレックスは静かに言った。「誓って、あの学校を跡形もなく焼き払ってやる」
ニコは凍りついた。
彼の顎は落ちた。
彼は父親——暖炉のそばで本を読む、この物静かで優しい男——を見つめ、その目に別の何かを認めた。何か激しいもの。何か保護的なものを。
「あ、あなたは……それをしてくれるの?」
アレックスは片方の眉を上げた。
「お前は私の息子だ。するに決まってるだろう」
ニコの目が熱くなった。
恐怖からではない。二度の人生で感じたことのない何かからだった。
*これ……これが、そういう気持ちなのか。自分のために立ち上がってくれる父親を持つということが。*
*傷ついたことを責めない親を持つということが。*
こうして翌日、ニコとアレックスは学校にいた――教師の執務室の中に。
ニコの心臓はめちゃくちゃだった。走っては止まり、また走っては止まる。手のひらは汗ばみ、足は震えていた。
これだ。裁きの時だ。
執務室の中には、もう一人の男が座っていた――グランシス、ルキウスの父親だ。
彼は椅子にだらりと寄りかかり、片足を傲慢に組んで、勝ち誇った表情を顔中に貼り付けていた。アレックスとニコが入ってくるのを見るや、彼は侮蔑の念を隠そうともしなかった。
「ほう。私の息子をほとんど殺しかけた、あの野蛮なガキの父親ってわけか」
アレックスは何も言わなかった。ただ彼の向かいに静かに座り、ニコにドアのそばに立つよう合図した。
グランシスは続けた。その声には、偽りの平静さが滴っていた。
「単純にしよう。お前のクソガキが私の息子を襲った。お前は全ての医療費を払う――最後の一銅貨までな。それに加えて、トラウマ、苦痛、屈辱に対する補償だ」
彼はある金額を口にした。
ニコの血の気が引いた。
それは莫大な額だった。普通の家庭なら十回は破産するような金額だ。それを聞いただけで、彼の手は震えた。
しかし、アレックスは?
アレックスは瞬きさえしなかった。
「……いいだろう」
グランシスの勝ち誇った表情が、一瞬揺らいだ。
「……いいだろうだと?」
「いいだろうと言ったんだ。私の息子に非があった。支払う」
ニコは父親の背中を呆然と見つめた。
そんなにあっさり? 彼は抗弁すらしないのか?
しかしグランシスは満足しなかった。どちらかと言えば、アレックスの冷静な受諾は、彼をさらに激怒させた。
「いいだろうだと?! そんなに簡単に済むと思っているのか?!」
彼は机に手を叩きつけ、立ち上がった。
「お前の息子はひざまずけ! 額が地面に擦れて血が出るまでな――公の場で、全校生徒の前でだ! もし拒否するなら、即時退学だ!」
ニコの胃が落ち込んだ。
退学? 初日で?
しかし、なぜグランシスはそんなに自信満々なのか? なぜ彼はそんな要求ができると思っているのか?
そして、閃いた。
この学校だ。彼の家族は、おそらくここの主要な資金提供者なんだ。最大の寄付者の一人で、この学校を事実上所有している。
グランシスは残酷に微笑み、アレックスが屈するのを待った。
アレックスはじっと座っていた。
とても静かに。
そして、ゆっくりと顔を上げた。
「私の息子は」彼は静かに言った。「ひざまずいたりしない」
グランシスの目が細まった。
「ならば退学――」
「そして私の息子は」アレックスは彼の言葉を遮った。その声はまだ柔らかかったが、今や抜き身の刃のような切っ先を帯びていた。「退学にもならない」
グランシスは笑った。
「それを止められるのは誰だ? お前か?」
アレックスは立ち上がった。
彼はコートの中から三枚の写真――いや、写真ではない。魔法の静止画だ――を取り出し、テーブルに投げ出した。
グランシスはそれを見下ろした。
一枚目:一人の女性と幼い少女。彼の妻と娘だった。
二枚目:軍服を着たブロンドの男。その顔は鋭く冷たく、その目は指揮官の重みを帯びていた。
グランシスの顔色が青ざめた。
アレックスは冷静に言った。
「この男――エリク――は私の弟だ。彼はエルドリア全土の東部戦線を指揮している」
彼は間を置き、言葉が染み込むのを待った。
「彼の名は、もちろん知っているだろう」
グランシスの口は開き、閉じ、また開いた。
言葉が出てこなかった。
かつては傲慢で勝ち誇っていた彼の顔は、今や灰の色だった。
アレックスは写真を拾い上げ、コートにしまい、完全な無関心の表情でグランシスを見下ろした。
「医療費は支払う。私の息子の謝罪だと思ってくれ」
彼は向きを変え、ドアの方へ歩いて行った。
ニコは凍りついたようにそこに立ち、今まさに起こったことを処理しようと脳みそをフル回転させていた。
アレックスがドアを開けた。
「さあ、息子よ。家に帰るぞ」
ニコは瞬いた。
「そ、そんな……これだけ? こんなにあっさり?」
彼は振り返り、グランシスを見た――まだそこに座り、幽霊のように青ざめ、虚ろな目をして何も見ていなかった。
「でも……彼の家族は金持ちで、権力者だ。負けると思ってた」
アレックスは彼を見下ろした。一瞬、その表情が和らいだ――ほんの少しだけ。
「金持ちだから何だ?」
彼はニコの肩に手を置いた。
「我々の方が強い」
そして二人がその執務室を歩き出した時、ニコは父親の背中を見上げた。
その背中――こんなにも揺るぎなく、こんなにも確固として、こんなにも不動の背中。
それは、本当に、本当に格好良かった。




