Episode:広がる平和同盟(平和をかたちに)
「みんな、集まってくれんかのぅ、これからのことを少しみんなと、話したいんじゃ」
「何ですか、博士!何か問題でも?・・・みんな揃ってるか? 榊っ、早くこっちへ」
「なんだー?一難去って、また一難か?博士よー」
「そうではないんじゃ、今、二つの国から、ある申し入れが来ておるのじゃ、その件で、私の考えを話したいんじゃ、そしてみんなの意見もな」
「成神や榊が話すことより、きっとまともな話なんだから、聞くわ」と神原は真ん中のソファーに座った。
「私たちの意見もって、何か判断が必要なことなのでしょうか」と少し不安な表情を浮かべ御神は、すでに長いソファーに座っていた康美の隣に腰かけた。
「博士、全員そろいましたよ」
「成神君ありがとう、では最初の話からしようかのぅ、厄災の前日に、津波で被害にあう島国に対して、ガルムたちが救助として浦島に島民を避難させたじゃろ、その島国は、今回の津波ですべてを流されたそうなんじゃ、そして多くの部分も水没した、この国は、海面上昇に以前から悩まされており、国連にも温暖化阻止の訴えをしておってのぅ、最近では海底火山の被害も出ており、国民が安心して暮らせんという問題が、今回改めて不安が不満となって表面化してしまったんじゃ。じゃが浦島の数日の生活を経て全島民が、そこで暮らしたいと、その国の大統領に訴えたそうじゃ、大統領も島民からの申し出というより、自らも島民に話そうとしておって、つまりは、思いが同じじゃった訳じゃな、そして、弐本政府に、その島国から弐本に帰属したいと言って来ておるという話がひとつ」
「博士よー、それは、弐本の一部になるということなのか? 結構、難しくもある話だな、そりゃ」
「もう一つは、国連の理事国でもある国から、侵略を受けておる国からじゃ、弐本の未来パレードを見て、軍事協力を要請して来ておってのぅ、こんな風に弐本はなってしまったが、専守防衛の考えは変えてはおらん、じゃから軍事協力はできんじゃろ、しかし、弐本は圧倒的な科学技術を持っておる、それを平和利用として、全世界に見せることは出来んか?とわしは考えておる」
「いいんじゃねーか、地雷除去や機雷もか、バリアも、何よりも救助活動と復興も、攻めるんじゃなく、守るための、つまりは、弐本の本分を見せてやりゃよー」
「あんたは、たまーにいいこと言うわね、たまにね、そこって、UEが近くにあるわよね、じゃさ、大型のロボット・・・なんだっけ、成神!」
「神原さん、今そんなこと・・・でも、あの地域で流行ったロボットアニメは、マジンダイザーとかジークンが有名だな、視聴率80%超えた時もあったほどだって聞いてるよ」
「そう、それよ!それも戦争中だけど、平和活動のシンボルとして持ってくのよ、勇気づけられるし、あんなのがいたら、攻撃をしてこなくなるんじゃない、望はどう思う?いい考えでしょう」
「そうですね翔子さん、でも、バリアがあるなら、そもそも攻撃はできないんじゃないかと・・・でも、そうなるとバリアをどの位置に設定するかが、問題になりますね、国境線が今、不安定でしょうから」
「お父・・博士、政府のお考えは、どうなのでしょうか?」
「そうじゃのぅ、政府は”平和的な解決を ”の一点張りじゃ、じゃが、案が出てこんのじゃ、じゃから、こちらから提案をしようと思うておるんじゃ、いろいろな技術がわしらにはある、それをうまく使えるのもわしらじゃしのぅ」
「博士、僕は誰かの上になるとか、下に付くではなく、対等であるべきだと思います、そして平和に向けて、最大限の行動をとることを約束する、それだけでいいと思います。国々を一つになんで、それは、歴史や文化も違う、ましてや言葉もね、だからお互いの国が平和に暮らすことを目標に活動できる、そんな完全平和同盟が結べれば、いいと思いますよ」
「さっすが成神ね、で、島国の方はどうすんの?」
「そうですね、もともとその国は、小さな島国で人口も15000人ほどなので、避難船1隻で十分です、そこで、暮らしてもらうのは問題ない、その代わりって言っちゃなんだけど、一部をレジャー施設にして、その国の文化で、もてなしてもらうというのでいいんじゃないかな、もちろん世界中からも来てもらえればね」
「だけど、それじゃ、各国がスパイを送り込んでくるんじゃねーのか?」
「それは大丈夫だよ、弐本以外の国のレベルじゃ、コアな部分は見ることすらできないよ、それにこういう環境でのストレスの問題は、今後もしっかり研究していかないといけないから、その辺に詳しい研究チームも配置しておく必要もあるよね」
「では、成神さん、いま戦闘中の国の件は、どうすればいいんでしょうか、さっきも言ったけど国境とか」
「納得してもらえるかはわからないけど、バリアを張る以上、現時点を国境とするしかないね、同時に両国に停戦交渉を弐本政府にお願いするしかね」
「そんなのあんまりだろ!攻めてる方はよ、それでいいって言うだろうが、攻められている方は、政府も国民も納得せんだろう」
「だが、そこを納得してもらうしかない、その代わりバリアや地雷撤去、復興すべてを手伝う、もちろん完全平和同盟だよ。さらにエネルギーも必要な分使ってもらう、代わりに穀物などの食料を出してもらうんだ、こういう2つの国との完全平和同盟を見れば、間違いなく中小国は、自国も参加したいと言うだろう」
「ああ、そうだろうな、でもよー、大国はプライド高いからな」
「大国と完全平和同盟を結ぶときには、条件を付けるんだ、”奪った土地をもとに返すこと”ってね、そうしないと、いつまでたっても、わだかまりが消えないからね」
「そこまで、考えていたんですね? いつからそんなことを」と不思議そうに見つめる御神に対して、成神は「僕らのとんでもないスキルの使い方は、平和利用一択だって、最初からね」
「そんじゃ、決まりじゃな、わしもそれがいいと思うわい、では、政府に提案書を作るでな」
「博士、待ってくれよ、その戦闘中の国の件なんだが、いい案あるぜ!聞くかい?」
「ほっほっ、榊君のそういった提案は秀逸じゃでな、あっちで聞こうかのぅ」
その後、たった3週間で停戦は合意され、その後たった1カ月で大方の復興が進んだことは、世界中が驚き、完全平和同盟について、各国で議論や弐本との交渉を申し入れる国々が続くのだった。
しかし、大国については各国内で意見が分かれ、まさに同盟参加の国民投票が行われる国も出てきていたのだった。




