Episode:防人の詩(成神システム)
ネ申博士を先頭に数名の集団が入ってきた、見学というより査察のような雰囲気であった、その一団の中から康美がこっちに駆け寄ってきた。
「すごい人たちが来ましたよ、みなさん。外務大臣、防衛大臣、それに官僚の方々と防衛隊の一番偉い人たち」
「何?防衛・・・一人、骨のある、信用できるやつがいるな、あとは知らんっ」
「へぇー、でっ何用?」
「避難のための準備状況とか、防衛装備開発状況とかをお父さ・・博士が報告して見学までさせていました」
「確かに資料を見せるより、百聞は一見に如かずですから、でも、異星人の事は?」
「望さん?その前に私たちのことでしょうょ!、捕まんないわよね」
「あれっ、博士と一緒に成神もいるじゃねーか、いつの間に・・まぁいざとなりゃ、あいつが記憶を何とかするだろ、きっと大丈夫だ!」
「なーんだ、じゃっ心配ないわね、でも、なんで成神が?」
「防衛装備の一つで ”防人” とか”バリア”が、とかなんだとか言ってました」
「それじゃぁ、後で博士と成神に聞いてみようぜ」
それから数時間後、博士と成神が戻ってきた
「今日はいったい何だったの?聞いてないんだけど!説明してよ、成神さん」
「そうだね、今日は政府のお偉いさん達がお見えになった、ここで行われている、いや作られている科学技術の数々の説明と、後は、榊が言っていたかもだけど鎖国状態になっているこの弐本国に対して、国連を含め先進国が非常にナーバスになっている、いったい何をこの国はやっているのか、とかの対応をね、どこまで見せるとかね、ほら、いろいろあるだろ」と言いガルムとリザレッドを指さした。
「なんじゃそりゃ、そっちがこの国を仲間外れにしたんじゃねーか、でも気になるとか、何言ってやがんだ! まぁいい、それより ”防人”ってなんだよ、成神!」
「難しい説明になるが、いいか?」
「それは構わんが、理解できねーゾ、たぶん」
「それじゃ簡単に、弐本国のEEZに宇宙空間に設置した衛星から海底に設置した装置に向けて電磁波に護波をのせて送る、分解スキルもだ、これによって、この電磁波に触れた瞬間、通過しようとするものは分解破壊する」
「ひゅーっ、無敵のバリアだな」
「あと、出来るかはわからないが、分子化させたドゴーラに、私の”命じるスキル”を持たせ、互いに共鳴させて、反転指示もできればとも考えているんだ。地球の声や動物やモノの感情みたいなものがわかるからね、ひょっとして、なんだけど」
「おまえなら、やるだろうよ! じゃあ何か、例えば、敵さんがミサイルを撃ったとして、ドゴーラ付きの電磁波に触れると、撃った所に戻せると言う訳?敵のミサイルがこっちの武器になる訳だ。恐ろしいな!」
「博士、他にはどんな会話を?」と神原は博士に問いかけた。
「なるほどのぅ、ドゴーラの共鳴、だから ”防人の『詩』” なのじゃな、あっ、他の話題かな翔子くん。伝えたのは、避難船の製造状況じゃな、今は200隻じゃな、よって今後の搭乗順などを決めようとか、艦隊も第12艦隊まで完成しているということも、乗組員も防衛隊から精鋭を選出してもらう約束と、それとプロジェクト竜宮と天照の参加企業や研究者の募集もじゃな」
「結構進んだわね、でも準備OKまでは気が抜けないわよ、それより成神!防人はともかく『詩』って何よ?『詩』って!ダサイネーミングね、効果がえげつないからって、名前だけでも感じよくしようって、魂胆が見え見えよ!」
「きびしいね、翔子さんは。バリアだけなら防人システムなんだが、打ち返すというネーミングがね、思い浮かばなくって、プログラムのアルゴリズムは文章みたいなものだから、文章から詩という表現に・・・ダメか?」
「どーでもいいわ」
「それより、榊、翔子さん、康美さん、リザッド星で何か面白いことをしたって聞いたぞ?」
「俺は火だ!」といい榊は指先から炎を出して見せた。「へへっ、もうコントロールもできるぜ!、私は冷気よ!」と神原も指先から水を出し凍らせて見せた「もちろんコントロールもね」というと、康美がモジモジしながら「私は電気です、でもコントロールというか、なんというか、どんなに小さくと思ってもリザッド星の時より小さくならないのです、大きくは出来そうなのですが・・・」
「やっ、やめてくださいマセ、康美さま、あれ以上大きくなど、ただでさえ母星が消滅しかかったのに、ここでそれを放たれたらどうなる事か」
「リザレッドよ、心配無用じゃ、ちゃんと練習用のトレーニング専用ルームを作っておる、康美が放った電気魔法はすべて回収し、エネルギーとして利用しておるからのぅ」
「康美!あんたもうそれでいいじゃん、発・電・所 でさぁ」
「いやです、そんなの!使える電気魔法の種類は20種類ほどになったけど、威力が小さくならなくて!?」と言うと、榊と神原は顔を見合わせて、「20種類?なにそれ、1つじゃないの」と康美の顔を見た。
「ですから、思い浮かべればそうなると、以前、このリザレッドがお伝えしたはずです」
「へぇー、榊さんは火、翔子さんは水、康美さんが電気とくれば、私は・・・土かな!よーしっ」
「ちっ小さく、最小で・・・」と榊と神原が口をそろえた。
というと、望の指先に砂が舞はじめギュッと小さく固まった、それをピストルを撃つポーズで成神の持っている紹介用の小型化された『防人の詩』に向けて放った!、目にも止まらない早さだったが『防人の詩』システムに粉々にされた。
「御神!いきなり何すんだっ」と驚いた表情で榊が手でバツ印を作って言った。
「しかも、私がコントロールに相当苦労したのに、いきなりそれもできるなんて」と、神原があきれた口調で答えた。
「面白そうだな、護波の力を別に利用するのか、それも想像で・・・じゃぁ」
「お待ちくださいマセ」とリザレッドが口をはさんだ、「皆様は初めてで、相当な威力の力をお使いになられました、本来なら、どのような力が適正なのか、訓練を重ね適正を確定するものです、もしかすると最初にお使いになられたもので、適正確定するのではないかと思われます。ですからよく考えて、お使いになられた方が良いかと存じます」
「もう、変えることはできないのですか?発電所なんて言われたし・・・」
「中には稀に複数の適正を使うものがいますが、本当の稀です」
「ははっ、はなから攻撃に使う気はないよ、ぼくは!。攻撃は君たちに任せるよ!ぼくが使うのは?」と言い、成神が目をつむり念じ始めると、掌が光り始めた瞬間に金の延べ棒が現れた「できた!錬金術、なんでも作り出す力ね」
榊と神原は、またも顔を見合わせ「その手があった!」と目を丸くし、榊は「ファイアーボールだなんて恥ずかしい」と肩を落とし、御神も「わたしも、水と氷りの2適正はすごいと思ってたけど、あれを見た後だと、どうでも良くなっちゃった」と、手をあげるポーズをとった。
「そっそれは、伝説としてしか伝わっていない、”無適正の創造” でしょうか?神原さま、あの方も『神』なのですか?」
「あぁーあれは、神を超える存在よ、言うなら”神を造りし者”ね」
「ははっ、大げさだな!それにリザレット、さっき言ってた最初に使う想像が適正になってとか言ったけど違うと思うぞ!だって、ほらっ」というと、片手を広げて前へ突き出すと、人差し指から火が、中指から電気が、薬指から水、小指から氷、親指から石が指先に現れていた。
すると、全員が口をそろえた「ヤッパリ!やると思った」と合唱した。




