Episode:星と仲間、その2(成神・御神 side)
「何だこの星は、ほとんど死にかけた星のようだ。石灰化しているゾ」足を踏み出せば白い粉が舞、形あるものに触れた瞬間にフワッと白い粉となって散る、そんな死せる世界があった。
「でも、生命反応が4つ、近くにあります。一つは動いてますが、三つは動いていません。」
「行ってみよう!」といって、御神に手を伸ばした。
「ハイ!」と御神も答え、手をつないで、生命反応のある所へ飛んだ。
着いた早々二人の周りをグルグルと一つの生命体が目に見えないスピードで回っている。
「%○%×+*」
「うん? 何か言っている?、ガリュー星の基本言語スキルを検索、御神さんとも共有」
「誰だおまえ」激しく動き回る生命体はやはり言葉をしゃべっていた。
「地球から来た人間だ、話に来た」
「人間?話す?私はこの星の最後の生き残り、滅びゆく種族の長」
「でも、まだ他に三つの生命反応がありますよ」と御神が不思議そうに尋ねた。
「あれは、ガルの実、私が生きるに必要な実、後一度食せば終わるのだ」
「三つも一度に食べるのか?」
「いや、一つでいい、ただ残りは次に食する時を持たずに白灰と化す。」
「種族の最後って増やせないのか」
「ほとんどは白灰となって散るが、中には灰にならず白化したものが19体残っている、その実を与えれば命を吹き返すだろう。」
「じゃぁ、なぜそうしない?」
「次には灰となるかもしれない、白化する保証がないからだ。」
「・・・成神君、いいか、一度、望くんを戻してくれ、渡したいものがある。」
「聞こえたかい?、御神さん」
「はい、一度戻ります、その前に、ここをマーキングしてと!」といいフッと視界からきえた。
「どうした、どこへ消えた、お前たちはゲイルの使者か・・」
「ゲイル?、人間だ、あんたらの神でも何でもないよ、そうだ、あなたの名は?」
「名などない」
「じゃ、わかりやすくするためにガルムって呼ぶがいいかい? 私は、成神つなぐだ、よろしく」
「私がガルム・・・わかった、ガルムか」
「ただいま戻りました、成神さん、これ博士からの預かりモノです。これでガルの実を増やしてみれば?って」
「そうか、なるほど!ガルム、あの実ひとつもらっていいかい!」
「好きにするさ、どうせ白灰となるものだ」
「OK、じゃっ、この箱の中にガルの実をひとつ入れよう。ちなみにガルムは、いつ実を食べるんだ?」
「今食べても良いが・・・」
「それじゃぁ、もう少し待ってて、こっちで渡すガルの実を食べて感想を聞かせてくれないか。」
「それと、ガルムたちはどんなことができるんだい?」
「できる?どんな?」
「例えば、僕たちなら、さっきのように消えたり現れたり、それに今、ガルムと話をしたりしているだろ?」
「・・・大きさを、大きさを変えられる・・」
「体の巨大化という事、質量も?」
「そう、エネルギーが続く限り大きくできるし、小さくもできる」
「なるほど、ここで大きくは問題ありそうだから、小さくなってみてよ」
「そうだ、望鏡の拡大でスーツ機能も試してみよう」
「では、行くゾ」というと、すぐに小さくなっていった、みるみる小さくなる、成神はスーツの拡大機能をUPさせていく
「成神さん、普通にはもう見えません、質量もゼロに近いです」
「なんと、原子レベルなのか・・・ガルムもういいよ、ありがとう」
「うむっ、戻る」というと元の状態にあっという間に戻った。
そうこうしているうちに、箱の中のドゴーラがふたつのガルの実を複製した。
「えと、こっちがオリジナルだから、複製はこの二つ。それじゃガルムこれ食べてみて・・・」
「あぁ」 というとガルムはガルの実を一口で食べた。
「どうだい?味は・・・」
「ガルの実だ、いつものだが、何か違うのか?」
「体調は?どうですか?痛いとか、苦しいとかは?」
「いつもと変わらない、ん!、・・・というか、今まで私が食べた中で、一番うまいガルの実だ」
「そうか、ドゴーラは本来のものを複製するんだ、いちばんいい状態のものを」
「言っていることがわからない、何を言っている」
「なら、これを見て!」といって成神は箱の中を見せた、「一つを入れたはずが・・・あれ、もう4つになってる!」
ガルムは目を丸くした!「なぜ増えているのだ?」
「ある意味、神の御業なのかもしれないね、ガルムの言う”ゲイルの使者だなドゴーラは!”そうだ、このガルの実が40個ぐらいになるまで、この星の話を聞かせてくれないか」
「いいだろう、この星は・・・」とガルムは語りだし、箱の中のガルの実が40個を超える数となった。
「では、白化したみんなを復活させよう、長であるガルムの役目だ。」
「だが、この先ガルの実が永遠に実る保証はない、また、白化できずに白灰となれば、それこそ・・・」
「心配か、それはわかるな、長だもんな、うーん・・・あっそうだ、御神さん胸の容器になにか食べ物入ってない?」
「胸の容器?あっこれですね」 と言い容器の開け中を見た。「あります、グミのようなものが・・・」
「それでいいや、このグミは生命維持に必要なものが詰まっているんだよね、じゃあこれに、ガルの実の成分を分解してと再生成すると・・・できたガルのグミ!Teams何番目のアイテムかな?」
「もうわかりませんね、でも、アイテムリストに残しておきましょう」
成神は、「ガルム、今度はこれを食べてみて!」といって小さなグミを手渡した。
「何なのだ、これは?」
「君たちの、ガリュー星のガリュー族?の未来を約束するものかな?」
「信じよう!」といいガルムはグミを口に含んだ。すると、みるみる精気にあふれ、明らかに以前より勇猛なものに見えた。「なんだ力が、これまでにない力が溢れ出るゾ」
「そう!それは良かった、じゃぁ、安心だね。これを複製していけばね。」
ガルムはガルの実とガルのグミをそれぞれ白化した者たちに与えて行った、そして復活したものから順に吠え、大きな雄たけびを聞く成神と御神だった。
「成神さん、彼らを地球に連れて行くの?」
「あぁ、もう仲間だからな!・・・ガルム!」
「だけど、地球の環境に適合するのかしら、ここで彼ら用のスーツを作る必要はないのかしら」
「大丈夫かもしれない」 とガルムが切り出した、オイ とガルムが一体のガリュー族を指さした。
それは他とは違うものだった。
「こいつは部族の中でも異質な存在だ、白灰化した長老が言っていた、あいつは先祖返りだと。あいつは大きくなったり、小さくなったりは出来ないが、一定の範囲を切り裂くことができる、君らの移動する力は触れたものを意識して動かせるようだ、だから地球という星のあるエリアに、この環境ごと移動できれば、我々もついて行けるのではないかな?」
「なんだかすごいスキルだな、原子レベルにまで小さくできるスキル、空間ごと切り裂くスキル、そして御神さんの目標設定と、神原さんの移動スキルを組み合わせれば、どんなものでも物質転送ができそうだ」と成神は目をらんらんと輝かせていた。「博士どこか密閉された場所はないですか?」
「それなら、一隻箱舟を使おう、そこはどれくらいの広さじゃな? 」
「そうですね200㎡ほどで高さは5mくらいのエリアです。君!切り裂けるかい?」
「造作もない、今の私なら、もっともっと多くを切り裂けるだろう」
「そうじゃな、成神君、その空間を分析しておいてくれ、いつでも作れるようにのぅ!」
「そっかスーツの機能に分析と分解か・・、後はその避難船にドゴーラを入れておけばいいわけか」
「いいや、巨大ドゴーラなら一瞬で船の環境を変えれるじゃろうて」
「そんな力があったのですか?もうなんでもありですね・・・」
「いつでも良いぞ、箱舟をマーキングしておこうかのう、ほれ、送ったぞぃ」
「どうする?ガルム、来るかい?」
「どのみち生きるためには、あなたたちと行くしかないからな。そうでなくとも私はお前を気に入っている、ついていこう!」
「では、手順を伝えるよ、今回は彼が空間を切り裂いた後、私がマーキング地点に転送する、意識では触れているものみんなというつもりでね、確実なのは触れることだが、この環境に触れているというイメージで飛ぶとどうなるかを試すんだ。もし、私だけしか移動できなかったら、その時はまた別の方法を考えよう。指をさしたら切り裂いてくれるかい、君!、名前がないのもやりいにくいな、後でみんなに付けようっと!」
じゃあ!といって彼を指さした、彼は両腕を四角く形どるようなポーズをして成神にうなづいて見せた次の瞬間、スポンッ とそのエリアは底知れぬ黒だけとなって消えた。
「でっ、出来た、出来た!さぁ、ガルムたちの新たなる家だ、いいや、国かもね。」
「よく来られたのぅ、さぁ巨大ドゴーラで環境設定じゃ、ほれっ!というと巨大ドゴーラの体が光り、瞬く間に切り取った環境が艦内にあふれて行った。これでこの船の中なら、どこでも行けるぞぃ、好きに使ったらええよ。」
「感謝する、長老よ!」
「ちょっ、長老、はっはっはっ、そんな敬いは彼らからは言われたこともないのぅ、なんかこそばゆいわぃ」
「あのぅ、ガルムさん?あなたたちはどうやって種族を増やすのですか?」と下から上へ目をやりながら御神が問いかけた。
「体毛の一部に念を与える、それだけだ!増えるのは簡単だが、グルの実がなければ白灰と化す。だから種の増殖は長である私の役目なのだ。」
「じゃ、特異体質の彼が、彼の毛に念を送れば、彼の能力を持った彼のようなものが増えるってことになるのかな、彼 彼ってちょっとメンドクサー。」
「そうだ、だが、長は私だ。」
「では、こうすればどうかのぅ、ガルムさんとやら、ここにいる成神君はテレパスという力を持っているんじゃ」
「テレ、パ・ス?」
「そうじゃ、彼の言う事を必ず聞くというものじゃな、なので増えた種族全員ガルムさんのいう事を聞くように成神君が命じて、それに従ってもらうことにするんじゃ、それで安心じゃな!良いかな。」
「わかった、それでいい。」
「もちろん、まだ君たちには使ってはおらんよ、使ったのはまだドゴーラだけじゃな!」
「うそっ、どんな命令をしたんですか、成神さん!!」
「御神君は聞かん方がえぇかも知らんが。」
「教えてください、博士!」
「そうじゃのう、もう、させんからええじゃろう!ドゴーラは食べたものと同じものを排出する、世にも奇妙な生命体じゃ、じゃが分裂できるはずのドゴーラは、この弐本では分裂せんじゃった、それにドゴーラは共食いという事をせんかったのじゃ!、じゃぁなぜこんなに増えたんじゃ?」
「とっ、共食いさせたんですか!博士!!その命令を成神さんにさせたのですか?」
「そじゃっ!、ドゴーラそのものをすべて食わせたんじゃ数は増えんから、一部を食わせていったんじゃ、一部を食ったドゴーラは完全な形を排出するし、一部を食われたドゴーラはすぐに再生しよるんじゃ」
「”そじゃっ!”ってかわいく言ってみせてもダメです博士!なんてひどい、倫理に反します、いえ、禁忌、神への冒涜です!」
「ていうかのぅ、私がではなく、既に成神君がそう命令しておってのぅ」
「えぇっ、成神さん・・・が、嘘よ、そんなの」
「御神さん、彼らは弐本に来てから、一切食事をとらなかったんだ、だから僕が手に持っていたミカンを与え食べるように命じた、彼らはそれを食べ複数のミカンを生み出したんだ、彼らを生かすのには命令が必要だった、死に瀕した彼らは命令なければ死に絶えるのだろうか、いや、生物である以上きっと生きようとするはずだ、だから、こう考えてほしい、種の保全だと。あの星から持ち帰ったのは、確かに、私たち人間の勝手な行為だよ、地球ではいづれ食べるものもなくなり、命じなくても自らの意思で共食いを始めたかもしれないだろ、そんな、最初の一匹目を作り出さなくしたとね。」
「そんなの詭弁です、軽蔑します、成神さん」
「すまない。でも博士、”もうさせない ”というのは、どういう事ですか?」
「繁殖のメカニズムじゃよ、この巨大ドゴーラじゃ!彼らがキーじゃった」
「よかったぁ!じゃあ、どんなふうに増えるのですか」
「それがのぅ御神君、すまんのぅ、分裂と言っても、彼らが結局共食いの指示を出すみたいじゃ・・・」
「あーぁもぅ、やっぱり共食いなんですか・・・それが彼らの生ける手段で・す・か!」
「・・・さっ、そんなことはもう忘れて、ガルムさんたちが楽しくすごせる環境をっと!」
「さっすが御神君、切り替えが早いのぅ」
「じゃあ、種の存続は巨大ドゴーラに任せていいんですか?」
「成神君、御神君には内緒じゃが、もう少し指示を出しとってくれんかのぅ、まだ数が足りんのじゃ。」
「では、巨大ドゴーラに指示を出すように命じておきますね、それなら私も少しは気持ちが・・・ネ」
「そうじゃな、そうしてくれんかぃ。」こうして箱舟の一隻はガルムたちの生活空間となった。2番艦ガリューが誕生した。




