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天然皇女と3MENたち  作者: angelcaido
5章 Surviving Knight
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第59話 PAUSE

回避成功。


ただし、問題は先送りされただけでした。

ルードの包帯と松葉杖姿を見て、第二皇子はしばらく無言だった。


本当に、しばらく。


まじまじと見た。

角度を変えて見た。

一歩近づいて見た。


「……ルード」


「はい」


「……お前、それ本気か?」


「本気です」


「…………」


さらに沈黙が伸びた。


周囲の騎士達も、誰一人として口を挟めない。

「……わかった」


妙に納得した声だった。


「とりあえず俺も休憩する」

「ラミアと茶飲まなきゃいけないしな」


ルードとキドは同時に安堵の息を吐いた。


――が。


第二皇子はくるりと背を向けながら言う。


「それまでに直しておけよ!」


「休憩終わったら次はルードだからな!」


言い残し、さっさと屋敷へ入っていった。


沈黙。


騎士団の空気が、ようやく人間の呼吸を取り戻す。


キドが乾いた笑いを漏らした。


「……本当に骨折しても“小一時間で治せ”とか言いそうですね、あの方」


「言うな。あの人は言う」


ルードは遠い目をした。


「前に“気合いで熱下げろ”って言われたことがある」


「無茶苦茶だ!!」


「下がった」


「下がったんですか!?」


「下げた」


キドはもう何も聞きたくなかった。



ロエルが面白そうに二人を見比べる。


「ルード、お前、皇太子も第二皇子も慣れてるんじゃないのか?」


「慣れたくて慣れたわけじゃない」


ルードは即答した。


「終わらないんだ」


「お前達はいい。三人対峙すると決めている中での一人目、二人目だからな」


「だが俺は三人目だ!」


突然声量が上がった。


「俺で最後なら――いつまでも終わらないんだ!!」


キドが静かに顔を覆った。


「地獄だな」


「地獄だ」


ロエルが肩を震わせて笑う。


「……ユアン嬢苦手そうだよな」


「まぁ、そのようだな」


「けしかけてみたら良いんじゃないか?」


キドの胃がきゅっと縮んだ。


「そんな事したら、ロエル様とユアン嬢以上の喧嘩になるかもしれないじゃないですか!!」


「ハハ、面白そうだな」


「面白くない!」


ルードとキドの声が綺麗に重なった。



庭園。


一方その頃。


ラミアと第二皇子は、穏やかに茶を飲んでいた。


信じられないほど平和な光景だった。


ついさっきまで訓練場にいた人物とは思えない。


第二皇子が茶を一口飲んで、ふう、と息をつく。


「しっかし、団長は強くて良かったが……」


「キド様は騎士団長になられましたしね。私もいつもお世話になっています」


ラミアは嬉しそうに微笑んだ。


「だがロエルの奴、“怪我させるのもするのも苦手”なんて――」


嘘にも程がある、と言いかけたその時。


「ロエル様はお優しい方ですものね」


ふふ、と自然に笑うラミア。


「……」


第二皇子は言葉を失った。


「平和を愛する方なのでしょうね」


「……」


第二皇子は目をひん剥いてラミアを見た。



(同じ人物の話をしているはずだよな?)



ラミアは穏やかに茶器を置いた。


「お兄様お二人は、いつも仲が良さそうですよね」


「どこがだ?」


「いつも一緒にいらっしゃいます」


「それは対峙してるだけ…」


「でも最近はお二人ともお忙しそうですし、お会いできなくてお寂しくはありませんか?」


気遣うような声音だった。


第二皇子は即答する。


「寂しくない!」


「ふふ、強がるお兄様、何だかお可愛いらしいです。」


ラミアが、どこか楽しげに見守るような目で見ている。


第二皇子、絶句。


「……仲良かったことなんて一度もないぞ」


ラミアはきょとんとし、

そして、くすりと笑った。


「まぁ。お気付きになられていないのですね」


「大丈夫ですよ。仲良いです」


「………」


第二皇子は空を見上げた。


(同じ世界を生きているよな?)



庭園には、今日も平和な風が吹いていた。

お読みいただきありがとうございます。

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