11話
数日後、セレーネたちは王都に向かうために身支度を行なっていた。
通常であれば王都までの道のりは数日かかるが、セレーネの魔法を使用すれば一瞬。そのため、王都にあるソルネチア家には当日でも十分間に合う。
夜のパーティーの身支度も考え、早朝に移動の準備を行い、別荘につくなりすぐにパーティー準備が行われる。
「セレーネ、これで全部かしら」
「はい。ありがとうございます、奥様」
侍女とアニエスに手伝ってもらい準備を進めるセレーネ。
ユリウスも手伝うと言っていたが、アニエスに止められてしまった。
クスリと涙を浮かべてチラリと一瞬セレーネを見つめるが、すぐにアニエスに怒られてそのまま退散。
「………ねぇセレーネ」
「ん?はい、なんでしょうか?」
「貴女なら、【ファータ】の第三夫人を治すことはできる?」
「……はい。おそらく問題なく」
リュシュリシュの足にユリウスの呪い、ラベンダーの呪いを解いた実績があり、それらに比べればセレーネにとって第三夫人の体を治すことは簡単だ。
しかし、セレーネにとって治す時には必ず確認することがある。それは、本人の意思である。
何度か念を押しはするが、それでも本人が望まないのであればセレーネも治療をしない。ただ、セレーネが念を押すと自然と相手は本音を口にする。だから皆治療を受けている。
「もし、第三王女様と話す機会があれば、提案してほしいの」
「……わかりました。機会があれば、ご提案いたします」
◇ ◇ ◇
数時間後、準備が完了し屋敷の前に荷物をまとめておく。
見送りにアニエスとユリウス。数名の使用人たちが立ち会う。
「アニエス、ユリウス。屋敷のことは任せるぞ」
「はい、お任せください」
「レーネ」
ぎゅっとセレーネを抱き寄せて、ユリウスは寂しそうな表情を浮かべる。
強く抱きしめられ、セレーネの体を優しく撫でてあげる。
「浮気は許さない」
「すると思いますか?」
「思わない」
「ふふっ。ご安心ください。知り合いとしか関わりませんので。友人の少なさはごぞんでしょ」
「……悪いことだが、こういう時、君に友人がいなくて良かったと思ってしまう」
「ふふっ。そうですね」
ゆっくりと2人の顔が近づくが、全員が一斉に咳払いをしたことで、セレーネは一間があることに気づいて恥ずかしくなり、ユリウスは子供のように拗ねた表情をする。
呆れた顔を両親を苦笑をする使用人とルキウス。
「では行ってくる」
「行ってきます」
「行ってまいります」
魔法陣が発動し、セレーネたちの真下に魔法陣が展開され、3人は王都に移動した。




