7話
女性陣がお茶会をしている同時刻。執務室の扉がノックされ、そこで仕事をするリュシュリシュが返事を返す。
訪ねてきたのはユリウス。結婚式の準備についての相談や書類などを手にしてやってきた。
「順調か?」
「はい。特に母上が、レーネのドレスのデザインに気合が入ってるようで」
「あはは。まぁ、男兄弟だったからな、娘のドレスを選ぶのが楽しいのだろう」
「そうですね」
ふと、ユリウスは部屋にある鏡に向ける。
映るのは自分の姿。人間としての自分の姿だ。呪いによって白蛇の姿に変わってから、まさか愛しい人ができ、その人と結婚することができるとは思ってもいなかった。
本当に神様がいるのであれば、感謝の言葉を口にしたいと思った。
――― 穢らわしい……邪悪な獣に汚された人間
「………」
「そういえば、陛下の話は受けるのか?」
「え?」
「……セレーネと結婚後、爵位をもらうことだ」
現国王の妹君。ラベンダーの呪いを解いたことで、その褒美としてセレーネと結婚したのちに新しく公爵位をいただくという話だった。
ユリウスはリュシュリシュに話をすると、その時は返答しなかったが、彼はあっさりと許可を出した。
元々呪いが解けた後、ルキウスではなく、ユリウスを改めて後継者にする予定だった。だが、弟の努力を無碍にしたくないということで断った。それでも、優秀な長男をこのままにするわけにはいかないと思っていた。
それはセレーネも同様だった。
ソルネチア家もルーンナイト家もすでに後継者がいるため、優秀な2人を結婚させてそのままにするわけにはいかない。
2人の幸せを願っているからこそ、2人の才能が活かせることをしてほしいとも考えている。
爵位をもらうことで、きっと2人の家は国にとって重要な家門になる。魔法の才能を持つセレーネと騎士としても領主としても優秀なユリウス。三大公爵家と呼ばれる3つの家門以上の存在にきっとなるだろう。
「……まだ考えています。セレーネもまだ悩んでいるみたいですし」
「そうか……とはいえ、もらうにしろもらわないにしろ、私はお前たちが困っているときは手を貸す。だから、気を使うなよ」
「……ありがとうございます。父上」
「あぁ。そうだ、式についてはすでに陛下に連絡をれている。教会を介さずに、式を挙げられるように進めているからきにするなよ」
「……ありがとうございます」
教会での出来事は、すでに陛下やリュシュリシュの耳にも入っていた。
彼らの独裁国家のような振る舞いは長年の悩みの種だった。だが、それでも大きな動きがあったわけではない。陛下もリュシュリシュも、彼らの動きが加速した原因は、双子の女神の特徴を持ち、なおかつ宝石眼をもつセレーネの存在だった。
きっとこれから、彼らはどんな手を使ってでも彼女を手に入れようと動くだろう。
「ユリウス」
「はい」
「しっかり、セレーネを守るんだぞ」
「……もちろんです」




