6話
お茶会は続き、婦人たちから離れた席でお茶を楽しむ3人は、楽しく話をする。
主に、シシリーの惚気話がメインではあるが、時々シシリーが婚約者がいる2人に話をふったりする。
アルヴィスとクローディアの関係は特に発展はない。正式に王位を継ぐまでは、お互いにできることをやり、時々一緒にお茶をすることがあるぐらいだった。
反してユリウスとセレーネの中は親密なもので、特にユリウスのセレーネへの溺愛は、どこに行っても耳にするほどだった。当の本人であるセレーネは、人の姿になってからの彼の溺愛ぶりに戸惑うばかりだと話をする。
「そうか……サイラスの妹ということは、エフィニアとは義姉妹というわけか」
「シシリー様は、エフィニア姉様とお知り合いなのですか?」
「学科は違うか、学院の同級生でね。そうだな……私が勝手に恋敵と思っていた、かな」
「恋敵、ですか?」
「私の旦那も同級生で、学科はエフィニアと同じで、当時2人はとても仲が良かったんだ」
学院在学時、シシリーは彼女の旦那に一目惚れをしていた。学科が違うせいで、関わることもなく、どうやったら彼と話すきっかけができるだろうかと悩んでいた。そんな仲、彼の隣には常にエフィニアが一緒にいた。
2人が恋仲ではなく、友人同士であることは彼女の学科では有名だが、騎士科までにはその噂が届いてはいなかった。
「エフィニアは伯爵家の令嬢ではあるが、所作などが綺麗で、学業も優秀だった。多くの男性が彼女を恋にしていたそうだ」
「確かにエフィニア姉様は素敵な方です。その話を聞くに、上位貴族からも婚約の話はあったでしょう……」
「簡単な話だ。レオン様が、周りが引くほどにエフィニアにもうアピールしていたからな。その姿を見て、周りがかなり応援していてな」
「あぁ……」
レオンのエフィニアへの溺愛は、それこそユリウスのセレーネへの溺愛に似ているものがあった。エフィニアはもう慣れっこなのか、軽くあしらったりすることがあったりするが、それ学院からのものとなれば納得いく。
「当時の私は、それを知らなかったから、勝手に恋敵だと思っていた。しかし、運がいいのか悪いのか、私の学科と彼女の学科での合同授業があり、私たちはペアになった」
エフィニアは美しい所作で挨拶をするが、シシリーは複雑な感情を抱いていたこともあり、少しぎこちない挨拶をしたそうだ。
授業をする中で、話をすることも増え、その中でシシリーはエフィニアは彼女に人間性に胸を打たれて態度の悪さを謝罪し、その理由を話した。
「それから数日後、エフィニアの気遣いで彼と出会い、話をする回数も増えていき、卒業パーティーで私は大々的に彼にプロポーズをした」
「当時、私も1年生でしたのでそちらには参加いたしました。あれは、忘れられない思い出の一つです」
「あぁ。シシリー様が3年生ということは、サイラス兄様や殿下は当時2年生。一つ下のクローディア様は1年生ですね。兄様からはそのような話はまったく……」
「ちなみにその一年前は、レオン様がエフィニアにプロポーズをして、卒業と同時に2人は晴れて結婚したんだよ」
「その話はよく聞きました。サイラス兄様は随分恥ずかしがっていたと」
身内の公開プロポーズにいたたまれなくなったと、当時サイラスはセレーネに話していた。
しかし、そういう出来事があったからこそ、2人は新しい命を授かって幸せに暮らしている。シシリーもまた、死と隣り合わせの生活を送りながらも、旦那と幸せな日々を送っている。
「ちなみに、サイラスはいい相手がいないのかい?婚約の話も聞かないが」
「うちは、お父様もお兄様も恋愛結婚だったため、特にうるさく言っていないんです。このままずっと独り身でも、家はレオン兄様が継がれるので」
「んーそうかぁ……サイラスも、レオンと同じで、運命の出会いをすれば一途に恋をしそうなんだけどなぁ」
「確かにそうですが、まだその出会いがありませんから」
パーティー自体もあまり好んで参加しない。恋愛に興味がないというのもあるが、レオン以上にサイラスはややシスコンが強いところがある。そのため、セレーネはなんとなく自分と他の女性を比べているのではないかと思っている。
「でもきっと、良い出会いがあるでしょう」
それから数年後、アルヴィスの護衛騎士として他国に赴いた際に、とある女性と出会う。しかしこの出会いについて話をするのは、まだまだ先のことになるだろう……。




