間話2 ミミの独り言
「っあ~。つっかれた~」
『ミミ、お疲れ様でした。今日のフェス良かったよ!』
『ありがとう、サツキ!』
お風呂上り。PCの前に座りながら大きく伸びをする。
サツキからのチャットに返信してからぐたーっと背もたれに背中を預けた。
Vフェスの出演が終わり、ようやく家に帰ってきた。
無事イベントは大成功に終わり、皆で打ち上げ。
私は一次会の解散後、マネージャーに送られてそのまま帰ってきた。
大人はお酒を飲んでいるけど、私はまだ未成年。
飲むことはできないからし、遅くなると危ないから二次会にはいかなかった。
同年代の人も今回はいなかったし、微妙に居づらかったりもした。
私の事務所からの出演は私だけだったしね。
……それにどっちかって言うとカリタさん達と遊ぶ方が重要だし。
ちらっと時計を見る。時計は21時頃を指している。
”今日の集合は24時から”
まだ3時間ほど早い。どうしようかと思っていると、通知が目に入り確認する。
「あ、クローディアさんのLive配信……」
フェスと被るからリアルタイムでは見れなかった。後で見れるように通知設定はしたけど。
確か、シルビアさんがそっちに出演するからってフェスの出演断って、仕事が私に回ってきたんだよね。
本当シルビアさんって友情に厚いというかなんというか。
事務所と相談して決めたとも言ってたから、事務所の状況を俯瞰しているのかもしれなけど。
「そういえば、カリタさん達もちらっと出るって言ってたっけ」
今更私までフェス出演を断ることはできなかったし、仕方ないけど……少しがっかり。
リアルで会うチャンスだったのになぁ。
「過ぎたことを言っても仕方ないし見ようかな」
ボーっとしながら、クローディアさんのアーカイブを見始める。
1時間位だから、待ってる時間にちょうどいいし。
コメント欄は初めから盛り上がっていて、実に良い感じ。
始まる前にクローディアさんに電話はしたけど、その時は。ガチガチに緊張していた。
……それでも配信が始まったら緊張が全く見えない。彼女はプロなのよね。
シルビアさんもそうだけどこういう大人に正直憧れる。
「あー私もこんな大人になりたいなぁ」
配信するようになってから、配信外でも独り言を呟くことが増えた気がする。
コラボでもない限り、基本独り言のようなものだし、そういうものなんだろうかとも思う。
動画ではクローディアさんが歌い終わり、今、カリタさん達を呼んでいる所だった。
「あ、カリタさんとマツルさんは後ろの方か」
コメント欄もミキとバーゼスさんを知らない層が新たな女性Vの盛り上がっている。
クローディアさんの配信は割と女性もいるけど、比率で言うとやっぱり男性が多い。
あの二人が登場すれば、盛り上がるのも当たり前かな。
二人とも、クローディアさんに合わせて話すのがうまい。
楽しそうに話す姿は堂々としていて、こういう舞台に慣れているようにすら見えてしまうほどだった。
「本格的に配信者として適正ありそうよね。あの二人」
今後うちの事務所に誘っていいか、聞いてみようかな。
多分、本格的にマネージャーが付いたら人気が出ると思うんだよね。
……まあ、このまま個人勢としてあのゲーム以外の配信もするのかもしれないけど。
配信自体に興味があるのかはわからないし。
動画内では話が終わり、ミルシア・シードのCMソングを歌います。そう言って歌い始めていた。
この曲、初披露よね。聞いたことないし。ミルシア・シードの運営フットワーク軽いよね。
……なんでこの運営で最初期広告すらしなかったのか。それがわからない。
あ、カリタさん達はバックダンサーに徹している。
うーん。二人も何か話せばいいのに。きっと興味持つ人が増えるはず。
そう思いながらも視線は動画に釘付けになっていた。
え、と思う。クローディアさんの歌は元からうまいけど、期待できないと思っていた皆の演出が凄い。
「皆、上手くない? 素人のはずなのにセミプロと言われても納得できちゃうよ」
4人のダンスも全然素人に見えない。パフォーマンスがいちいち決まっていて、すごく格好いい。
コメント欄見ても、同様の意見で占められているらしく、歓声のコメント以外でも驚きのコメント。
中にはプロ連れて来た?的なコメントまでいる。
「なんだろう。みんな凄いなぁ」
あのゲームを始めてから、また凄い友達が増えた。
一回だけの配信のつもりで受けたゲームの配信だったのに、そこからこんな出会いであるなんて思わなかった。
「私もみんなのようになれるかな。……うん、なれるように頑張ろう」
誰にも言わないけど、自分も皆に追いつきたい。
……なんとなく、みんなに早く会いたくなる。
私はもう一度大きく背伸び。時計を見る。
……今日の集合時間。早くこないかなぁ。




