9-1話 いつもの二人で遊びに行きました
「6竜も残るは火竜だけかぁ」
「なんかあっという間だねー」
今は昼。親が出かけているため、昼飯どうしようかと思っていると、いつもの通りミキがやってくる。
そうなると飯を外で食べるかー、という事になり、いつものファミレスへ来ていた。
取り留めもなく話していると、ふとゲームの話になる。
「ま、あっちももうすぐ倒せそうだし、俺たちが混ざれるタイミングじゃないよな」
「そうよね。それでも1体は倒せたし十分じゃない?」
「ま、そうだよな」
ハンバーグプレートをつまみながら今後の事をどうするか考える。
次インしたら、アジュに連絡。その後レストアの街に戻って……賢者祭か。
いい情報を聞けるといいけどな。
ミキの方も何か考えていたようで、少し悩んだ後口を開く。
「うーん。……あ、そういえば明後日はカリタ何か用事ある?」
「いや、特にないが」
「じゃあ、今度、どこかに遊び行かない?」
ミキがわざわざ聞いてくる。珍しいこともあるな。いつもなら朝のうちにやってきて遊びに行くと言うのに。
……あ、そういえばミミと遊園地に行ったって話したから、ミキも行きたくなったのかもしれないな。
それならわざわざこちらに聞いてくるのにも合点が行く。
「そうだな。それなら遊園地に行くか?」
「へっ?……あ、ああ。うん、行こう!」
俺の言葉が予想外だったのか。一瞬慌てたようになり、しかしすぐに首肯する。
あれ? なんか予想と反応が違うな……。まあ、いいか。
「ほかにも聞いてみるか? マツルとかバーゼスさんとか?」
「……うーん。今回は二人じゃダメかな?」
一瞬ため息を吐きそうになったように見えたが気のせいだったか?
ともかく、二人でと来たか。……ま、いいか。あいつらの関係も新しくなればいいと思ったんだけどな。
「ん、わかった。じゃあ、駅で7時に待ち合わせだな」
「オッケー!」
ミキがそこまで言ったタイミングでミキの電話に着信がある。
慌ててミキがその電話を取ると話し始めた。
「はい、どうしたのクロちゃん?」
『 』
どうやら電話の相手はクローディアさんらしかった。
しばらくミキがふんふんと聞いていると、おもむろにこちらに視線を向けてくる。
俺は軽く首を傾げる。
「あ、クロちゃん ちょっと待って。カリタにも聞いてみる」
そういうと、ミキはこちらに向け聞いてきた。
「なんかクロちゃんが明日やるオンラインライブに呼んでた人が、急遽来れなくなったらしいのよ。
代役として私たちに出て欲しいって言ってるけどどうする?」
……なんか急に重大な事を言われた気がする。
気がするが友人からのヘルプな以上、用事もないし断る理由もないか。
ミキがスピーカーに切り替えているのを確認。口を開く。
「わかった。クローディアさんが良ければ了解した。後、俺たちという事は時間があればマツルとバーゼスさんも呼んでいいかな」
『助かるっ! もー本当にどうしようかと思って。この時期同業者は割と予定詰まってて完全に穴が開きそうになってたのよ!』
クローディアさんの切羽詰まった声音。
まあ、素人の俺たちに声を掛けるぐらいだし、相当困っていたんだろうな。
ミキもそれは感じてたようで、頷くとクローディアさんに答える。
「それで、どうすればいいの?」
『これから私の所属する事務所に来れる? 場所はミキちゃんのスマホに送るから』
「わかったよ」
『そこで打ち合わせ。明日に備えないといけないのよ』
「了解。マツル達にも連絡しておく」
『お願いね!』
そしてクローディアさんからの電話は途切れた。
しばらくして俺たちは顔を見合わせる。
「大変そうだね。クローディアさんも」
「俺たちで本当にいいのかなぁ。ま、ミキとバーゼスさんを前面に出しておけばいいとするか」
「あ、ひどい……って、出るときにアバターどうなるんだろ?」
「いや、声だけかもしれないぞ」
「そうだったらわざわざ事務所まで来てなんて言わないと思うわよ」
言われてみればその通りだ。
ミキにはバーゼスさん達との連絡を任せ、俺はミリンに連絡を取る。
「ミリン。出れるか?」
『なんじゃ? 外から連絡とは珍しい』
「なあ、俺たちのゲームのアバターって、まったくの別用途で使ってもいいのか?」
『何かあったのかのう?』
「ああ、クローディアさんのオンラインイベントで―――」
そう言って、先ほどのやり取りを伝える。
ミリンは静かに聞き終わった後、すぐに答えを返してくる。
『ふむ、カリタ達と結んでいる規約上は問題ないのじゃ。すぐに使えるようにしておくから、後は任せるのじゃ』
「任せるよ。ミリンがいて助かった」
『クローディアも大変そうだからのう。協力は惜しまないのじゃ』
いや、本当に助かるな。このナビAI。ゲーム以外でも色々なところでお世話になっている状態だ。
『後は、相手の事務所にも念のため話をしておくから、お主たちはクローディアの所に向かうが良いのじゃ』
「いや、本当に助かる。……ミキ、OKだそうだ。じゃいくか」
「うん。バーゼスさんもOKだって。マツルにはつながらないね。また後で掛けなおそう」
「わかった。じゃあ向かうか」
俺たちは慌ててファミレスから出て駅に向かう。
しっかし……なんか妙な事になったなぁ。
今年最後の投稿になります。読んで頂きありがとうございます。皆様よいお年をお迎えください。




