8-6話 町のギルドに行きました
「あーやっぱり廃坑には入れないか」
「情報通りだったね」
俺のボヤキにイルミが応じる。
情報通り今回入りたい鉱山は完全に封鎖され入れない状態になっている。
そうなると、廃坑に入るために必要な方法を探す必要が出て来る。
冒険者ギルトに行くのは当然として、アジュの配慮もあるし錬金術ギルドも行く必要がありそうだった。
「うーん。そうだな。二手に分かれるか。クローディアさんとバーゼスさんとミミ、あとリーフさんで錬金術ギルドへ行ってくれないか?」
「ヨキ君はどうするの?」
「残りのメンバーで冒険者ギルドへ行く。鉱山での討伐の依頼を探してい見るよ」
「まだ残ってるかしらね?」
「今は竜退治がメインだからな。残っている可能性はあると踏んでいる」
「なるほどね。わかった」
クローディアさんは頷く。
一方の俺たちもまた冒険者ギルドへ向かう。
砂漠の町のギルドはこじんまりとしたレンガ造りの建物だった。
中に入るとほとんど冒険者はいない。大体のプレイヤーが竜退治に行っているのだから当然といえば当然か。
ただ、妙齢の女性が退屈そうにカウンターに座っていた。
イルミはさっさとその女性に近づくと話しかける。
「おはようございます!」
「ああ、おはよう。珍しいね。冒険者が来るなんて」
「そうですか? お姉さん。何か依頼がないか見に来たのですけど、ありますか?」
「へー。あんたたちは竜退治じゃないんだ」
「ええ、そうなんです。別の町で鉱石集め依頼されてたので、ついでにあればと思ったんですよ」
「あー。なるほどね。廃坑の魔物退治の依頼もあるけど……新参者には紹介できないね」
妙齢の女性はそう言ってこちらを見る。
確かにその通りではあるか。この辺は信用の問題。
この街での積み重ねがない以上、そういう事もあるか。
そう思いながら、俺は掲示板にある依頼を眺める。
一方イルミの方はと言うと、女性と話を続けていた。
「へー、そうなんですか? 廃坑の魔物退治にしては随分慎重ですね」
「おや? そこに引っかかるかい?」
なんとなく、女性の雰囲気が変わってきている気がする。
それに気づくか気づかないか、イルミは話を続ける。
「ええ、本来一般人が来ることのない廃坑を封鎖する事自体が不思議なんですよね。
むしろ冒険者に開放して経験詰ませる場所としてもいい位。
それがわざわざ依頼の形で、しかも信用がないと受けられない。……それ、変ですよね」
「なるほど、そこまでわかっているなら……わかっているね」
女性の目が細められる。妙な圧力を感じるのは、彼女の発する迫力のせいだろうか。
しかしイルミは笑いながら言う。
「はてさて、私たちは冒険者なもので……さっぱりわかりませんよ」
「……かー。若いのに思ったよりも図太いね」
女性は天井を仰ぎ見ると、再びイルミを見る。
「あえて首を突っ込むのなら止めはしないが気をつけなよ」
「私たちは廃坑で必要な鉱石を取れればそれていいので、妙な事をするつもりもないですよ」
「ま、そのスタンスならそれでいいさ」
そして女性が豪快に笑いながらイルミの肩を叩く。
イルミは頷きながらこちらに戻ってきた。
俺たちは挨拶をしながらすぐにギルドを後にする。
誰もいない通り道を3人で歩きながら打ち合わせ。
「廃坑の件、政治的な部分まで関わってきそうね」
「アジュが来た時からそこは予想済みだけどな」
「そうだよな。全くこっちは鉱石を取りに来ただけなのに、迷惑だな」
好き勝手文句を言いつつどう入るか考える。
……と言うより、本当に何かあるならそろそろ反応がありそうなものだが。
そう思いながら歩いていると、イルミが3歩前に歩き振り向いた。
見えない位置にリターンナイフを握っているのがわかる。
しかし普段の会話を続けながら歩き……
「本当、困ったわね……」
そんな事を言いながら自然な動作でナイフを投げた。
イルミ:1人は戦闘不能。残り2人。距離は10m位
チャットでその言葉が流れると同時、俺たちは動きを変える。
振り向きざま、状況を確認。
誰もいないように見えるが、リターンナイフが何もない空間に突き刺さり、そこから赤い色が見えた。
恐らく魔術で身を隠していたのだろう。つまり俺たちを襲撃しようとしたという事。
そんな奴らに容赦をする必要もない。
俺は一挙動で闇色の腕を作り出し、無造作に薙ぎ払う。
姿が見えないのなら、面で攻撃をすればいいだけだった。
その攻撃はあっさり襲撃者をとらえ、壁に叩きつける。
三人の襲撃者はそれぞれ壁にめり込み、動かなくなった。
「思ったより、弱いな」
「もう少し抵抗あるかなと思ったけど……死んでる?」
「いや、息はあるな。しかし自殺されても困る。縛り上げて、ついでに毒類も浄化するか」
そう言ってマリオは早速襲撃者を縛り上げる。
さて、情報源は手に入ったし、どうするかな。
今回は時間がないので短めです




