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8-5話 イルールの町に着きました

マツルのストーカー疑惑は気になる所ではあるが、今の所実害もないし運営の調査結果を待つしかない。

その後普通に遊んだ後は普通に家に帰る。夜ご飯を食べた後、今日も今日とてログインするとミリンもすぐに起動した。

そのミリンに一応マツルの事を聞いてみると、かなり渋い顔をされた。


「個人情報関係のセキュリティは最大限気を使っている部分じゃし、配信だろうが必ずチェック修正しているからのう。

多分ミルシアシード内からではないと思うのじゃ」

「まあ、そうだよな。仮にストーカーだとしたらどうやって見つけたのかわからないな」

「ただマツル殿はその辺気をつけているし、漏れるとしてもミルシアシードの配信内位しか考え難いのも事実じゃ」


ミリンはそう思っているらしく、さらに顔を顰めることになっている。

どうやらミリン自身は今回の事をかなり深刻に受け止めているようだった。


「こうなると予想外の情報から、個人の特定に繋がることもあるしその辺から当たるしかないのう」

「そうだな……それしかないか」

「絶対ない。というのは結局の所証明するのは非常に難しいからのう」

「ま、あまり深刻に考えなくてもいいと思うぞ。ただのスパムの可能性もあるしな」


俺はそう言ってゲームを始めるため移動を始める。

そしてふと思って聞いてみた。


「そういや俺のボックスにはなんか変なの来てるか?」

「ん? ああ、しょっちゅう『イルミちゃんと仲良くするな』とかは来ておるな。速攻破棄しておるのじゃが」

「あー、やっぱり来てるんだなぁ。そういうの」

「配信してるとやはりくるのじゃろうて。まあフィルター役は私がやるから気にしない方がいいのじゃ」

「ああ、よろしくな」


そう言っていつものように光に包まれる。

こんな木端配信者でもそういうの来るもんだなぁ、という感想は心の中だけに留めておくことにした。





ライグニットに到着してからまずは冒険者ギルドへ。イルールの情報を確認する。

マリオとリーフさんは別行動、リーフさんが懇意にしているという鍛冶屋と武器屋を紹介して貰いに行っていた。


「やっぱり今は竜退治の依頼が人気ね」


依頼掲示板を確認しながら納得の呟きをしているのはイルミだった。

その内容には俺も同意する。


「そりゃそうだ。初めての大規模レイドイベントだもんな。ある程度やってる人なら積極的に参加するよ」

「それに思ったよりも報酬が良かったからね」


イルミが相槌を打ちながら、言葉を続ける。


「しかし、そうなると、他の依頼の消化率がいまいちになってそう……」

「その辺はレイドに興味ない層に任せるかんじになるでしょうね。後は私たちのように一旦休憩している層とか」


クローディアさんがそう言ってついでで受けられそうな依頼を探す。

受けても問題なさそうな、イルールでのアイテム採取依頼を受ける。


依頼を受領するここのギルドの受付は大柄な渋いおっさんだった。

レストアのような花はないが、これはこれで冒険者ギルドらしいとも言える。


「おお、依頼を受けるか。しかし気をつけろよ。最近イルールでは竜が暴れているからな」

「そうですね。気をつけます」

「ああ、それとこの鉱石の採掘依頼だが、一部魔物が出るとかで鉱山が侵入禁止になっているらしい」


クローディアさんとギルドのおっさんの話に気になる部分が出て来た。

が、聞き役はクローディアさんに任せ、俺は特に混ざらず、聞くだけに徹する。

一方、クローディアさんはへー、と頷いた後、念のためと言った感じで質問する。


「なるほど。それだと私たちでは直接探せないという事かしらね」

「そうでもないぞ。イルールの冒険者ギルドで鉱山の魔物討伐依頼を受ければいい」

「ああ、それはそうですね。討伐依頼のついでに集められますからね」

「どうしても入れなそうなら、店頭で買うしかないだろうな」

「それは避けたいですね。赤字になりそう」


ちゃんと攻略の手引きをやってくれる感じ、初心者にも優しい、いいギルド職員だな。

ともかく、鉱山進入禁止はちょっと厳しい。まあ、まずはイルールに行くことには変わりないが。

そんな事を思っていると、新たにギルドの扉が開く。


振り返ると、見たことがある赤毛の女性がそこに立っていた。


「イルミ殿にバーゼス殿! 折角来ているならこちらに寄ってくれれば良かったのに」


以前助けた錬金術師の女性、アジュはこちらを見るなり言ってくる。

こちらとしては今回寄るつもりがなかったが、あっちはそうでもないらしい。

と、言うかどうして俺たちが来ていることを知っているのか。

同じことを思ったらしいイルミが、若干の驚きと共に聞いている。


「……おかしいな。アジュにはいるって連絡してなかったはずだけど?」

「防衛用に開発中の術式に、登録しておいたからな。きちんと稼働できているという確認にもなった」

「あー。なるほど、つまり私たちは危険人物だと思われていると」

「味方となれば頼もしいが、敵対したら厄介極まりないからな。当然と言えば当然さ」


イルミの嫌味にしれっと言ってくるあたり、わかっているな。

そう、俺たちは冒険者だからな。場合によっては敵対する可能性だってあるという事だ。

アジュは、つかつかとこちらに寄ってくると、笑顔で聞いてくる。


「今回はしばらくライグニットにいるのか?」

「いえ、依頼でイルールに行くのよ。ここには通り道として寄っただけ」

「なるほど、イルールか。風竜討伐に参加するのかな」

「いえ、単純に採掘と護衛の依頼ですよ。今回は風竜討伐は見送りです」

「むう……予想が悉く外れるな」


むくれる様に愚痴るアジュにイルミは苦笑い。

この二人、なんとなく気が合うのだろうな。

そう思いながら黙って見守っていると、アジュは気を取り直したのか、一枚の封書を差し出してくる。


「まあ、イルールに行くなら、この封書をイルールの錬金術ギルド長、レクター・サウザンドに渡してくれないか。

むろん正式な依頼だから報酬も出す」


その言葉にイルミがチラリとこちらを向いた。俺は黙ってそれに頷く。

アジュを通して、ライグニットの政治面に繋がりができた以上、それを通して各種機関と繋がりを増やすのは悪い話ではない。

それに鉱山が封鎖されている以上、入るためにイルールの機関の許可が必要になる場合も想定する必要がある。

この封書が俺たちの信用を引き上げる可能性が高い以上、素直に受けた方がメリットがある。

そこまで考えて、考えを改める。

俺が考えていたことはバーゼスさんも同様だったようで、苦笑いしながら話す。


「アジュも人が悪いですわね。私たちの目的、始めから全部調べた上で来ましたのでしょう?」

「さて、なんのことだかわかりませんな~」


ワザとおどけて言ってくるあたり、まあそういう事なんだろう。

依頼は方便、あくまで俺たちに協力をしようという事なのだろう。


「アジュ、ありがとうね」

「帰ってきたら今度はこっちに来なさい。お茶会でもしましょう」

「ええ、ぜひ」

「フフ…… と、そろそろ時間か。じゃ、また。約束だからね」


アジュはその言葉を残し踵を返す。

こりゃ、相当忙しい時間の合間を縫ってきたという事か。

俺たちはお礼を言ってアジュを見送った。


しかし、ここでアジュも出てくるか。

ゲームとして見ると今回の依頼、一筋縄ではいかないかもしれないな。


彼女が出てきたという事は、少なからず政治面でも何かあるという意味でもある。

つまり単純な採掘依頼では終わらない可能性も出て来たわけだ。

……単にアジュの好意で来てくれたってだけの可能性もあるけどな。こっちの方が気楽でありがたいが。


なんとなく考え込んでいると、目を丸くしたギルドのおっさんがクローディアに話しかけている。


「なんだ、お前たち、宮廷錬金術師と知り合いなのかい?」

「ええ、まあただの友人ですよ」

「そりゃあ、また……。お前たち、是非うちのギルドに登録しないか?」

「いえ、私たちはレストアのギルドに正式登録してますので。変えるつもりは今の所ないですよ」

「それは残念だ。ま、無理にとも言えないしな」


早速勧誘が来る辺り、アジュの立場が依然と比べ高くなっているようだった。

ま、それはどうでもいいことか。


「さて、じゃ、そろそろ行くか」


俺はそう言って、外に出る。

イルールで時間がかかる可能性を考えると、早めに到着する必要がある。

遊ぶ約束をリルムとしたからな。約束は守るものだ。




俺たちはライグニットを出発した。

極めて順調ま旅路。そしてしばらくすると景色が一変する。

街道こそレンガで敷き詰められ、馬車での移動が可能になっていた。

しかしその風景は一面砂、砂、砂。砂漠の国と言われているのを改めて実感する。

日差しも強く、特に金属鎧を着ている俺たちにとってはダメージになりかねない環境だった。

外に立つ人間を最小限に抑え、基本馬車の中に避難する事になった。

もちろん外套を羽織るのも忘れない。

馬車を引っ張る馬の体調を万全にするため、魔術で遮光カーテンを作り、負担を掛け難い形で進む。

さらに冷水を作り、休憩時に浴びさせるなどしながら順調に進む事になった。



本来こういう時は昼間は休み、夕方ごろから移動をするのがセオリーと聞いているが、夜になると街道にも魔物が現れる。

夜目が効き難いパーティでもあるため、昼間移動し馬車をフル活用することを選ぶことになった。


そして、ついに大したトラブルもなく、イルールの町に到着することとなる。


「いやあ、あっさり到着したわね」


イルミの言葉に俺も頷く。


「そうだなぁ。ここまで順調だとちょっと驚く」

「いや、まあ、普通はこんなものだと思うぞ」


俺の感想にマリオが突っ込みを入れてくる。

まあそうなんだが、どうもゲーム脳が過ぎる気がしているな。


「まあ、今日は宿屋を取りましょう。鉱山行くのは明日にするわよ」

「そうだな。今日は休もうな」


クローディアさんの言葉にリーフさんも応じている。

うん、そうだな……本番は明日だな。

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