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8-2話 お使いイベント承諾しました

「俺の予定から考えると、出発は3日後だな。正式に受けるならその時に詳細を話す」

「わかりました。また連絡します。……あ、それはそれとして繋ぎは必要なので何か買いたいのですが」

「ああ、そうだな。なら、この剣はどうだ。屑を集めて作ったから純度は低いが一応ミスリル製だぞ」

「ミスリル製……それはまた結構な物ですね」


そういいながらその剣を見る。

攻撃力はミスリル製にしては低めなのは、純度が低いという所の表れか。

次にこの武器にエンチャントされている能力を見る。


・自動修復(低)

・魔力伝導(中)

・業物


純度が低いことがここでも反映されているようだ。

しかし、なんか妙な能力もついている。これはリーフさんの鍛冶技能が凄いという事か。

まあ、今の俺のレベルなら十分過ぎる一品な気がする。


「いくらですか?」

「1万でどうだ?」


通常のミスリル武器なら3倍はする。性能比でもかなりの破格と言えた。


「ミスリルにしては安すぎますね……」

「あくまで習作だからな。本来売り物にならない物が売れるなら十分だろ」

「なるほど。わかりました。助かります」


俺はそう言って、即決で購入する。この金額をポンと払えるくらいになったんだな。

こうやって少しづつやれることが増えるのを実感できるのが、こういう時なのかもしれないな。


「毎度あり。ま、俺としても優秀な冒険者と繋がりを持てるのはありがたいからな。その先行投資でもあるさ」


そう言って剣を渡してくる。

俺もそれを受け取ると腰に差した。


「そう言って貰えると嬉しいですね。では、失礼します」


俺もそう答え、入り口に戻る。

戻ってみると、何やらイルミが難しい顔をして一つのチェインメイルを見ていた。


「どうした?」

「うーん。ミスリス製のチェインメイルを出してくれたんだけど、流石に高くて手持ちじゃ足りないのよ。

ランクダウンして今までと同グレートのチェインメイルにしないといけないかな、と。でも欲しいのよね」


そう言って、イルミはじーっとそのチェインメイルを見ている。

そういえば、防具が欲しいっていってたな。

一方、ミミの方は新しいロングソードとラウンドシールドを買っていたようだ。


「私は先にこっちを買っちゃったから、融通もできなくて」

「まあ、それは当然だな」


まずは自分の戦力強化。当然の事だった。

しかし、普段から倹約しているイルミでも買えないとなると相当高いはず。


「儂が打った鎧だからな。趣味で作ったからコスト度外視で店売りできん品でもある」

「おやっさん。これ俺たちのレベルで買える物じゃないんじゃ……」

「ふむ。そうか? そろそろだろうと思ったが」


この鍛冶屋の親父、相当腕がいいのがわかっている。

その親父が言うのだから相当なものなのだろう。

そう思っていると、イルミが言ってくる。


「そうなんだけど、これ防御範囲が全身なのよ。流石に無理してでも買いたくてね」

「それは凄いな」


つまり、この鎧一つで頭部から足先までカバーするわけだ。

どんなエンチャントなんだ。その防御範囲。


「それで価格は?」

「8万」

「小さな家なら買えるな……イルミが出せる金額は?」

「5万。こないだの地竜討伐報酬丸々とってあるのよ」

「そうか……」


かなり考える。イルミのポジションは探索系。

ダンジョンにおける生命線だ。場合によっては後衛を護ることもある。

この装備一つで全身カバーできるなら、十分以上のメリットになる。


「なら、俺が残りを出すか」

「え、いいの? 残り3万よ?」


驚くように言うイルミに俺は頷く。


「ああ、ただし俺の方で受けたいクエストがあるからな。それを手伝ってくれ」

「それ位ならお安い御用よ。やったー!」


俺からお金を受け取ると、イルミは即おやっさんに渡す。

おやっさんは数えもせずに受け取ると鎧をイルミに渡した。


「お前さんらもそろそろよい装備が必要な時期だろう。しっかり揃えるべきだな」

「ありがとうございます!」


イルミは破顔して早速装備する。

デザインもシンプルながら洗練されていて、イルミには結構似合っている。

装備してから装着感の確認をし、今にも飛び跳ねて喜びそうな様子だった。


「あ、思ったよりも軽い……これで今までよりも防御力が高くなるって」

「素材が素材だからな。ま、それでも汎用で手に入る範囲だ。お前たちが強くなればこれよりも珍しい物も手に入るだろう」

「その時は、おやっさんやリーフさんに頼んでいいですか?」

「出す物出せばな」

「それは当然」


つまり、素材を提供することで専用装備を作ってくれるという事だ。

俺たちは感謝の礼を言って、鍛冶屋を後にした。

イルミは特に足取りも軽い。


「折角だから商店街も寄ってく?」

「そうだな。俺の依頼は3日後だからそれまでフリーだし」

「え、そうなんですか? じゃあ、明日は近場でギルドの依頼受けたいんですが、一緒にいいですか?」

「あー。まあ、少しはお金補充しないとだし一緒に受けるか?」

「お願いします!」


そんな雑談しながら商店街を歩く。


ここの商店街は主に普通に生活するのに必要なものが並んでいる場所で、

比較的冒険者は少ない場所。色々な食べ物、や衣類や家具などが売っていて、

ちょっとした買い食いやオシャレをしたいときに寄る。そんな場所だった。


「おじさん。焼き豚串焼き3つ」

「はいよ!」


途中で買い物をして食べながら歩く。こういうロールプレイもこのゲームの醍醐味のひとつだと思う。


「お、お兄さん冒険者かい?」

「はは、そうですね」

「頑張ってくれよ。最近は物騒だからな」

「そうですね。何かありましたか?」

「北のエストランド帝国じゃ、天竜が出現したって話だし、西のプラムハウ諸島では水竜が暴れているらしいぞ」

「なるほど……」


竜か……この辺やっぱり大規模レイドに関係してそうだな。

まあ、そこは他の冒険者に任せて俺は装備改良かなぁ。


おじさんに礼を言いつつ、二人に渡す。

そして歩き出した所で、見知った少女が目に入った。

彼女も俺たちに気づくと、トトトと近づいてくる。


「こんにちは。ヨキさん」

「こんにちは」


ばったりと冒険者ギルドの看板娘、リルムに出会ってしまうのだった。

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