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7-9話 配信を鑑賞しました

さて、といつものベッドから体を起こす。

近くにかけてある着物に着替え、リビングに向かった。

このルームは皆で遊ぶことが多く、共同で改築を施していた。

今じゃ、5LDKまで拡張されている。これ、もうシェアハウスと化しているような……。

この隠れ家的な雰囲気は嫌いじゃないしいいけどな。

ともかく寝室から出るため扉を開けると、リビングから聞きなれない悲鳴が聞こえてきた。


「みぎゃああああああああああああああ!!!!」

「ちょ……まっ……!! く、くるし……!」


慌ててそちらに向かうとそこには。

緑髪のショートの少女が、VRゴーグルをしたまま、銀髪の女性に抱きつきながら悲鳴を上げている所だった。

一体何が起きているのか……と絶句していると、俺に気づいたのかミリンが寄ってくる。


『カリタ殿。お疲れなのじゃ』

「おう……残念ながら負けちまったな」

『無事に戻ってこれてよかったのじゃ』

「まあな……所でこれは?」


そう指し示すのは緑髪の少女、カナエと銀髪の女性、バーゼスさんだった。

ミリンと話している間もまだ悲鳴が続いている。

ミリンはその二人の事をガン無視して俺の質問に答えてくる。


『ああ、待ってるのが暇というからホラーゲームでもやっててもらったのじゃ』

「ゲーム内で別のゲームやってるのかー」

『麻雀台を置いているのに今更なのじゃ』

「確かに……」

『ちなみにカナエ殿の方では配信しておるのじゃ』

「この状況が全国配信……?」


ひどい状況だなぁ。と思いながら眺めている。

あ、バーゼスさんがこっちを見て助けを求めてる様に見える。

その様子に俺はちょっと考えて。


「キマシタワー?」

「ヨキ君! そうじゃないから! 見てないで助けてよ!」

「みゅみゃああああああああああああああああああ!!!」


仕方がないのでカナエからVRゴーグルを外す。

一瞬で視界が戻り、目の前で思いっきりバーゼスさんに抱き着いていることを確認した。

その上で、一向に離す気配がない。


「……カナエさん?」

「バーゼスさんって、本当に柔らかくって抱き心地最高!」

「ちょ、ま……!」


なんだ、やっぱりキマシタワーか。

バーゼスさんが再びこちらに助けを求める視線を向けてくるが、下手に関わるのは止めておく。

百合の間に挟まる男なんて無粋にもほどがあるからなー。


俺は彼女たちから視線を外し、ミリンへと目を向ける。

バーゼスさんが見捨てられた子犬のような表情をしていた気がしたが、まあ本当に嫌だったら普通に脱出するだろう。


「ま、そんなことより地竜との戦いがどうなっているかわかりそうか? ミリン」

『そうじゃのう……。大体のエラーは回復できたから見れるとは思うのじゃが……。ふむ、この配信みてみたらどうじゃ?』


ミリンはそう答え、モニターに配信画面を映す。

そこに目を向けると、大柄な中年男性がミミと地竜の間に割り込み、地竜の攻撃を完璧に受け止めている様子が映されていた。


……あれは、ゴンザさん?


このゲームに入ってからすぐ。このゲーム内で会った人の姿。そういえば直接は会ってなかったなーと思う。

あの人、俺が止められなかった攻撃を完璧に止めているよ。

凄いな……と思いながら見ていると。配信上に動きがあった。


”待たせたな!!”


吠える様に言いながらゴンザは地竜の爪を振り払い、突撃を仕掛ける。

同時、水の槍が上方から地竜に降り注ぐ。


”あ、それ、ゲームのセリフですね。知ってます。でも、ちょっとタイミングが遅くないですか”


そう言いながら魔術の連射を行うのは腰まで伸びた黒髪の女性。ミスズだった。

彼女の魔術は圧倒的な手数を誇り、地竜に連続してダメージを与えていく。


”もうあのゲームも古典の域なんだよな”


オールバックに揃えた男。タロウもゴンザと並ぶように攻撃を加えていく。


そして、


”いやー。タロウ達がいてくれて助かったわ”


そう言いながらミミの前に立ち、防御姿勢になっているのはクローディアだった。

なるほど、クローディアさんが呼んだのか。

俺以外がまだ無事にすんで良かったと思うと同時、あの3人がすごく強くなっている事に驚く。

俺たちは効率プレイはしていなかったが、彼らは同じ時間で相当効率プレイをしていたようだ。


「あ、あの3人強いわね」


声の方に目を向けると、カナエを引き離しながら画面を見ているバーゼスさんがいた。


「そうなんですよね。プレイ時間は俺たちとほぼ変わらないはずなのに、ずいぶんと差ができてます」

「私たちはその辺、効率プレイはしてないから当然と言えば当然ね」


あそこで一緒に戦えないのは少し悔しく思う。

少しは効率上げてレベルアップした方がいいのか。

……いや、それも面白いとは思うけど、今のプレイスタイルの方が面白いと思ってるからな。

皆の意見も後で聞いてみよう。


「あ、あの魔物。大分弱ってるわね」


バーゼスさんの言葉に俺も頷く。

狂化による攻撃力アップの時間も過ぎ、露骨に動きが鈍くなっていた。

あの動きなら、もうすぐ倒せるだろう。


そして、


”これで止めだ!!”


ゴンザさんの一撃が地竜のこめかみを貫き、動きが止まる。

ビクンと痙攣しながら横倒しになり、轟音と共に倒れ込んだ。


”やったー!”


これはミミの声か。

その声を切っ掛けにして、画面内では各々健闘を称えあう姿が映っていた。


「お、倒せたなー」

「うんうん。良かった。一時はどうなるかと思ったけど」

「全滅にはならなくてすんで良かったですよ」


俺とバーゼスさんとカナエさんでハイタッチしあって喜ぶ。

あの場にいれなかったのは残念でもあるが、まあイベントクリアはクリアだった。


後は、皆が戻ってくるの待ちだな。


「ふっふっふ。では次、バーゼスさんの番ですからね」

「え、なに?」

「ホラーゲーム」

「え、いや、その……」

「がんばれー」

「ヨキ君! そこ! 追い詰めないで!」


カナエさんがバーゼスさんにニコニコとVRゴーグルを渡している。

バーゼスさんの腰の引けっぷりが面白くて、俺も煽ることに決めた。


さて、俺たちはこのまま別のゲームを遊びながら待つとしようかな。

思いっきり叫びならホラーゲームを始めたバーゼスさんがちょっと新鮮だった。


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