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7-7話 探していた魔物に出会いました


例の魔物が恐らくいるだろう方向へ、4人で歩を進める。

この洞窟はあくまで自然の物で、罠のようなものは設置していないようだった。

とは言え、落とし穴の件もあるし、俺が探索役となり、先頭に立つ。

こういうのは普段、イルミの役だったんだけどな……

当然慣れない作業でもあり、さらにはいくつもの行き止まりがあり、骨が折れる作業となっていた。

始めは配信を意識して話していた俺たちも、バッサリとカットすると決めて、配信用の雑談は止めることにした。

そんなわけで、話は段々とプライベートな話題に移行していく。


「へえ。二人とも高校生なんだ」

「イルミを含めて3人とも同じ高校だよ」


ミミの言葉に俺は答える。あんまり個人情報を言うのはどうかとも思うが、

相手は身元がしっかりしている人たちだ。気にする必要なないと思うことにした。

一方、あちらもこのゲームの関係者と認識しているからだろうか。

あまり構えていなかった。自然と、普通の会話になってくる。


「べつに答えなくていいですが、サツキさん達は?」


マリオの質問に、おれは思わず苦笑する。

マリオが睨んでくるが、こちらはそ知らぬふりをした。

まあ、アイドル路線やっている人たちだから、20代前半位の大人なんだろうな、と俺は思っている。


そんな俺たちの反応に、サツキはにっこりと笑って言ってくる。


「私はアラフォーで、すでに二児の母だったりしますよ」

「…………本当ですか?」


思わず聞きかえす。うん、外見は変えられるとは言え、予想外の答えだった。

声だけ聴いても、そんな年には全く感じない。

俺の言葉にミミが苦笑して答える。


「本当よ。高校生と大学生の娘持ち。10代の時に結婚して子供作ったって聞いてるよ」

「……世の中広いなあ」

「ちなみに今度長女の方がお子さん生まれるって」

「孫、誕生か……」


結婚年齢の上昇がニュースになってた気がするが、そういうのとは無縁なんだなー。

俺の感想に、サツキさんは普通に笑っている。

そのままウィンクしながら言ってきた。


「清楚系アイドルを演じようと思ったら、それなりの経験がないとできないわよ?」

「この路線で5年もVやってるもんね。年季入っているよね」

「5年もやってるから、リスナーもわかってて見てる人が多くなったわね」

「でも、リアルもアラフォーにはとても見えないけどね。娘さんと並んでも姉妹にしか見えないよ」

「……人間って不思議だなぁ。勝手にクローディアさんみたいな年代の人がやってると思ってだよ」


俺の感想に、ミミさんは噴出している。


「ここら辺、声だけじゃわからないよね。演技したらなおさらね」

「そうなるとミミさんもサツキさんと同年代?」


グループになっているんだし。この際だから聞いてもかまわないだろう。

しかし、ミミは首を横に振った。


「私は逆に、今は現役中学生。始めは子役で地方の舞台に出てたんだけど。こっちに興味が移ったの」

「これまた若いな……。とうかVデビュー当時は小学生かい!」


今度は年下と来たか。なんでこうガワと全く合わない年齢が出てくるんだ。

俺の感想に、サツキがミミの肩を叩く。


「だから、私に取っては末娘っぽくて、結構構っちゃうんですよね」

「もー。最近それが行き過ぎて、私まで実年齢疑われているんだから、気を付けてよ」

「路線替えはそろそろ考えないといけないし、いいんじゃない?」


ミミとサツキのじゃれあいに、俺は思わず笑う。


「世代を超えて結構仲良くやれるんだなー」

「働くってそういうものよ。普通の会社だって、下は15、上は70過ぎなんて年齢層が一緒の会社で働くんだから。

年齢で壁なんて基本ないのよ。まあ、会話で年の差は感じることがあるけれどね」


サツキさんの言葉に俺はなるほどと頷く。

マリオも同様だったようで、


「なんとなく、サツキさんはアラフォーって納得できました」

「どういう意味かしら?」

「いえ、俺たちとは経験値が違うなって思っただけです」

「ならよろしいです」


うんうんと頷くサツキさんが面白い。個人情報の関係で配信はできないけど、

清楚系とか言っておきながら普段から面白い人なのかもしれない。


俺たちは話ながら、歩いていく。

時間にして1日か。ついに、その場についてしまった。


「……あー。この先があの魔物の住処だな」

「凄い広いですね」


ミミの話に頷きながら、俺はその先を見る。

洞窟の先には、巨大な空間が広がっていた。

上を見ると、空が見える。どちらかと言うと崖の底と表現した方がいいだろう場所。

例の魔物は見つからないが、その広場の中央に金属を集めたであろう場所が見えた。

例の魔物がNPCや冒険者を倒した後、魔物が集めたものなのかもしれない。


「あの宝の山を見ると、習性がどちらかと言うと竜に近そうね」

「4本足で、牛に似た竜?」

「この際だし地竜、と呼んでいい?」

「面倒だし、これからそう呼称しようか」


ミミと俺がそう話している間、サツキとマリオが装備の選別を始めている。

近くの壁に穴を掘り、ロストしたくないアイテムをそこに置く。

これから使用する武器防具はそんなことできないが、

手持ちのお金や、戦いに関係のないアイテムを保管し、もう一度壁を作った。

最悪全滅しても、この場所に戻れば、回収できるようにする。


「これで準備完了ね」


サツキがそう言って、辺りを見回す。

恐らく地竜の寝床のこの場所には相変わらず、魔物が来ない。

一体どうしたものかと思う。


「先に地竜が集めた思われるアイテムに、役に立ちそうなものがないか見てこない?」


ミミの提案。確かに、それがいいかもしれない。

相変わらず、他の仲間とは合流できない以上、少しでも勝てる確率を上げるためにはいいかもしれない。

俺も頷くとミミと一緒にそこへ近づく。


――ふと、影ができた。


俺は反射的にミミをかばう様にして少しでも遠くに跳ぶように倒れ込む。


「ちょ……!」


ミミの抗議は完全に無視。

次の瞬間。衝撃が来た。

抑え込むようにその衝撃に耐え、すぐに立つ。

まずは状況把握のため、視線を向ける。


灰色の鱗に覆われた、全長30m程もある巨大な牛。

あちらこちらに傷を負ったその魔物はかなりのダメージを負っているように見える。

しかし、その狂暴な瞳は俺たちを確実に捉えていた。

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