6-4話 イベント情報を発信しました
「んー、じゃ、私は動画投稿してくるから。大規模レイド戦って感じで宣伝してくるよ」
「よろしくー」
バーゼスさんの返事にクローディアさんは手を振り返しながら自分のルームに戻る。
俺たちは魔女さんとの話が終わり、一回寝なおすことにした。
その結果、再びルームへ戻ることになり、各々動き出したと言う訳だ。
「俺の所じゃコンテンツ力が弱いからなー。視聴者平均10人位だし。一応配信はするけど」
「私の所は少し増えて40人平均かな」
俺のボヤキに対して少しだけ自慢げにイルミが言う。
そのイルミに対して俺はジト目で返した。
「まあ、勝てるとは思ってないけど悔しいなぁ」
俺の反応に胸を張るイルミ。自慢げな表情がさらにましたように見える。
「ふふん。でも大体ヨキと一緒にいるからユニコーン系の視聴者は寄り付かないし。これ以上は増えないんじゃないかな?」
「そうなると、やっぱり発信はクローディアさん頼りになるなぁ」
「だよね。企業系Vの人がいるのは幸運かもね」
俺たちの話に今度はマリオが反応する。
「ま、こっちは各種攻略系のサイトに情報として広げる予定だよ。今はクローディアさんの投稿待ちだけどね」
「なるほどね。マッチポンプっぽいけど、ゲームする層にまずは届けないといけない情報だもんね。君って頭いいよね」
「それそでもないです。あ、ありがとうございます!」
ニコニコと笑いながら言うバーゼスさんに、褒められて顔を赤くしているマリオ。
うん、まあそうなるよな。バーゼスさんにべた褒めされたら誰だってそうなるだろうから揶揄うのはやめにする。
話を変えるため、俺は言葉を出すことにした。
「宣伝についてはそれでいいとして、俺たちの今後の方針はどうする?」
「まずは基礎能力の強化は必須よね。どう考えても強敵だし」
「後はレイド戦発生までの時間稼ぎか。プレイヤーもできるだけ増やしたい」
「やること多いわね。その方が楽しくていいけど」
皆すでに考えていたようで、ぽんぽんと意見が出る。
とはいえ、そうそう突飛な意見が出るわけでもなく、堅実な内容だった。
「そうだな。そんな所か。目標ができると改めてやる気がでるなぁ」
「うんうん。レベルアップする気にもなるね」
「と、言うわけで、麻雀の続きをやろうか?」
俺たちの言葉にバーゼスさんがニコニコで言ってくる。
話の脈絡のなさからして相当やりたかったんだろうなぁ。バーゼスさん麻雀に嵌ってるよな。
そう思いつつ俺も頷く。
「あ、折角だから配信にも垂れ流さない? 見る人なんてそんなにいないんだし」
「わかった。ま、普通にやるけどいいか」
「いいよ。どうせ突飛な事なんてできないんだし」
イルミの提案に、皆了解する。
結局、3時間ほど遊んでから休憩に入る俺たちだった。
見ている人には意外と好評のようで、定期的に配信しようかと言う話になった。
ゲーム内での目覚め。拠点を持ってから初めての朝。
俺は普通に起きると、厨房へと向かう。
そこではすでにマリオが朝食を作っているところだった。
こいつ料理が趣味で、ゲーム内でも普通に作っているんだよな。
「お、おはよう。しっかし、このゲーム凄いよな。料理とかまで現実世界で作るのと変わらないし」
「もう第二現実みたいな錯覚を覚えてるよ、俺は」
「そうだな。俺もそんな感じだ」
そんな雑談をしながら魔術式の冷蔵庫を開け、水を取り出す。
水を飲みながら全員分の食器を出していると、魔女の方のバーゼスさんもリビングへと降りて来た。
本当に、見た目じゃプレイヤーと違いがわからないよな。表示がNPCになっているからこそ把握はできるが。
「おはようございます。魔女さん」
「おはようございます。皆さん早いですわね」
いっそ優雅と言える所作で魔女は微笑むと俺たちに挨拶を返す。
俺たちは、プレイヤーのバーゼスさんとの区別のため、NPCの方を魔女さんと呼んでいる。
魔女さんもそれを了承してくれて今の呼び方となった。
結局、魔女さんもそのままここに泊まっていた。
今日はリルムに会いに行く予定だそうだ。
その時にプレイヤーのバーゼスさんを紹介し、正式にギルドの会員とするらしい。
その魔女さんに俺は一つ聞いてみたいことがあった。
俺は魔女さんに、焼き終わったパンを渡しながら聞いてみる。
「魔女さんって、魔術の得意属性ってあるですか?」
「……ひょうですわね。一応闇属性って事になっていますわね」
食べながら喋り始める魔女さんに、俺は苦笑しながらも期待していた答えが返ってきた。
だからこそ、思い切って頼むことにする。
「一つ頼みがあるんです。俺に闇属性の魔術を教えて欲しいのです」
「ヨキ君の得意属性ですか?」
「はい。そうです」
今まで、俺は魔術を使えない状態だった。
魔術の学園で教わるのが本来のセオリーなのは理解しているが、
イルミやマリオが魔術を使えるNPCに教わるという形で使用可能にしていたのを知っている。
ならこの魔女さんから教わることができれば、学園に行かなくても使用可能になる可能性がある。
例のイベントの事もあるし、覚えておくに越したことはないだろう。
一方俺の依頼に、魔女さんは少しだけ考えこむそぶりを見せる。
「そうですわよね。戦力増強に魔術を覚えて貰うのは悪くありませんわ」
「じゃあ」
「でも、私にもそんなに時間があるわけではありませんわ。とりあえず、コツだけ教えますので後は自分で覚える方向でいいですか?」
「はい。それで大丈夫です。ありがとうございます!」
軽くガッツポーズをしながらも俺は謝意をしめす。
「では本日の夜、中庭でいいですわね」
「はい、よろしくお願いします」
そう言って話が終わる。すぐに他のメンバーもリビングにやってきて朝食となった。
いよいよ魔術覚えられるのか。楽しみだな。




