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6-3話 魔女と話しました

拠点のリビングに俺たちは思い思いに座っている。

その中心にいるのは、魔女と名乗る女性だった。

その姿、も名前もフレンドの女性と同じ。

当のNPCは紅茶を飲みながら微笑んでいるが、俺としては若干困惑している。


一方、プレイヤーのバーゼスさんといえば興味深そうにその魔女を見つめていた。


「へー。本当にそっくりなのですわね」


若干素が出ているバーゼスさんの言葉。

まるですでに知っていたかのような言葉に別の疑問が浮かぶ。


「バーゼスさん。魔女の事知っていたんですか?」


俺の疑問にバーゼスさんは軽く頷く。

「初日にギルドに行ったらリルムさんに間違えられましてね。説明面倒でしたので、そのまま使わずにいたのですわ。だから存在だけは知っていたのですわね」

「あー、そういうことだったのか」


バーゼスさん。ギルド利用しないのは自分のプレイスタイルとか言ってて、実際は全然別の問題だったのか。

リルムが間違える程とか誰が見ても同一人物にしか見えないという事。

しかしなんでこんなにそっくりなのだろうか、という疑問も浮かぶ。

その疑問はマリオも同様だったようで、


「なんでこんなにそっくりなんだろうなー」

「運営の中に、バーゼスさんの知人がいて重要NPCとして設定したとか?」

「それは別の意味で怖いので考えたくありませんわね……」


イルミの言葉にバーゼスさんは渋面を浮かべている。

まあ、そりゃそうか。ある意味ストーカー極まっているし、親が関わってて重要NPCとして設定したとかでも嫌すぎる。

そんな俺たちのプレイヤーとしての言葉、通常のNPCなら特に反応しない言葉を聞き、魔女が小首をかしげる。


「あらあら、創造主は世界の創造意外に個人の創造もできるのでしょうか?」

「……へ?」


こんな反応をNPCにされると思ってなく驚いていると、魔女は「ああ」と、前置きし、一つ頷く。


「魔術を極めたごく一部の人間なら、創造主の存在にたどり着いていますわよ。魔術は世界の法則を書き換える行為。そこをさらに深めるといくつか人為的な法則があるのを理解できますからね」

「この世界の人がそこに気づく何てことあるのね」

「ええ、世界を理解すると今まで見えてなかった事実を知ることになりますわね。一部の『冒険者』が実は創造主の世界からの来訪者であるとかね」


魔女の言葉にクローディアさんが言葉を選びながら答える。

まあ、実際設定としてメタを仕込むことはあるとは思うが、彼女の場合はどうだろうか。運営が意図していないことなら、AI技術が人間そのものになっているという事かもしれない。


「魔女さんは、どこまでわかっているのですか?」

イルミの質問に魔女は微笑むのみで答えない。

俺たちがゲームを遊んでいる事まで彼女は理解しているのか。

不明ではあるがこの場合は……まあ、普通に接するか。


「ま、そこは別に問題じゃないから別に置いといていいな」

「ええ、まあ、そうですわね」


魔女の肯定に、俺は当初の疑問を口に出す。


「それで、魔女さんはこんな夜中にどのような御用でしょうか?」

「いえ、リルムが信用した冒険者はどんな人か見に来たのですわね」

「こんな夜中に?」

「到着したのが今でしたので、ついでにここで休ませていただけると助かりますわね」


しれっと言ってるが、俺たちがプレイヤーであると知っていること前提で急遽来たわけだ。

この訪問は絶対何かあるはずだ。

訝しむ俺に対し、魔女は笑みを深めると、ゆっくり言葉を作る。


「まあ、急ぐことではありませんわ。……創造主たちの世界がどのような世界か、聞かせてくれるとありがたいのですわ。私の知識欲を満たすためにね」


あー。これ、探究者あるあるの余計な事に首を突っ込むムーブだな。

まあ、彼女に乗っかれば別の情報がでるかもしれない。


「うーん。そうは言っても特に話すことはないな。平和な国だよ。こうやって他の世界にちょっかい出せるくらいには」

「まあ、30年ほど鎖国状態だしね。海外の情報が入らないからつまらないってこともあるし」


俺の言葉に、イルミが補足説明を入れる。そういえば鎖国状態だったな。当たり前すぎて意識に上らなかった。

そのイルミの言葉に魔女は引っかかりを覚えたのか、聞いてくる。


「なるほど。鎖国とは穏やかではないですわね。何かあったのですか?」


その辺は俺たちも授業でしか習ってない。

ので、授業内容をそのまま言う事にした。


「そうなんだよなぁ。大国同士で戦争が起きて、専守防衛のうちの国は鎖国を選択、国を覆うようにバリアを展開して海外と物理的に遮断したんだよな」

「今頃どうなっているのかしらね。海外は」

「ネット上では海外に繋がってるけど、それが本当に海外に繋がっているかはユーザーの私たちにはわからないわね」


クローディアやマツルもそう言いながら普段は意識しない海外の事を思う。

俺たち市民は外の状態がわからないんだよな。ネットの情報も正しいかわからないし。


俺たちの言葉に、魔女は顔を顰めている。

その表情に気づき俺は念のため聞いてみる。


「どうしました?」

「思ったより厳しい状態ですのね。創造主たちの世界も」

「そうなのかなぁ」


あまりピンとはこない。

そんな様子に魔女は一つため息を吐くと、気を取り直すに首を振った。


「まあ、いいでしょう。この世界での体験が貴方達にもいい影響を与えますように」


そう言って、魔女は咳払いし、真面目な顔を作る。



「貴方たちの目的もなんとなく見えてきましたわね。お互い有益になりそうですので、貴方たちに一つ情報を」

「はい」

「遠くない未来に、レストア共和国が滅びるような災厄が訪れます。それを防ぐことができるのは冒険者のみになりますわ」

「…………」


俺たちは黙って聞いている。

どうやら魔女の信用を得られたという事がわかり、同時彼女の話はプレイヤーとして非常に興味深いものだった。

彼女が話す内容はつまり、発生日は決めてないが大規模なイベントがあるという事だ。


「この情報は、自由に他の冒険者へ伝えていただいて構いませんわ。勿論、貴方達独自の伝達方法でもね」


この魔女は俺たちの事をかなり正確に把握していると見ていいのかもしれない。

配信その他でできるだけプレイヤーに伝えて置いた方が良さそうだ。

いい目標ができるはずだ。


「発生時期は、冒険者たちの行動で遅らせることもできますわ。貴方達にはできるだけの準備をお願いしますわね」

「魔女は戦いに参加するのか?」


マリオの疑問に魔女はあっさり首を横に振る。


「私は別の世界の危機を抑える必要がありますので、こちらに難しいですわね」


つまり、純粋にプレイヤーのみで対応するイベント。

しかも失敗するとレストア共和国が滅びると。


……失敗したら、このゲームの難易度が跳ね上がりそうだな。

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