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5-7話 家にロボットがやってきました

「さて、と……」


後ろ手でバタンと扉を閉める。

改めて部屋に視線を戻すとミキとミリンがいた。

ミキはいい。さっきまで遊んでいたんだからな。

しかし、なんでここにミリンがいるんだよ。あれ、ゲーム内のAIだろう。

考えても仕方がないので本人に聞くことにする。


「で、これはどういう事なんだ?」

『何って、モニター契約の一環なのじゃが?』


うん。わからん。


「いや、ミリンはあくまでAIだろ? なんで実体があるんだよ」


そこまで言われて言ってる意味が分かったっらしい。一つ頷くとミリンは説明を始める。


『ああ、この体はロボットじゃからな。目的は介護現場等で使用を想定されておる。そのため、極めて人間と変わらない外観、感触、体温等々になっておるのじゃ。

ふふん。見ただけではロボットとわからんじゃろ? で、今回のモニター内容の一つにはナビAIを積んだ状態での、動作チェックと人間との関係性のチェックがあるのじゃ。

何分予想がつかぬところがあるので、ゲーム内では比較的良好な関係を築いており、運営からも信用されておるカリタ殿が選ばれたわけじゃの』


なるほどな。以外に理にかなってた……のか?

これだけよくできたAIをmゲームのみに使用するのはもったいないという事か。

実に商魂たくましいな。人間同様の事ができるロボットなんていくらでも需要はあるもんな。

そんなことを思っていると横からミキが口を出してくる。


「まあ、色々問題はでそうよね。完全に人間と同様の姿のロボットだと、仕事とかロボット任せになりそうだし」

『それについては人型じゃなくてもすでに起きている事じゃからなぁ。どちらにしても時間の問題の話じゃよ』

「まあ、そうなんだけどね。……あ、だから人間との関係性のチェックなのね」

『そういう事なのじゃ。こうやってデータ蓄積していって、どうやって人型ロボットを人間社会になじませるか検討するのじゃな』


なんか難しい話をしているな。ミキとミリン。

社会的な何とかはそこまで考える気はしないけど……まあ、自分に関係しそうなことから聞くか。


「で、ミリンの動力はなんだ? 維持にお金かかったりするのか?」

『普通に電気じゃな。皮膚と髪に太陽光発電が組み込まれていて、普段はそこで電気をバッテリーに補充しておるのじゃ。

ただ、非常時には首に端子があってコンセントからも充電可能じゃよ』


そう言って、髪をかきあげ首筋を俺たちに見せる。

そこにはうっすらと蓋のようなものが見え、端子があることがわかる。


「なるほどなー」

『たから基本的には電気代もかからない設計じゃな。本気の緊急事態の時は人間と同様に食事をして、そこからエネルギーを得ることも可能なのじゃが。効率はよくないのじゃ』


お金がかからないのはいい事だな。うん、まあ金銭面での害はないみたいだし良しとするか。


「まあ、経済的な負担にならないなら別にいいか」

「そこでそう割り切れるからカリタなのよね」

「どういう意味だ? ミキ」


呆れるように言うミキに、俺は疑問に思う。なんか問題あるか?


「はた目には女子中学生と一緒に住んでいるようにしか見えないわよ。これ。変な噂流されない?」

「それは平気だろう。俺だし、そんな目出つ人間じゃない。そこまで知る様な奴なら俺の友人だろうし、説明すればわかってくれるさ」

「そこは意外に楽観的よね。カリタって」


呆れるように言ってくるミキに対し、俺はやれやれと首を振る。


「そうじゃなきゃ、俺とミキの友人関係なんてとっくに終わってたさ」

「……そうよねー」


そういうのは深く考えても仕方ない事で、人間案外周りの事なんてまともに見ていない。

だから誤解も出てくるわけで、そんな事を恐れても意味がないと俺は思う。

大事なのは自分が大切と思う相手と繋がりを持てるか、なんだよな。


『カリタ殿とミキ殿は本当にただの友人関係なのか、疑問に思っている人間は多いじゃろうなぁ』

「んー。まあそうだろうな」


そこは肯定しかできない。が、実際感覚としては友人……まあ親友と言ってもいい相手だ。

ただ恋愛と考えると俺が釣り合い取れな過ぎてな……。

そんな事を思っていると、ミキの方もなんか神妙な表情をしている。


「ミリンちゃん。やっぱりそう見えるのかな?」

『世間一般では、そう見えてもおかしくないと言うだけじゃ。同姓なら問題にならない範囲じゃが、事異性となるとな。

当然恋愛関係と思われることもあるじゃろう。お主たちの仲の良さはそのレベルじゃな』

「やっぱりそうよね……」


ミキはそれっきり黙ってしまう。


そのミキの様子に深刻なものを感じるが、俺が触れていいものかとも思う。

……もしかしてミキにも好きな人ができたのだろうか。俺との友人関係が疑われたか?

そうなると流石にミキに悪いか?……いや、そうだったらミキなら素直に言ってくるよな。

俺は俺で思考の堂々巡りをしていると、ミリンがため息交じりに言ってくる。


『人間、色々難しいものじゃな。こればかりは本人達が解決するしかないじゃろて』


なんか、ミリンが賢そうなことを言っているなと思っていると、その流れでミリンは俺に言ってくる。


『あ、これはカリタ殿に起因しておるのじゃからな! カリタ殿はもう少し自分に自信を持った方がいいのじゃ』

「よくわからんが罵倒された気がする」

『ふふん。ま、その辺私も知識のみじゃからな。実際どういうことかはわからん。人間感情の勉強としていい教材じゃ』

「ミリン、お前適当に言ってるだけだろ」

『AIに諭されても困るじゃろ?』

「それはまあ、確かに」


なんかドヤ顔をしているミリンをとりあえず小突いておき、ミキを見る。


「ミキ、ま、AIの言うことだ。的外れなことだってあるさ」

「……はぁ。そういうところがカリタなのよね。当然わかっている事でもあるのだけど、今はちょっとムカつくわね」

「なんでだよ!」


とりあえず抵抗しておく。なんかすっかりミリンがいることに違和感がなくなっていた。

ゲーム内のルームにいるときと同等の感覚。

とりあえずは話をミリンに戻す。


「で、ミリンは普段は何をする予定なんだ?」

『もし何かして欲しいことがあるなら言って貰えればやるのじゃ。特になければ家事手伝いが中心になりそうじゃな』

「ああそうか。母さんにも説明しないとな」

「あー。それはちゃんと説明しないとね。誘拐扱いされかねない」


そんなこんなで無事説明終わり。問題なしという事で今日が終わる。

いやー。始めは焦ったけど、何とかなりそうだと思い、電気を消す。

そしてふと気づいた。ミリンがそのまま俺の部屋にいたままになっている事に。


「ミリン。お前どうすんだ。寝るのか?」

『どうしたらいいんじゃろうなぁ。寝る必要はないのじゃし、かといって動いていても邪魔なだけじゃろ』

「かといって、そこらへんでぐたっっとなってるミリンを寝起きで見たら間違いなくビビる」

『そうじゃろうなぁ。まあ、考えておくのじゃ』

「わかった。じゃ、お休み」

『お休みなのじゃ』


そう言って、寝る事になった。




意識が少しずつ覚醒する。それと同時に違和感を感じる。

なんか右側が温かい。具体的には人肌位。

何かあるかと思い視線をそちらに向ける。


そこには美少女の寝顔があった。


「……」


言葉が出ない。まあ、そこにミリンがいるのはわかった。

人肌の温度と感触を感じるのもまあ、そこにミリンがいるからと言うのは理解できた。

人間でいうところの、まあ、そんな部位が露骨に腕に当たっている。触感も人間と同様という事がいやでも体感できた。

ただ、なぜそこにミリンがいるのか、この状況になっているのが理解できなかった。


俺の動きにミリンも起動したのか、目を開ける。

そして、口を開く。


『おはようなのじゃ。カリタ殿』

「おはようなのはいいんだが、この状況はなんだ。説明を求める」

『その辺にぐでっとなってたら死体のようじゃろ。そうなると人間と同様に生活した方がいいと判断したのじゃ』

「……」

『で、寝るにしてもベッドは一つしかないじゃろ。なら結論は一つじゃろ』


俺が黙って聞いているとミリンは言葉を続ける。


『それで人肌の温度は人間を安心させる温度と聞くしのう。カリタ殿の安眠に役立つじゃろうと思ったのじゃ』

「……それで、本心は?」

『こんな美少女といっしょに寝れるなんて、役得だとは思わんかのう? それの証明じゃ』

「俺が人様に言えない変態趣味持ちと思われるだろが!」


俺は呟くように文句を言って、ミリンをベットから蹴落とした。

ミリンが転がり落ちた後、すくっと立ち上がり抗議する。


『ひどいことするのじゃ! ロボット虐め反対なのじゃ!』

「いや、こうでもしないと俺の人生が詰む」

『友人ならちゃんと説明すればわかってくれるのじゃろ?』

「説明したら、余計駄目だろ!」


特にミキに嫌われたら俺は生きてけんぞ。

俺はミリンの抗議をいなしながら、いつもの日常にはいる。

いや、ミルシア・シード始めてからなんか普通じゃなくなってきた気がするな。

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