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5-1話 4人パーティーを組みました


「ヨキさん。いってらっしゃい!」

「行ってきます」


リルムに見送られて俺たちは蒼い稲妻亭から外に出る。

わざわざ受付嬢がこうやって出てくることは普段はないわけで。

当然の如く好奇の視線を向けられているが、俺はその視線を決然と無視し、リルムに対応する事だけを考える。


しばらく俺たちは無言で歩いているとマリオが言ってくる。


「うーむ。あの受付嬢の好感度、ヨキに対して恋レベルに行ってるだろ?」

「どうやらそうらしいのだが、どうしてそうなったかはわからないぞ」

「そうか……そうなると、NPCの好感度とかは上がりやすいとかあるのか?」

「どうだろうな。そこらへんは気にしてないからよく分からないな」

「重要NOCに嫌われるとゲームに支障が出るだろうしな。その辺の調整はしてると思うが。

ま、気にしても仕方ないか。ゲームが面白ければそれでいいし」


まあその辺のシステム周りはミリンに聞いてみたらいいかもしれないが、余り真実を知りたくもないので聞いてはいない。


『AIの思考については別に調整なんてないのじゃ。システム上で直接干渉はできないのでのう。その辺人間と変わらんのじゃよ』

「いや、わざわざ教えなくてもいいから」

『なんじゃ? システムで調整してないことを知りたいのかと思ったのじゃが?』

「ミリン……お前絶対わざとだろ……」

『何の事かのう?』


笑いが漏れ出ているミリンの声。

謎の負け感を感じてるが、努めて気にしないことにする。

隣のマリオの方も、それ以上は特に言及せずに別の話題に移行する。

実際これ以上触れないでくれてありがたい。


「それで、バーゼスさんとはどうやって合流するんだ?」

「転送できる場所があるから。……確か、もうすぐ着くはずだぞ」


いや、マリオはマリオで早くバーゼスさんに会いたいだけだな。

ここはさっさと合流するかと、俺たちは薄暗い路地に入る。すると、新たに表示が発生した。

そこには、転送OKの文字とともに、合流可能な人物のリストが表示されていた。


「お、合流可能だってさ」

「よし……えーと、これでバーゼスさんのIDを選べばいいんだな」

「そうそう。俺もやるのは初めてだがそうらしいぞ」


そう言って視線で操作し、実行する。


瞬間、景色が変わった。

同じように、誰もいない路地ではあるが、雰囲気が明らかに異なっていた。

どちらかと言うと、こちらの方が年代を感じる古い建物が多い気がする。


「成功したようだな」

「ほー、こうなっているのか」


思ったりあっさりだったな。もう少し演出があるのかなと思っていたが。

そう思いながらも、いつものように地図を起動。イルミたちがいる場所を表示する。


「じゃあ行くか」

「分かった」


地図の位置を確かめながら歩いていると、イルミ達も気づいたようで、こちらに近づいてくる。

当たり前だがあっさりと合流することに成功した。


二人とも装備が多少変わっている所を見ると、何個かイベントをこなしているようだ。

4人になってからさてどうするかと思っていると、イルミが口を開く。


「ふっふっふ。いいでしょ、この武器」


そう言って見せてくるのは、一見するとただの投げナイフに見える。

ただ、そこにカーソルを合わせると、魔力を帯びていることが理解できた。


「魔剣の一種か? それ」

「そうそう。魔物討伐報酬でアジュから貰ったの。アジュがエンチャントした物で、投げてもいつの間にか戻ってくるんだって」

「使い減りしないのか。いいな。それ」

「威力もそれなりにあるし、耐久性もあるしで使いやすいわよ。実際」


補充しないで済む武投擲器はありがたいよな。使い易い。

と、そこまで聞いてバーゼスさんもなんか報酬貰ったのか気になった。

視線を向けると、バーゼスさんも気づいたのか口を開く。


「私はこれですわね」


そう言って見せてくるのは銀色に光る腕輪だった。


「魔力に応じて殴るときの攻撃力が上がる腕輪ですわね」

「近接格闘用の武器か?」


なんか意外な物を選んでいる気がする。


「後衛の魔術師でも不意を突かれることがありますからね。対処の幅は大きい方がいいでしょう?」

「あー、確かに」


バーゼスさんは弱点補強系を貰ったのか。

もしかしたらある程度一人で何でもできるタイプを目指しているかもしれないな。

そんなことを思っていると、バーゼスさんはマリオに目を向ける。


「そういえば、マリオさんはどういった能力になりましたの?」


ゲーム内では相変わらずエセお嬢様風の口調で話すバーゼスさんに、

マリオは少し驚いた後、彼女のプレイスタイルを理解したのか軽く頷きながらバーゼスさんに応える。


「えーと、能力はどちらかと言うと後衛よりですね。水属性が割と強かったので魔術の基礎も覚えました。

 一応、回復系統の魔術覚えてますね。武器は……今はボウガンのみ。近接系の攻撃は今は難しいですね」

「なるほど……そうなると、前衛1中衛1後衛2になりますわね」

「バランスとしては悪くないね。4人パーティーとしては十分」


バーゼスさんとイルミが頷く。確かにパーティー構成としては悪くない。

欲を言えば後一人は前衛が欲しい所だが、大抵の事には対応できそうだった。


「そうなると、今度の依頼は何を受ける? 魔物討伐系か?」

俺の疑問に今度はイルミが答える。


「うーん、そうなるかな。アジュさんから依頼貰って来たよ」

「なるほど。どんな内容だ?」

「単純なダンジョンアタックね。魔物が住み着いたから排除して欲しいって」


それはありがたい。まともな洞窟探索はしてなかったから、そろそろ挑戦したいと思っていた所だ。


「そういや俺、まともなダンジョンアタックはしたことないんだよな。ありがたい」

「今までシティーアドベンチャーが中心だったものね」

「なんかいきなり巻き込まれたからな。それに二人じゃ洞窟探索はやり難かったってこともあるしな」

「そうなんだよね。バーゼスさんとマリオが一緒だからできそうだと思ったんだし」

「あらあら、そう言っていただけると嬉しいですわね」


にっこりと笑うバーゼスさんに俺たちは頷く。

まあ、今度にやることは決まった訳で、


「じゃあすぐに行くか? アイテムの補充は必要か?」

「あ、その辺は全部済ませているよ。すぐに行ける……けど」


俺の言葉に、イルミが少しだけ考えて、それからぽんと手を叩く。


「その前にアジュの所にいきましょ。アジュ、ヨキが死んでると思っているままだし」

「そうでしたわよね。全く、こちらが大丈夫といっても全然聞かないし」


あーそういえばそうだった。しかしいまさらアジュの所に行くのもなぁ。


「……まあ今回の依頼が終わった後でもいいだろう。対して変わらないさ」

「そう? ……じゃあいいか。早速ダンジョンアタック行きましょ」


イルミの言葉に全員が頷く。

正式なダンジョンアタックは初めてになる。楽しみだな。


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