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4-6話 依頼完了を報告しました

アジュからの依頼を受けたときと同じ個室に3人で入る。

今回はリルムが向かい側の椅子。俺とディアナが隣り合って座る。


若干リルムが眉を顰めながらも、声は平常通りに話す。

……いや、これは仕事モードってやつだな。


「はい。では依頼の結果を教えてください」

「まあ、まずはアジュの護衛は成功だな。山賊に襲われたから、俺は途中で囮になって別れたが」

「……」


あ、なんか余計表情が厳しくなった気がする。


「……命は大事にして下さいって私、言いましたよね?」

「まあ、そこはまあ、うん。後で話すから」

「はぁ……まったくもう……。それで、途中で別れたのに依頼は成功ですか?」

「そうだ。それはこいつが関係する」


そう言って、隣にいるディアナを指した。


「俺の依頼主、アジュに糾弾されて、このディアナは追放処分になったんだよ。……そうだよな?」


俺に問われ、ディアナはため息交じりに俺を見る。


「正解ですけど私、そこまで言ってはいませんのよ」

「そりゃあ、あそこまで分かりやすければいやでも分かる」

「……ですわよね」


俺たちの話を聞いて、すべてを察したのであろうリルムは頷くと俺に視線を向ける。


「なるほど。よくわかりました。まず依頼が完了したのはわかりました。

 その上で、ヨキさんは彼女が追放処分されたのが、ヨキさんのせいだと思ったわけですね」

「まあ、そんな所だ。話を総合すると、むしろディアナを陥れるために誰かが仕組んだ罠のようでな。

そいつの思惑通りに進むのはそれはそれで気に入らないってことでもある」


俺の言葉にリルムは軽く微笑んだ。


「まったく……そう言う言い方は関心しませんよ。でも良かったです、私、勘違いしそうになってしまいました」

「勘違い?」

「いかにも世間知らずな女性を誑かしたんじゃないかと心配しました」

「俺がそんな腹芸できるわけないだろ」

「そうですか……?」


リルムさん。そこで真剣に悩まないで欲しい。

俺にそんなことできるならとっくに彼女の一人はできているはずだ。

そうは思うが悲しくなるので言葉にはださない。


無言になってしまった俺に代わりに隣のディアナが口を出す。


「貴方が考えていることはわかりましたの。でも、それなら街に着いた段階で終わりではないのですの?」


まあ、そう考えるよな。普通は。

そう思いつつ、これも相談した結果だしなと、改めて考えを纏める。


「まあ、そうなんだが、ディアナはこの街に伝手はあるか?俺の見立てではないと思っているのだが」

「それくらいいる……と言いたい所ですが。残念ながらいませんの」


そうだよな。いるのなら、逆に彼女から街に入った段階で別れるというはず。それをしなかったのだから十中八九いないという事になる。

俺は頷きながら言葉を続けた。


「だよな。と言う訳で、俺からの追加のお節介なのだが……リルム。こいつをギルドで雇う気はないか」

「「……は?」」


あ、二人同時で声が揃ったな。

そんなありきたりな感想を思っていると、リルムが聞いてくる。


「どういうことですか?」

「これは利害の一致になるはずなんだよ。ディアナはこれから自分の食い扶持を自分で稼がなきゃいけない。働き先があるというのは非常に重要だ。

そしてリルムはもう気づいているか思うが、冒険者がここ数日で増えているだろ?」

「確かにそうですが……」

「俺も手伝いたいが、冒険者の一人だからそうそう手伝えないしな。

そこでディアナだ。世間はしらんが、教養はある。容姿もまあいい方だろう。

リルム一人ではこれから先手が足らなくなるのは目に見えているからな。

彼女を雇えば少しはましになるだろう」


ここまで一気に言い切る。大体のセールスポイントは言ったつもりだ。

さてどういう反応になるかな、と見守ってみる。


リルムは、視線を下に落とし考えているようだった。

しばらくして、視線を俺に戻す。


「とりあえず試用段階で。そんなにお給金は払えませんが、優秀だったら正規雇用にします」

「それで構わない。すまないな。俺のわがままに付き合わせてしまって」

「いえ、確かに人が足りなくなって来ているのも事実ですし、人がいると助かります。

ヨキさんの推薦なら、何かあってもヨキさんが責任を取ってくれますしね」

「まあ、それはそうだな」


ここまで推薦したので、それは当然と思える。俺が頷くと、リルムはにっこりと微笑んだ。

そこまでの俺たちの会話に、ディアナがため息を吐いた。


「分かっていはいますが、私の意見は無視ですの?」

「あるなら言っていいぞ。勿論尊重するぞ」

「……言ってみただけですの。今の私に貴方以上の案がありません。申し訳ありませんわ。リルム様、よろしくお願いいたします」

「ええ、よろしく。ちゃんと働いてくれたらちゃんとするわよ。そこらへんは心配しないでね。ディアナさん。今日からギルドの職員になるのですから」


この時点で話は纏まった。俺はさてどうするかと思っていると、

「はい。これで報告は終わりですね。それでは食事にしましょう。ヨキさんも食べていきますよね」

「当然。よろしくお願いするよ」


リルムの作る食事は美味しいからな。

イルミたちと合流はその後でいいだろう。


そう思いながら、リルムの後をついて行こうと歩き始める。

そのリルムがふと足を遅くして隣に並ぶ。

その行動に疑問を覚えていると、耳元に囁くように呟いた。


「ディアナさんの事容姿がいいと言ってましたけど、私はどう思いますか?」

「……個人的な意見だと、綺麗だし、可愛いと思うけどな」


色々言葉を選ぼうとしたが結局碌な言葉は思い浮かばず、ありきたりな言葉しか言えなかった。

そんな俺の言葉に、しかしリルムは笑顔になって俺に言う。


「ふふっ。ありがとうございます。ヨキさん」


その笑顔に、こんな答えでも良かったと言うことにしておこうと思う。


そして、しばらくしてリルムの料理を食べていると声を掛けられた。


「おい、ヨキ。お前いつの間にそんなにモテる様になったんだ?」

「別にモテているわけじゃないが、マリオ」


そこにはマツル――PC名マリオが立っていた。

ようやく合流だな。これで4人パーティーになった訳だ。

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