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4-5話 始まりの街に戻ってきました


緩やかに意識が覚醒していく感覚と共に目が覚める。

無事ゲームに入れたようだなと思いつつ目を開ける。


ピンク髪の少女の顔が目の前にあった。

こちらが目を開けたのを認識したのか、一瞬硬直し、すぐさまのけぞるように離れる。


……どんな状況だったんだろうなぁ、これ。


「おはよう、ディアナ」

「お、おはようございますの。今日は起きるの遅かったですわね」


こちらに目を合わせないようにして言うディアナに俺は心の中で苦笑する。

ミキを待つため少しログインが遅れたからかなと思いつつ、どう言い訳でもしようか考える。


「どうやら思ったより疲れていたようだな」

「そういうものですの?」

「ディアナが見張りをしていたからな。ある程度の安心感はあるさ」

「……なら、いいのですけど」


とりあえずは、言い訳完了。

二人で予定通り街へと向かう。


特に何も起こらないまま、すんなりレストアの街に到着する。


いつもの通り、門番のおじさんに挨拶する。


「久しぶりです」

「やあ、ヨキ君。仕事は無事に終わったかい?」

「多分終わったと思いますよ。自分は途中で逸れましたけど」

「おや、そうなのかね」


不思議そうに聞き返す門番のおじさんに俺は気軽に頷いた。


「いやー。途中で山賊に襲われて、時間稼ぎのために一人残って戦いまして……」

「君も無茶するね。命は大事にしないど駄目だぞ」

「ええ、今度はそうならないように気を付けます」

「それがいいよ。なんにしても無事戻って良かった」


そこまで言って、俺の後ろにいる少女に目を向ける。


「おや、君は……ライグニットを追放されたディアナだね」

「ええ、そうですわ」


ディアナはあっさりと認め、次にハッとした顔をする。


「まさか……レストアも立ち入り禁止ですの?」

「いや、この街では特に何もないよ」

「はぁ……よかったですの」


露骨に安心するディアナを見ながら、門番のおじさんに別の疑問を聞く。


「もう連絡がいっているんですか?」

「通信の魔術で定期連絡があるんだよ。じゃないと危険人物かわからないからね」

「なるほど……」


……ふーん。っていう事はディアナは危険人物扱いにはなっていないという事か。

罰のための追放ではあるが、それ以上でもないわけで。

まだ、彼女が復活する目があるかもしれないか。

なら、まずは彼女の社会復帰が必要だな。


「ありがとうございます。ではそろそろギルドに報告に行きますね」

「ああ、リルムに顔を見せてきなさい。ずいぶんと心配していたからな」

「はい、そうします」


そう言って、門番のおじさんに別れを告げる。

ギルドに向かっているとディアナが声を掛けてくる。


「リルムって誰ですの?」

「ああ、ギルドの受付嬢で、実質マスターでもある娘だよ。彼女の親がマスターではあるが、今は旅に出ているようだ」

「……そうですの」


何やら難しそうな顔をして黙ってしまった。

……何を考えているかはわからないが、まあついてきてくれるならいいとする。


ときどき通り過ぎる人の中にプレイヤーがいるのがわかる。

こうやって増えているのを実感できるのはここが始まりの街だからか。

それに伴い、街全体に活気が出てきているような気がする。


そんなことを思いながら歩いていると、若干懐かしく感じるギルドの入り口に着いた。

扉を開けると、一気に中の喧騒が耳に入る。


ギルドの中だけでも10人位か。かなりの人数がそこにいた。

ギルドの依頼を物色する冒険者もいれば、料理を食べている人もいる。

数人が固まって雑談しているのも確認できる。

皆、楽しそうにプレイしているなー、と思い、つい笑顔をになる。


やっぱりMMOはこうやって色々な人が遊んでこそだよな。


そんなことを思いながら中に入ると、ちょうど、何かを取っていたらしいリルムが振り向く。

茶色の三つ編みが跳ね、こちらを向くと、そのまま数舜固まった。

……はて、思いつつさらに中に入ると、リルムは両手に持っていたアイテムをバンッと置き、速足でこちらに来る。

あっと言う間に目の前まで来ると、満面の笑顔を浮かべリルムは言った。


「おかえりなさい。ヨキさん」

「ただいま、リルム」


こうやって迎えてくれるのは嬉しいよなーと思いつつこちらも笑顔になる。


「大丈夫ですか? ケガとかしてませんか?」

「まあ大丈夫だよ。……仕事の結果は聞かないのか」

「そんなのは後でも聞けますから!」


力強く言い切るリルムに俺は今度は苦笑を浮かべる。


「ま、この通りだ」

「良かったですよ。あ、お腹空いてませんか? とりあえず何か食べますか?」

「あ、いや……」


ここまで来て俺は周りの視線に気づく。

やばいな……かなり好奇の目で見られている。

それはそうか、入ってすぐに受付嬢から話しかけられていればそうもなるか。


「ま、それは置いといて。まずは仕事の結果を報告したいな。食事はその後で頼むよ」

「わかりました。では……」

「あ、ちょっと聞かれたくないこともあるので、個室の方で頼む」

「? わかりまし……」


そこまで言った後、ようやく俺の後ろにいるディアナに気づいたのか言葉が止まる。


「ま、彼女も関係ありだ」

「……わかりました。こちらになります」


そう言って、リルムは振り向き、個室は歩く。……なんか若干肩が落ちている気がする。

なんか俺、やらかしたかな。


そう思いつつ、俺もリルムの後に続く。

「……ふーん。なるほど……」


後ろでなんか呟いているディアナの事を気にしないようにしながら。

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