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4-3話 ゲームセンターで遊びました



4人で向かった先はダンスダンスファンタスティック、通称DDFと言うダンスゲームだった。


筐体で同時2人迄プレイ可能。基本は床にあるパネルをリズムよく踏む物だが、

高難易度体では全体の動きが判定になる。

プレイヤーの周りではホログラムによる演出が自動的に加えられ、さながら舞台の上に立って踊るダンサーの気分を味わえるゲームだった。


「と言う訳で、これをやるわよ! カリタ」

「何が、と言う訳だ。まあ、やるのは否定しないぞ」

「お前ら、相変わらずのバカップルだなー」

「あ、マツル君もそう思う? 私もそう思うのよねー」

「マツル、バーゼスさん。それは否定しているからな」

「そうそう」


これ以上は無視して、二人で筐体に立つ。

「曲は?」

「いつもの」

「ほい」


難易度は★13中★11、体全体の動きも採点対象。

ここら辺が、俺の限界の難易度だった。


音楽が始まり、ホログラムが動き出す。

ステップの表示が視界に現れ、それに沿ってステップを踏む。


それなりに難しいはずの曲なのだが……違和感がある。

なんか、簡単だった。


ステップ表示も簡単に認識できるし体も軽い。

軽快にステップを踏みながらミキを見る。


丁度ミキもこちらを見ていたようで、同じ違和感を感じているようだった。

これだったら、さらに難しい方の動きに挑戦できる。そんな気がする。


一つ頷くとミキも頷き返す。


ステップの途中の短い間、その間にターンをしながらお互いの場所をスイッチする。

俺がミキのいた場所へ、ミキが俺のいた場所へ。

引き続き踏みながら、今度はミキと片手を繋ぎ、ミキがなぞるようにターン。

ミキのスカートがフワッと浮かび、その裾が広がっていく。

俺はミキを受け止め、トンと支える。


お互いポーズを決め、俺は軽く押し返す。


周りから拍手が聞こえた。


どうやら周囲に見ている人が増えたようだった。

俺とミキは特に気にせずゲームを続ける。

このゲームで観客ができるという事はそれなりにうまくいっている証拠でもある。

結構いい感じにできているようだった。



……音楽終了と共に採点画面。燦然と輝く自己ハイスコア。

俺たちは筐体の上でハイタッチして降りる。

数人の観客が拍手してくれていた。


「お前たち今日はすごくないか? こんなできたっけ?」

「今までできなかった動きができたしな。今日は調子いいみたいだ」


俺はマツルの言葉に応える。本当に体が軽く感じた。

なんというか、体が動かしやすいという感じで反応も良くなっている気がする。


『ダイブ型VRMMOで肉体改造しよう!』


ふと、あのキャッチコピーが思い浮かぶ。

本当に運動ができるようになっていたら驚くどころじゃない。


「まさかなー」


俺の呟きは、次に筐体に上がったミキとバーゼスさんが選択した音楽にかき消されるのだった。




ゲーセン帰りに近くのサイゼによることになった。

全員、適当に注文を頼む。


「それで、バーゼスさんは二人ととどこで知り合ったんですか?」


マツルの横に座ったバーゼスさんに聞いているのは、この機を逃すまいとするマツルの執念か。

一方、バーゼスさんと言うとビール片手に素直に答えている。


「こないだ始めたVRMMOで知り合ってねー。ミルシア・シードってゲーム。知ってる?」

「ええ、勿論、今度始めようと思ってたんですよー」

「じゃあ、今日は20時集合だから、一緒にやる?」

「いいんですか!? ええ! もちろん!」


うんうん。中々会話が続いているようで。……でも相手がバーゼスさんだからな。

ウエイトレススが持ってきたテーキセットを食べながら様子を見る。

隣でハンバーグセットを食べ始めたミキも同じなのでだろう。少し小声でこちらに聞いてくる。


「マツル君って、もしかして……?」

「まあ、マツルの好みストライクだからな。ああもなるさ」

「なるほどねー」


納得したのか、うんうんと頷いているミキ。

俺も彼女が欲しいよな……無理か。結局はゲームばっかりやってるわけだし。

ミキの言う通り、少しはファッションとかも興味持つかな……。

んとなくボーっとしていると、視界の端に何かか見えた。

何かではないか。俺のプレートからミキがひょいとステーキを一切れ持っていく。

くっ……俺がボーっとしているのに気づかれたか。

それはそれとして抗議だけはしておく。


「おいー」

「一切れ位いいじゃない。代わりに人参あげるわよ」

「等価交換にもなってないじゃないか。肉だ、肉を要求する」

「仕方ないわねー。ほい」


呆れたようにミキは言いながら、雑に突き刺したハンバーグを一切れ、俺の顔に向けて突っ込んでくる。

慌てて口で受け、肉だけはしっかりもらい受ける。


「そうそう、こういうのでいいんだよ」

「じゃ、もう一切れ貰うわよ」

「あ」


再びミキは持ったフォークでこっちの肉をさらに奪い取った。

ま、いいか……もう慣れた物だしな。


と、視線を感じ、先を見る。

何やら深く頷いているバーゼスさんと、呆れるように見ているマツルがいた。


「……どうした?」

「いや、なんでもない。言っても否定されるだけだしな」

「楽しそうでいいわよね」


あ、なんか納得されてる。一体何を納得されたのか……


「まあいいが。……じゃあ、マツルも今日から参加でいいか」

「ああ、それでいいぞ。と言うか始めてたなら教えてくれよ」

「そのうち言おうとは思ってたぞ。……そうだなぁ。俺が始めの街に戻れるのがゲーム内時間2日後だから、それまでに操作慣れといてくれ」

「わかった」


今後のゲームの打ち合わせも終わり、ただの雑談になり、あっという間に時間が過ぎる。

始めに時計を見たのはバーゼスさんだった。


「……あ、そろそろ時間ね」

「そろそろ帰らないとゲームに間に合わないですね」


ミキも答えて、帰る準備をする。俺も財布を取り出し、勘定をしに行こうとしたら、

バーゼスさんにヒョイと伝票を持ってかれた。


「あ、割り勘で――」

「いいのいいの。お姉さんに任せなさい。これでもバイトしてるから大丈夫よ」


慌てて払おうとする俺に対し、バーゼスさんはそう言って止めた。

……こういう時はお言葉に甘えようかな。


「バーゼスさん。ありがとうございます」

「どういたしまして」


ミキもお礼を言ってバーゼスさんに甘える事にしたようだ。


「じゃ、今日は楽しかったわ。また、来週末にでも一緒に遊びましょう!」

「はい!ぜひぜひ」

「今度はどこに行きましょうかね」


そう言って、バーゼスさんとマツルと別れる。


帰り道、ミキと一緒に歩く。

「本当に今日は楽しかったな」

「そうね……バーゼスさんが思ってた通りの人で良かった」

「これからも仲良くできそうか」

「うん。絶対できると思うよ」


ミキの少し遠慮したような微笑みを横目で見る。

……なら良かった。バーゼスさんには感謝しないとな。



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