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4-1話 オフで仲間と会いました


あっと言う間にゲームのプレイ時間の上限が来た。


『では、また明日なのじゃ』

「おう、また明日な」


ミリンに別れの挨拶をしてゲームを終える。

見覚えのある自分の屋根を見上げ、ふっと息を吐く。


しばらくするとスマホが鳴った。相手は当然一人しかいない。


「もしもし?」

「明日、寝坊したら駄目だからね!」


ミキが開口一番言ってくる。

よっぽど楽しみなんだろうな、と思い、まあ、自分も楽しみだけどな、と心の中で付け足しておく。


「当然だろ? 中々ゲーマー仲間と会える機会なかったからな」

「そうなのよね。明日の着る服考えないと」

「あ……まあ、俺はいつもの服でいいか。着やすいし」

「カリタ……少しは着る物気をつけてよね。気が付くと黒一色じゃない」

「俺にオシャレのセンスはないからな」

「そういう問題じゃないわよ……私だってセンスあるわけじゃないから色々調べるんじゃない」

「それはそうなんだけどなー」


呆れたように言うミキに、諦めたように言う俺。

まあ、清潔感があればいいじゃないか、と思う事にしている。


「カリタがそれでいいならいいけどね。……じゃ、明日ね」

「おう、また明日」


ミキと通話が切れる。

流石に今日は準備して寝ることにしたらしい。


「……準備するか」


ミキに言われたからではないが、準備をすることにした。

万が一にも遅刻をするわけにはいかない。




駅前に集合という事で、俺たち二人は一緒に向かう事にした。


俺はと言うと、色々悩んで結局、上下黒一色になった。

今度、ミキに意見を聞きながら服買うかなと思う。


ミキの方はと言うと薄いラベンダーのワンピースにホワイトのカーディガンを羽織っている。

……ミキの場合は何でも似合うから論評などは今更しないが、少なくとも俺が隣は合わないよなと思う。

まあ、それも今更の話なので気にすることはやめていた。


「バーゼスさんってどんな人なんだろうね」

「ゲーム内のアバターは基本美形化されてるからな。多分見た目じゃわからないぞ」

「そうなんだけどさ。案外すぐにわかったりして」

「それならそれでいいんだけどな。あの容姿のままだったりしたら、俺が気後れするが」

「あらあら、私と一緒にいるときは平気なのに?」

「流石に慣れた。何年の付き合いだと思ってる」

「もう10年以上じゃなかったっけ?」


そんな他愛のない話をしながら、待ち合わせの場所に向かう。

駅前のそれなりに混雑した通り、その待ち合わせ場所にそれっぽい人を探す。


「……あ、あの人じゃない?」


ミキが視線で指してきた。俺も視線の先を見る。

……見つけた。絶対あの人だ。


「うっそだろ……ゲーム内のアバターとほとんど変わらないじゃないか」

「びっくりだよねー」


思わず息を飲む俺に、隣で苦笑しているミキ。


ピンクのプリーツカートにホワイトパーカー。黄色のニットを羽織った少女がそこにいた。

プラチナブロンドの髪が特徴的で、その容姿はゲーム内とほとんど変わらない。

あのゲーム、元が美人だったりすると容姿が変わらないんだな……と思いつつ、彼女に近づいていく。

バーゼスさんもこちらに気づいたのか、手をぶんぶんを振ってきた。


「やっほ。ヨキ君にイルミちゃん!」

「こんにちわ。バーゼスさん」

「すいません。待たせたようで」


俺たちの言葉に彼女は片手をひらひらさせると笑みのまま、


「私が楽しみ過ぎて早く来ちゃっただけだから……でも二人もゲーム内と変わらないね。一目見てわかったよ」

「あはは……意外とプライバシー面で問題あるかもしれないですね」

「まあ、似ている人なんでいくらでもいるからね。問題ないでしょ」


……バーゼスさんみたいにそっくりになる人はそういないと思うけどな。

そんな事を思いながら一緒に笑う事にした。


まずはと言う事で、近くの喫茶店に入り、各自飲み物をを注文する。


「アイスコーヒー、ブラックで」

「ミルクティー一つ下さい」

「オレンジジュースで」


俺、ミキ、バーゼスさんの順番で注文する。


飲み物が来る間に軽く自己紹介となった。

まずは、とばかりにバーゼスさんが話始める。


「はい! クレア・バーゼス。20歳の大学生です!」

そう言って、運転免許証をひらひらさせる。


「MMOで本名プレイ!?」

思わず口に出てしまった。

いや、色々危ないと思うのだけど。真面目な話。


「まさか本名だとは思わないでしょ?」

いたずらっぽく笑うバーゼスさんに二人して固まった。

しかし、まさか大学生とは……同学年としか思ってなかったな。


「あ、その顔、年上と思わなかった顔だなぁ?」

「う、あ……まあ、その……はい」

「ま、いいけどね。大体会う人皆にそう思われるし」


そう言いながらも若干拗ねてる感じがあった。

あ、この人、ルームで会った時と印象変わらないな。正直助かる。


「ふっふっふ。これからはお姉さんとして扱いなさい」

「うーん。それは難しいかなぁ」

「なんでよー!」

「そういう所が同学年ですって」


ミキとバーゼスさんがじゃれついている。ミキもやはり緊張していたようで、相手が普通の人で安心したらしい。

ミキも楽しそうだし良かった。これなら問題が起きるなんてことなさそうだった。

二人の会話を聞きながら、店員さんが持ってきたコーヒーを飲んでいると、バーゼスさんの視線がこっちを向く。


「あ、じゃ、次はヨキ君かな」

「あ、自己紹介か……タメツ カリタだ。高校に通っている」

「カリタ君かー。なるほどなるほど」


ふんふんと頷くバーゼスさん。

その動作も小刻みでなんとなく可愛らしい。年上に見えないのはそのせいかな。


「で、私がイイユ ミキです。カリタとは同級生よ」

「ふんふん。なるほどなるほど、それで仲が良かったのね」


笑顔のまま聞いているバーゼスさん。

そんあバーゼスさんが調子が変わらないまま言ってくる。


「で、二人は付き合ってるの?」

「いやいや、そんなわけないですよ」

「付き合ってないですよ!」


このやり取り何回目だろうなぁ。すでに慣れた物になったやり取りにため息の一つも出る。

言ったバーゼスさんは全く調子が変わらない。


「いやー。本当に仲良さそうだったし、そういう流れかなーって思ったのだけど」

「仲はいいですが、それとこれとは別ですよ」

「よく言われますが付き合ってはいません」


俺たちは重ねて否定する。俺とミキだと俺が釣り合わないしな……。

俺よりいい男なんていくらでもいるもんだしな。


「ま、そういう事にしてあげよう」


バーゼスさんはニヤリと笑いながら言って、パンッと両手を重ねる。


「さて、じゃあこれからどこ行こっか?」


俺たちはその言葉に二人同時に応えた。


「「ゲームセンター」」

「オッケー!」


まあ、俺たちだしな。こんなもんだろ。

と言う訳で、次の行き先は決まったわけだった。

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