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3-2話 新しいプレイヤーを案内しました

3人の姿に考えたのは一瞬。

すぐに思い当たる人たちがいた。

そう、俺たちの配信を見たリスナーだった。


一人は40代の大柄な男性。長めのぼさぼさ頭が野性味感を出している。

非常に筋肉質な体躯が服の上からもよくわかる。

多分、格闘系が得意なんだろうと思う。


もう一人は30代の男性。オールバックに揃えた髪がより知的な感じを出している。

……いや、どちらかと言うと胡散臭いか。なんというか、仕事ができる男感を出そうとしているのはわかる。

そんな人が、なんでゲームやっているんだろうと思うけど。

こっちはどちらかというと細身だった。

見た目からどんなスキルを持っているかはわからない。


最後は20代の女性。腰までのびた黒髪。

ぱっちりとした目、グラビア雑誌のモデルをしているといわれても納得するモデル体型だった。

ただその体系は緩やかなローブを纏う事で隠れている。

多分、魔術を使用できるスキル構成なんだろうな。


冒険者は基本美形化されるけど、思ったよりそれぞれ個性は出るんだな。

そんなことを思いつつ、俺は声を掛けることにした。


「初めまして」

「おー、君がヨキ君か?」

40代の男が俺に答える。思ったよりも親しい感じに話しかけてくる。


「はい、そうです」

「早速会えて嬉しいよ。俺はゴンザ」

40代の男がそう言って、他の人を見る。

「タロウだ」

「ミスズです。よろしくお願いね」


二人がそう答える。


「自分の配信を見てた人ですか?」

「俺はそうだな」


ゴンザと名乗った男性は肯定し、


「僕とミスズはイルミの方の配信だな」

「君の配信見ながら、私たちはチャットしてたんですよね」

「いや、こんな新作があるだなんて知らなかったぞ」

「これは見るより遊んだほうがいいと直感したな」

「まあ、そうですね。VRMMOで歩く感覚を得るとは思わなかったですよ」


三人の感触を見るに出だしは好調と思えた。


「いやー、紹介のため配信して良かったです。それに遊び仲間が増えると嬉しいです」

「人数が増えると、別の楽しさも出てくるはずだしな」

「そうですね。……これからギルド行きますが、皆さんは行きますか?」

「ああ、頼むよ」


バーゼスさんのような遊び方をする人がいるかもしれないので、念のため聞いておく。

3人とも首肯したため、自分が先頭にたって案内を始めた。


何事もなくいつもの門を通り抜けると、門番のおじさんが出迎えてくれた。

毎日この人だけど、交代要員はいないのだろうか。と、どうでもいいことを考える。

ま、ともかく挨拶は大事だ。


「おはようございます」

「ああ、おはよう。君、昨日戻ってこなかったから捜索隊必要か考えていた所だったよ」


なんかいきなり大ごとのようなことを言われた。

まあ冗談なんだろうけど。俺は、苦笑しながら答える事にする。


「いや、それは冒険者に対し過保護過ぎでは……?」

「そうなんだけどね。久しぶりの冒険者だし、完全な新人だったからな」

「はははっ……まあ、心配をおかけしました」

「帰ってきたから問題はないよ。それで、後ろの人たちは?」


門番の視線が俺の後ろの三人に移る。その彼にゴンザさんが会釈する。


「俺たちも冒険者になろうとしてな。外で彼とあったからギルドへ案内して貰ってたんだ」

「なるほど……ヨキ君たちに続き、冒険者が増えるとは思わなかったな。なんか増えるような事件があったのか?」

「さあ、それはわかりませんな。ま、冒険者になりたい人は増えるんじゃないですかね」

「それは面白い事になりそうだ。はい、身元の確認は取れたよ。通っていいぞ」

「ありがとうございます」


彼らの会話を聞きながら、ふと疑問を感じる。

……あれ。身元の確認? 冒険者相手にどうやってとっているんだろう。

いや、単にゲームシステム的な話か。


多分、問題行動で街に正規ルートでは入れない状態というのもあるのだろう。

門番は進入禁止処置の役割もあるのか。

となると、この門番は割とゲームシステム上重要ポジションなのかもしれないな。

……考えすぎか。


俺たちは門を通り抜け、俺たちは街の中に入る。

相変わらずリアルと変わらない人込みと喧騒のなか、ゴンザさんへと話しかける。


「ゴンザさん達はこの後どうするのですか?」

「俺たちはとりあえず3人で組んで遊ぶつもりだ」

「あ、そうなんですか」


場合によってはパーティに誘おうかと思っていたが、難しそうだ。


「俺たちも運営に許可貰ったから配信しようと思ってな」

「へぇー。それはいいですね」


配信者が増えればゲームの宣伝窓口が増えるし。

人が増えることが期待できるな。

そんなことを考えていると、タロウさんが口を開く。


「僕はすでに個人勢で配信しているからね。企業勢の友人も要るし、僕がやって面白いと感じたらそっちにも進めてみようかと思っているよ」

「え……それはすごいですね。企業系の人が配信できたら人増えそうですね」


タロウさんはすでに配信者だったようだ。

しかも企業系の配信者ともつながりがある……?

そういう人がやってくれるなら、俺がやっているよりよっぽど宣伝効果が高そうだ。


「一応、その辺AI通して確認はしているけどな。もし企業勢に紹介するなら事前に打ち合わせ必要かもという回答だったよ。

まあ、商売が絡むから、当然慎重になるかもな」

「そういうものなんですかねぇ」

「個人でも収益からむから各種許可や確認は必要だしね」


なるほど意外と難しいのかな……。

まあ大人の事情は良くわからないし、収益なんて考えてない自分が気にする必要もないだろう。


「とにかく俺も楽しみにしてます。……さ、ギルドに着きましたよ」


俺はそう言って、ギルドの扉を開いた。


外に比べ薄暗い建物の中、カウンターにうつ伏せになっている女性がいた。

……なんか初日にも見たな、この光景。

そう思いつつ、声を掛けるべくゆっくりと近づく。


床のわずかな軋みの音。その音に反応するかのようにリルムが顔を跳ね上げる。

その劇的な反応に思わずたじろぎながらも、片手をあげる。


「ただいま。遅くなって誠に……申し訳……ありま……せん?」


リルムの目に涙が浮かんでいるのを見て言葉が尻すぼみになった。

あ、これ、もしかしてすごく心配かけさせたパターンか?

イルミ、説得失敗しているじゃないか。後でなんか奢らせないと。


さて、どうしようかと思っていると、彼女は深く二度三度深呼吸をしている。

そして、無理やり笑顔を浮かべると、一言。


「おかえりなさい。遅くなる時は事前に言ってもらえると助かります。

無駄に心配してしまいますよ。本当に」

「あ、いや。……すいません」


こうなったら謝るしかないよなぁ。

と思っていると、急に背中をバンバン叩かれる。

ぎょっとして振り向くと、そこにはゴンザさんがいた。


「いやあ、中々どうして。隅におけんな」

「ゴンザさん!?」

「いや失礼。お嬢さん、ヨキ君が遅れたのは俺たちが森で迷っていたのが原因だ。そこまで怒らないでやってくれ」

「いやあ彼には助けられましたよ」

「え……と、あ」


あ、リムルが戸惑っている。どうやら全然気づいていなかったらしい。

ゴンザさんとタロウさんがフォローに回ってくれている。


「受付さん。私たちの分の登録お願いできないかしら?」

「あ……と、すいません! 急ぎやっちゃいますね!」


最後、ミスズさんのお願いで、リルムは慌てたように、リムルが書類を取りに行く。

俺はほっと一息を吐く。あの洞窟の時より頭から回りした気がする。

なんとなく危機を脱した気分になった。


「ありがとうございます」

小声で3人にお礼を言うと、微笑みで返された。


「いやあ。いいもの見れたわ」

「お約束だけど、それがいい」

「安定感ありますよね。こういうの」


あ、これ絶対面白がられている奴だ。

なんかどっと疲れた気がした。


3人がカウンターに移動するのを見ながら、とりあえず近くの椅子に腰を掛ける。

そして、その直後、再び扉が開け放たれた。


今度は何だと、俺は扉へ振り向く。


「頼もう! ここにヨキなる冒険者はおらぬか!?」


そこには昨日助けた赤毛の女性が立っていた。

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