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2-3話 鍛冶屋で武器を買いました


「で、お前さん。用事があったんじゃないのか」


白髭を蓄えた渋い親父が聞いてくる。

助けた女性をとりあえず寝かし、一息ついた後の事。

女性の事は後で、鍛冶屋の親父がリルムに連絡してくれるそうだ。

とりあえず、今後のイベントの伏線かなにかかと思いつつ、改めて親父と話す。


「すいません。リルムさんから紹介がされてきました」


改めてそういいつつ、経緯を話す。

手ごろな短剣と投擲武器が欲しいことを話すと、親父が鼻を鳴らす。


「儂が作る武器は高いからな……それを売るわけにはいかん」

「まあ、そうですよね」


この手のキャラが作る武器は良いものと相場が決まっている。

当然駆け出し冒険者が買えるものではない。

ただリルムが紹介したという事は、いくつか抜け穴があるはずだ。


「だが、俺の弟子の試作品ならいいじゃろう。ほれ、そこにあるから見るといい。

 相応な値段で売ってやる」


案の上あった。なるほど弟子が練習で作った試作品か。

そういうと、別の部屋、恐らく弟子作成の武器が置いてある物置に通される。


「ありがとうございます。見てきます」


俺はそう言って、その部屋に入る。


乱雑そうに見えて、実は整理されている武器を眺める。

素人目にはよくわからないが、恐らく弟子ごとに分かれているのだろう。



身の丈もあるような大型の長剣

意匠にこだわっていると思われる弓やクロスボウ

中世の映画に出てきそうなプレートメイル等。

色々な武器や防具がそこになった。


目についたものを手に取り、軽く振ってみて状態を確かめる。

こういうのは見るだけでワクワクするのは自分が男だからかな。

そう思いつつも必要なものを探す。

ある程度の情報は、数値で出てくるが、使用感も大事だと思う。


まずは短剣。イルミが使いやすいようできるだけ軽いものを選ぶ。

切れ味、威力には期待できないが、けん制用には十分だろう。

いくつか手に取り、その中でしっくり来るものを選ぶ。

防具も欲しい所だが、そちらは本人が来ないと難しいので今回は考えない。


後は、自分の分。

投擲武器として、投擲用のナイフを数本手に取る。

恐らくこのシステムなら投げても即ロストにはならない。後で回収は可能だろう。


「……いくつか見たけれど、結局同じ山から取ったな」


恐らく同じ鍛冶師の卵が作ったものなんだろうな。

そう思いつつ、必要なものは手に持ったので親父の所に戻ろうし、

しかしふと一振りのロングソードが目に留まった。


刃もつぶれていて、とてもではないが切る用途には使えそうにない、飾り気のない武骨な作り。

素人目に見てもただの失敗作に見える。


ただ実際に持ってみると、重心は安定していて振りやすい。握りもしやすく手にフィットしている。

多分安いだろうし、こん棒代わりのサブ武器として購入してもいいだろう。

練習用にもいいかもしれない。


そう思い、その剣も手に取り、親父のもとに戻る。


「これでいくらですか?」

「ふむ……その短剣が300、投げナイフが全部で400、その剣が50じゃな」

「予算内で済んだな……。はい、これで」

「毎度」


残金が減るとともに、アイテムが格納可能になる。

俺はそのまま収納すると、親父が声を掛けてくる。


「しかし、その剣を買うやつがいるとは思わなかったぞ」

「でしょうね。剣としては使えないですし。でも、いつかこの人が作った剣をちゃんとした形で買いたいですね」

「弟子に伝えておこう。新しい顧客がつきそうだ。とな」

「はは、ありがとうございます。……あ、そうだ。ここでメンテナンス用の道具一式購入できますか?」

「ああ、いいぞ。ほれ、これはお代に含めておくぞ」

「え、いいんですか?」

「気にするな。未来への投資じゃからな」


いかつい表情、職人然とした風貌だが、しっかりと商売人でもありそうだった。

次回以降もここで買うか、と思う。俺は礼を言うと、外に出た。


結局、あの女性は起きなかった。多分、今の進度だと、ここでイベントの進展が止まったのだろうと推測する。

イルミがいない状態で進めたくはなかったし、俺としても丁度良かった。



さて、これで用事は終わったが、イルミの方はどうだろうか。

多分、今日は習得できないだろうが、念のためイルミにTELLをする。


ヨキ:こっちは終わった。イルミはどうだ?

イルミ:魔術難しい(TT) 多分、今日一杯はかかるよ

ヨキ:了解。じゃあこっちは暇だし、金策しに昨日と同じ場所で狩ってくる

イルミ:ごめんねー。よろしく


俺はTELLを終えると、門へ向かう。

そこには昨日の門番のおじさんがいた。


「おや、今日は一人かい?」

「ツレは用事があるので。自分は金策しに行こうかと」

「冒険者だからしかたないか。まあ、一人だと危険だから安全な範囲でな」

「はい。無理はしません」


そう言って、俺は外に出る。

昨日と同じ森の中に入り、同じウサギと戦う。

特に問題のないルーチン行動。あっさりし数匹狩り終わる。


「……パラメーターが上がっているからか、昨日よりかは楽だな」


何戦かしてみて思う。思ったよりもパラメーターの影響は大きそうだ。

疲労の方も、感じにくくなっている。


「まあ、今日はイルミもいないし、無理はしないようにするか」


ドロップアイテムを取得し、そろそろ帰るか、と考えながら、周囲を見回し、ふと引っかかる感触をえる。

見慣れない何かが、目の端に映った気がした。

念のため違和感があった場所に視線を向けると、人の後ろ姿が見えた。



腰まで伸びた白銀の髪。黒のローブを着用した少女の姿。

そして、なにより驚いたのは彼女の表示が間違いなくPCだったことだ。


「二日目に入ってきた人がいるのか?」

自問し、それが恐らく正解だと思う。

多分、俺達の配信を見て始めた人とは別口。たまたま始めた時間が重なっただけの人。

そして、俺たちがこのゲーム始めての二人な以上、彼女は今日初めて入ったはず。


そうなると、あの子は俺以上に不慣れなわけで……


「一人で行かせるのは流石に危ないかな?」


いきなり殺されて嫌になってやめてしまうかもしれない。


「仕方ない、行くか」


俺は速足にその少女の後を追う。

途中にモンスターとも出くわさず、あっさりとその少女に追いついた。


「君、ちょっと待って」



俺が声を掛けると、目の前の少女はびくっとし、ぱっと振り返った。

多分、俺と同じくらいの15,6の少女。体つきはかなり華奢に見える。

その瞳はルビーのような赤。正直とても可愛いが、同時にどこか人間味も薄く感じさせた。


思わずそれ以上言えないでいると、その少女はこちらをちゃんと見て、口を開いた。


「あ、他のプレイヤーさんですわね」

「ええ、そうです。俺はヨキといいます」

「私は、……バーゼスです。なにか御用ですか?」

「いえ、いくらここが初心者用の森とは言え、一人では危ないと思って声を掛けました」

「あー。そう言われればそうですわね。私、完全ソロだったんで気にしてませんでしたわ」


お互い情報交換したからか、表示が更新される。PCとだけなっていた所がPC:バーゼスとなっていた。


「……迷惑でなければ、少し、野良パーティ組みませんか? その方が効率がいいですし」


危険そうだとはあえて言わない。もしかしたら、それ込みで楽しむタイプかもしれないし。

彼女は少し考えているのか、視線が左上に向く。

しばらくして、考えがまとまったのか、こちらに視線を移した。


「ええ、構いませんわ。お願いします」

「ありがとうございます。よろしくお願いします」


そして俺は彼女とパーティを組むことになった。

イルミに話したら、自分も行きたかった! と言うんだろうな、と思いながら。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] プレイヤーのアバターってプレイヤー依存なんじゃなかった? ルビーのような赤い眼ってどうゆうこと?
[気になる点] 今回のイベント、例えば、 プレイヤーAが17:00にログインして女性を助けて、プレイヤーBが18:00にログインして女性を助けて、次の日二人のプレイヤーが同時刻にログインして女性に会い…
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