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をぐらのさうし 巻之弐十六  作者: 小椋夏己
2026年  6月

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遅まきながら「国宝」を見てきました

 今さらですが見てきましたよ、


「国宝」


 を劇場で。


 同じ時期からアマゾンプライムで無料で見られるようになっているんですが、どうしても劇場で見たかったもので、少し遠かったけど三宮のもうちょい大阪よりの「HAT神戸」の映画館まで行ってきました。


 なんで三宮や神戸じゃなくあそこなんだとは思いましたが、美術館には行ったことあっても映画はなかったのでいい経験だ。


 一言で言いますと、


「足を運んだ甲斐があった」


 そういう映画でした。


 ストーリーとかはもうご存知の方も多いでしょうからカット。何しろもう昨年の映画ですからね。


 まず映像と演技がすばらしい。出演者の誰にもはずれがいない。特に歌舞伎を演じる主演の喜久雄の吉沢亮さん、そのライバルでもあり兄弟弟子でもある俊介の横浜流星さんと、その師匠であり父親の渡辺謙さんも短いですが舞台のシーンがあり、そこまで歌舞伎を詳しくない私でも「こりゃ歌舞伎だわ」と思ってしまいました。

 

 それから子役の二人、歌舞伎の家の子かと思ったら違ったみたいです。帰ってからネットで調べたら普通のという言い方はどうかと思いますが、普通の子役さんが成長したティーンエイジャーでした。


 あの舞台をあれだけ再現するってのは、そりゃもうそれだけでスタンディング・オベーションですよ。それにあの衣装、メイク。アカデミー賞のメイクとヘアでノミネートされたと聞いてたんですが、それは納得として、なんであの舞台装置でノミネートされなかったのだと不思議です。おそらく歌舞伎についてあまり知らない人が多かったのかなと思うぐらい。もっと日本の文化芸術を海外に輸出する必要があるなとあらためて思いました。

 

 それから残念なことは、これまでの感想とかをちらっと見た時に書いていたのの、


「脚本が物足りない」


 これはもう本当にそうだなと思いました。

 

 原作は1年以上に渡って連載された新聞小説にさらに加筆修正されたもの。それを3時間でってのは、あれで精一杯だったんだろうなあ。だからあそこまで縮められたことに感心はしても、できが悪いという意味での物足りないではないです。元々無理ですって、そんなの。


 だからいきなり「八年後」とかって飛ばすしかないのはしょうがない。


 それと、


「女性の描き方が足りない」

 

 これも何より尺の問題でしょう。


 主人公の喜久雄が関係を持つ三人の女性、春江、藤駒、彰子のうち、春江はなんであんな道を選んだのかいまいち分かりにくい部分があり、藤駒は本人がその後どうなったかほぼ分からない。彰子もどうしたのか分からない。原作を読んだらそのあたりもうちょっと深く書いてあるのかなとは思いますが。


 そういう女性陣の中で一番重かったのは、寺島しのぶさん演じる喜久雄の師匠の妻で俊介の実母。実際に歌舞伎の世界の方だというのと、まあ色々とあったことと現在があるので余計かも知れませんが。


「怖かった!」


 と、未知やすえ姉さんばりに言ってしまいそうでした。


 そう長くないシーンでいつもいつもびしりと決めてましたねえ。やっぱりすごい役者さんだ。一番心の動きが分かったのがこの方だったかと思います。


 そしてラストシーン。妹が、


「最後のサギ娘のところが圧巻や」

「一瞬たりとも見逃すではないよ」


 と言ってましたが、見逃さないってあんなすごいの。


 主人公の喜久雄が極道の息子で目の前で父親を殺されるところから始まり、人間国宝となるまでの半世紀の物語。3時間駆け足で、それでも目を釘付けにしてくれたこの作品はやっぱり、


「どえらい映画やなあ」


 と思いました。


 アマゾンプライムでまたちょっと見ようかな。


 そうそう、他に田中泯さん演じる人間国宝の万菊、これがもう、


「すごすぎるやろ!」


 あれはもう田中さん以外演じられる人はいない。というか、作者も思い浮かべながら書いたんじゃないかと思ってしまう。本当のことは知らんけど。


 映画館での上映は私がこれを書いている11日がラストになりますが、どこかでリバイバル上映があったりしたらぜひ足を運んでいただきたい作品です。

 

 映画館に行けなくても、今はネットで見られますから、無料のうちにぜひぜひアマゾンプライムや、他にあったらそちらでも見ていただきたいです。

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