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をぐらのさうし 巻之弐十六  作者: 小椋夏己
2026年 5月

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残念なお知らせがあります

 今日は病院の日でした。朝から行ってきてお昼までかかって、やっぱり病院ってなぜかすごく疲れます。


 そんな中にちょっと面白い出来事があったんです。


 中待合室で呼ばれるのを待ってました。担当の先生がこの4月から交代し、初めて会うんですが、他にもそういう人が多いのか、前の人もいつもより時間がかかっているようで、いつもより遅い気がする。

 

 そもそも朝来た時から駐車場がすでにいっぱいで、こりゃ今日は採血から混むなと思っていたので、それなりに覚悟してましたが、なかなか自分の番号が液晶パネルに出てこない。待ち疲れてうとうとし始めた時、後ろの席、背中向きに座っている患者さんに看護師さんらしき女性がこんなことを。


「◯◯さん、ちょっと残念なお知らせがあるんやわ~」


 関西弁とはちょっと違う、少しよそのなまりがある口調でした。


 ですが何よりもその言葉、


「残念なお知らせ」


 ってなんだろう? 耳ダンボになったのは私だけじゃないと思います。


 その看護師さんらしき声がこう続けました。


「あのね、またデータが取れてなかったのよ。携帯の電気切ったかな?」


 それに対しておじいさんらしき声が、


「電池なくなるからなあ、家帰ったら切っとる」


 と言ったもので、


「やっぱりーそれでやわー、データが取れてないのよー、ほら見てこれ、真っ黒でしょ」


 と答えて、プリントした紙か何かを見せているようです。


 おじいさんの何かのデータを取るのにスマホにデータを送っているのに、おじいさんが電気がもったいないとスマホを切ってしまうみたいで、病院側が困っているんですね。


「この間も言われとったなあー」


 って、前にもあるんかい! 思わずそこで吹き出しそうになりました。


「やっぱりなー、切ったらあかんよ。こうしてね、この家のマークのとこを押して、ほら、こうしたらこうなるでしょ」

「ほんまやなあ、そう言うたら前も言われたわー」

「そやろー」


 根気強くおじいさんのスマホ指南は続きます。


「けどなあ、電池が切れるんや」

「それは充電して、データが取れんと分からんし。それか機械の具合悪い?」

「いや、それはない」

「そしたらもう電気は入れっぱなしで。さっきの家のマーク押したら、後は電話かかってきてもそれで取れるし、な、そうして」

「そやなー」


 と、延々続けてたんですが、おそらく前にも同じことを言われたのにもったいないとスマホの電気を切ったおじいさん、今回はちゃんとやるのかなあ。やっぱり帰ったらまたやりそうな気もしますが、誰か言う人はないんだろうか。


 私の少し斜め後ろだったので、ちらっと振り返ってみたら付き添いなのか、奥さんらしきおばあさんもいるんですが、うーん、あの人もなんとなくそういうの苦手そうな顔して見てる。それに、電気切るなとおばあさんが言っても、おじいさんがもったいないと切ってしまったらどうしようもないだろう。


 次に来る時に会える可能性はないし、担当の先生も違うんですが、他人事ながらすごく気になりました。


 その分気持ちを紛らわすことができて、目も覚めたのでいいんですが、その会話の途中で私の番が来たもので診察しに入ったんですが、出てきたらまだ説明は続いてました。


 それからすぐに私は会計に進んだのでその後のことは分かりませんが、治療のためにもおじいさん、スマホの電気は切らないでー

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