第八十話 家に帰り行く生存者たち
今回は短めでございます。
空を遮る雲はなくなって青空が現れる。青空に浮かぶ太陽は大地を照らし、戦いでボロボロになった生存者たちを照らす。まさしく戦いの終わった空である。
神話型『PODE』との戦いを終えた生存者たちは焼け野原となり、いくつもの黒煙を上げている戦場から離れていく。
「みんな、帰ったらなにする?」
満身創痍の美保を抱えているレイテットがみんなに問う。
アイーラは首を傾げ、美保は難しい表情でレイテットの問いに二人とも悩む。その中で右目の流血を抑えている雛が一番に口を開いた。
「まずは荷物の整理。それから思いっ切り休憩しよう!」
レイテットは「うん!」と頷きながら言って雛の言うことを肯定した。
そしてレイテットに抱えられている美保は「ごめん、私は身体がこんな状態だから先に休憩させてもらうわ」と申し訳なさそうに告げる。
美保はレイテットと雛ほど人間離れしていない。爆風を受けて無事じゃない方が普通である。
「大丈夫ですよ、美保さん! 私と雛君とアイーラでやりますから!」
「美保さんは無理せず休んでいてください」
もちろんレイテットと雛は美保の状態を理解して告げる。そんな二人の気遣いのある言葉に対して美保は「ありがとう」と優しげにお礼を言った。
「えーと、私も荷物の整理しなきゃ駄目?」
気遣いとお礼の行き交う場でアイーラは突然場違いなことを言い始める。
「そりゃあもちろん! アイーラにも手伝ってもらうからね!」
「えー……面倒くさい」
また出てきたアイーラの怠け癖に対してレイテットはいつもの元気さで告げる。
そして怠け癖を出すアイーラの表情は今までよりも明るい。その明るさこそ、自らを許容してくれる友達に気付けて得ることが出来た証拠だ。
「美保さんみたいに全く動けない訳じゃないんだから手伝ってね!」
「はいはーい! もしも整理にもたついたらカバーよろしくね、二人とも」
レイテットに押し切れられ、アイーラは頼りたいように言う。
「もちろん! なにかあったら言ってよ!」
「カバーは出来る範囲でいくらでもする。レイテットが言うようになにかあったら遠慮なく言ってくれ」
温かく優しいレイテットと雛の許容してくれる言葉。
アイーラはそんな言葉を聞けて嬉しく、自然に笑みが出てきて表情も感情も曇ることはなかった。
「さぁ、そうと決まればさっさと帰ろう!」
アイーラの明るい声に押されて生存者たちは帰路を歩み行く。
時刻は午後の四時。太陽は地平線の向こう側へと向かい、今日と言う様々なものが混ざり合った激戦の一日は終わりに向かう。
そうして誰一人欠けず、温かく優しい心を失わず、今日も生き残った生存者たちは家へと帰る。
第二章これにて終了です!
次は生きる意志が折れるか折れないかの第三章、なにかしら人間離れしている生存者たちの中で唯一ただの人間でしかない美保のエピソードでございます。




