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【完結】POD Enemy  作者: D-delta
エピソード2 劣等感を抱く小さき子

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第七十七話 神話との戦い

やっと更新出来ました。

言い訳すると、リアルの忙しさと他の作品の更新やってたのとこのお話の続きを必死に考えていたのです。

 戦い。

 それはいつの時代でも起こりうるもの。そして創作や神話でも語られるもの。

 今この時でも戦いは続く。生存者たちが波のように押し寄せる『PODE』を退け、ドラゴン型『PODE』を蒸発させても、また敵が現れる。


「美保さん、アイーラを連れて後ろに下がってください! ここは私がやります!」

「わ、分かったわ!」


 自らの世界に閉じこもり、戦意を喪失したアイーラはもはや戦えない。

 だが、レイテットにとってアイーラは友達だ。戦えないからと言って見捨てるつもりはなかった。


「レイテットちゃん、死なないで」


 アイーラを抱きかかえた美保がレイテットの隣にまで下がり、告げる。そんな美保の想いある言葉に対してレイテットは強く「はい!」と答えた。

 確かな信頼を胸にした彼女たちはそれぞれの役割をこなす。

 美保はアイーラを抱えたまま安全な場所にまで下がり、変わってレイテットは敵と向き合う。


「さぁ、行くぞぉぉぉー!」


 レイテットは気合の入った声を出した。まさしく声が枯れるほどの大声だ。

 そうしてレイテットの闘志は奮い立たされる。それと同時に呼び起こされた闘争心はレイテットの力となり、全身に力が入っていく。

 気合の入ったレイテットは銃口の先を『PODE』に向ける。


「ここで殺す!」


 レイテットの怒声と同時にドラグノフの引き金が引かれた。銃弾は狂いなく槍持ちの人型『PODE』に向かって行く。

 レイテットの攻撃は確実に当たると思われた。しかし次の瞬間、槍持ちの人型『PODE』は明らかに人間ではない身体能力による大ジャンプを繰り出した。しかも一瞬での大ジャンプ。ドラグノフから放たれた弾丸は人型『PODE』の真下を通っていき、レイテットの攻撃は大きく外れた。


「外れた、でも!」


 レイテットは何度も引き金を引くが、槍持ちの人型『PODE』は槍を振ってレイテットの攻撃を全て弾いた。

 まさしく常人ではない槍の扱いだ。


「攻撃が当たらない、強い!」

「そのような攻撃に当たる俺ではない」

「喋るの!?」


 空中から地面に足を着いた人型『PODE』が急に人の言葉を話し出す。ドラグノフの弾倉交換中のレイテットは驚くしかなかった。


「名乗りがまだであったな。俺の名はクー・フーリン。幾多の修行を終え、この世に舞い戻ってきた騎士である」

「クー・フーリン。ゲームとかのキャラの元となった人物、まさかケルト神話の……」

「神話? 俺の預かり知らぬことだが、名乗った以上はそれなりに本気で行かせてもらう」

「へへっ、来るなら来いよ!」


 レイテットが口を大きくして言った瞬間、クー・フーリンなる神話型『PODE』は目にも止まらぬ速さで近付いてレイテットに突きを繰り出す。だが、レイテットだって負けてはいない。尋常ではない速さの突きをただの人間であるレイテットは目で追い、心臓に刺さるギリギリで回避したのだ。


「俺の攻撃を避けるか。女にしては出来るが、スカアハ師匠ほどではない」


 神話型『PODE』は一瞬の大ジャンプでレイテットと距離を離し、空中に漂う。


「師匠から直々に賜ったこの槍……!」


 神話型『PODE』が手に持つ槍はまさしくクー・フーリンが持つゲイボルグ。人の身長以上にあるゲイボルグ、その矛先がレイテットに向く。刺されれば命はないだろう。


「ゲイボルグが貴様を消し炭にする!」


 神話型『PODE』はレイテットに向かってゲイボルグを投げた。すると、一本の槍が三十個ほどの矢尻となって雨の如く降り注ぐ。

 襲いかかってくる矢尻たちを目にしたレイテットはすぐに走り、見事に矢尻の攻撃範囲外に逃げた。


「次はこっちから!」

「消し炭にすると言った!」


 レイテットがドラグノフの銃口を神話型『PODE』に向けた瞬間、耳によく響く爆音が轟く。

 そう、矢尻が大爆発を起こしたのである。

 三十個もある矢尻が次々に大爆発。爆炎が立ち上り、爆風が巻き起こる。

 付近の草むらや木々は爆炎で燃え盛り、あっという間に火の海となる。


「ぐぁ……!」


 そして矢尻の大爆発は草むらや木々だけに止まらず、レイテットの身体をも襲った。

 爆炎の熱が肌を焼き、爆風が身体を吹き飛ばす。地面に叩きつけられた衝撃と爆圧にやられてしまったレイテットは、立ち上がることも動くことも出来なくなる。

 動けなくなってしまったレイテットに神話型『PODE』が近付いてくる。


「こんなものか。所詮はただの人間ということだな。だが、俺に対して果敢に戦いを挑んだことには敬意を表してやる。よって貴様を殺すのは最後だ。まずは戦いもせず逃げた女二人を殺さなくてはならない」

「ダメ……それは……しないで!」

「聞く耳は持たない。俺がそうと決めたのだから殺す」


 戦うことが出来なくなり、火の海の中でただ地に伏せるしかないレイテット。遠ざかる神話型『PODE』に力なく手を伸ばすが、レイテットの手が届くことはない。


「アイーラ……美保さん……!」


 神話型『PODE』は殺すという宣言を実際にやり遂げるため、アイーラと美保が逃げた方に向かう。

 レイテットはアイーラと美保を殺しに行く神話型『PODE』の背中を見つめることしか出来なかった。



  ※



「はぁ……はぁ……」


 アイーラを抱きかかえて必死に逃げる美保。草むらの土の上を走り、レイテットと神話型『PODE』が戦う戦場から遠のく。

 しかしその時、戦場から大爆発が起こった。

 爆発の振動と耳に響く爆発音が二人の恐怖感を煽る。


「!?」

「な、なに今の?」


 アイーラが恐怖で縮み込んでいる中、美保は後ろを振り返った。振り返った先にある光景はまさに火の海。美保の視界にその光景が焼き付く。


「レイテットちゃん……!」


 美保はレイテットが戻ってこないかもしれないという不安が混ざった心配な気持ちを口から漏らした。

 美保の声は恐怖で震えている。視界に映る光景で連想されるのは確定していないレイテットの死ばかり。

 そして奴は来る。レイテットを打ち破った神話型『PODE』が火の海の上を跳び、美保の前に現れた。


「戦いもせず逃げた者よ、お前を庇って戦った女は既に倒れたぞ。もはやお前たちに逃げ場はない」

「そんな……レイテットちゃんが……」

「腰抜け共は戦う者の恥、お前たちにはここで死んでもらう」


 火の海を背に圧倒的な存在感を放ちながら神話型『PODE』が近付いて来るのに対して、美保はアイーラを守るように抱きしめることしか出来なかった。

 神話型『PODE』が歩いて美保のすぐ目の前にやってくる。手に持つゲイボルグの矛先は美保に向き、振るわれる。

 アイーラと美保が殺されようとする。しかし次の瞬間、飛び出してきた何者かにゲイボルグが止められた。


「俺の攻撃を止めただと!?」

「余裕で止められる」


 ゲイボルグによる攻撃を止めた何者か。それはまさしく雛だった。

 雛は人間の体重以上に重い攻撃を片手だけで受け止めており、そのまま9mm拳銃を神話型『PODE』の『シールド細胞』目掛けて発砲した。しかし雛の攻撃は神話型『PODE』の咄嗟の大ジャンプで当たらない。


「美保さん、アイーラを連れてここから離れてください。この敵は俺が殺しますので」

「う、うん……分かったわ。絶対に死なないでね!」

「言われなくても死ぬつもりはありません」


 アイーラを抱きかかえたままの美保は再び戦いの場から遠ざかっていく。

 そうしてこの戦いの場には雛と神話型『PODE』だけとなった。


「お前、俺と戦え! お前となら楽しめそうだ!」

「楽しませる余裕は一切与えるつもりはない。かなりの脅威対象となっているお前にはここで死んでもらう」

「ははははははっ! その立ち振る舞い最高だ、お前!」


 雛と神話型『PODE』の戦いはここに始まった。


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