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【完結】POD Enemy  作者: D-delta
エピソード2 劣等感を抱く小さき子

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第七十二話 合流

非公式大会終わって、こちらの更新に少しは集中出来そうです。

リアルも忙しいのでひょっとしたらの可能性で更新頻度が上がるかもです。

 二手に完全に分断された生存者たち。

 アイーラと美保は大波のように押し寄せる敵から身を隠し、息を潜める。

 そしてレイテットと雛の方は全員で集まって街から逃げるため、無数の敵という分厚い壁を突破するのに必死になっていた。


「どうする雛君、このままだと合流する前に押し潰されちゃうよ」

「まずは敵の目から逃れないとアイーラと美保さんを探すどころじゃない」

「じゃあどこかに身を隠すの?」

「一旦な、それからまた騒ぎを起こして敵を陽動する。敵が銃声で引き付けられている間に俺たちは敵を避けながらアイーラと美保さんを探す。後は見つけて合流するだけだ」


 崩れた建物によって広がった煙、何発もの発砲によって生じた硝煙が二人の姿を隠す。

 そんな二つの煙によって『PODE』は二人の姿を見失い、あちこちでうろうろしている。

 しかし煙によって姿を隠していられるのは一時的でしかない。


「行くぞ、レイテット。まずは隠れる」

「はいよ!」


 二人は煙で姿を隠しながら移動を始め、近場の建物に入る。


「レイテット、敵がいるかもしれない。物陰に気を付けろ」

「う、うん!」


 銃口の先を常に前に向けて二人は慎重に足を進める。しかし二人の視界に敵は映らない。


「敵はいたか?」

「大丈夫、いない」


 隠れられそうな場所を徹底的に調べ終え、敵がいないと分かる。

 そうして二人は建物の中に身を潜めた。

 そのまま目立つような物音を一つも立てず、静かに外を見つめる。


「いつ仕掛ける?」

「俺たちが建物から離れるタイミングだ。一発だけ放って、銃声で敵をおびき寄せる。進行方向にいる敵は銃剣で殺せ、俺はこの手だけで邪魔する敵を殺す」

「分かった! それなら急ごうか!」

「うん、撃ったら急いで裏口から出るぞ」

「OK!」


 話している間に二人共弾倉の交換をして、次の建物に移る準備が終わった。

 雛が外にいる敵に銃口の先を向ける。引き金に指が掛けられ、いつでも発砲出来る状態である。


「レイテット、準備は?」

「いつでも良いよ!」

「分かった。それじゃあ、行くぞ……!」


 雛は引き金を引く。その瞬間に銃声が街中に響き渡った。

 余程耳が悪くなければ誰にでも聞こえてくる銃声だ。もちろん『PODE』はその銃声を聞き逃さない。

 新しい銃声に引き寄せられた『PODE』はレイテットと雛の隠れる建物に近付いていく。近付く『PODE』の数は百体以上であり、もはや壁だ。


「行くよ、雛君!」

「うん!」


 百体を超える『PODE』が動き出したと同時にレイテットと雛は裏口から出て、アイーラの銃声がした方に走り出す。

 走った先にいるのは敵。しかも複数で二人に近付いて来ている。もちろん建物の裏側を走ったとしても敵と出会うことはおかしくないことだ。


「敵!」

「撃たずして貫け」

「物音は目立たないようにってね!」


 戦いに制限を設けられているとしてもレイテットと雛は敵を目の前にして怯むことはない。

 むしろ二人の戦意は高揚しており、アイーラと美保を助けるのに頭がいっぱいだった。


「せいや!」

「もらった」


 向かってくる人型『PODE』たちとの接近戦。

 ドラグノフの銃剣が『シールド細胞』を貫き、血を流させる。そして雛の手刀は人型『PODE』の身体を貫き、心臓部である『シールド細胞』に手が届くとそのまま握り潰した。

 敵はおよそ十体近く。それでもレイテットと雛は敵の数に押し潰されず、逆に人型『PODE』を蒸発させていった。


「このまま行くぞ」

「あいよ!」


 これぞ今日ここまで戦いの中で成長してきた二人の強さである。

 向かってきた『PODE』を全て蒸発させた二人は、銃声を鳴らした建物からかなり離れたところにまで到達する。


「敵いなくなったね。上手くさっきの建物に引き付けることが出来たようだけど……この後はどうするの?」

「こちらからアイーラと美保さんに呼びかけて声のした方に向かう。銃声と同じリスクはあるが、今はこれしか明確で有効な手がない」

「分かった。いくらリスクがあるとしても雛君のこと、信じるよ!」


 レイテットが明るい笑みを見せれば、雛はレイテットにしか見せない素の笑みを見せる。その笑みの見せ合いはお互いを信頼出来ている証だ。

 そしてレイテットは「アイーラ! 美保さん! 生きていたら返事を下さい!」と大きな声で呼びかけた。


「生きているわよ! アイーラちゃんも無事!」


 レイテットの呼びかけが通じて美保から返事が返ってくる。

 すかさずレイテットは大きな声で「今からそっちに行きます! 音を立てずにじっとしててください!」と美保に伝えた。

 伝え終わった直後、ぬめりとした音がレイテットと雛の耳に入る。レイテットの大声に反応した『PODE』が動き始める音だ。


「レイテット、今のでこちらの位置がバレた。ここを離れてアイーラと美保さんのところに急ぐぞ」

「了解!」


 声がした方からアイーラと美保のいる場所を割り出し、二人は再び走り出す。

 アイーラと美保が身を隠している場所は表通りの道路の向こう側にある建物だ。そこにレイテットと雛は走って行く。

 だが、道路を走る二人を『PODE』たちは見逃さない。


「うわ! やべー!」


 レイテットが無数のぬめりとした音の鳴る方に目を向けると、敵の大群が押し寄せてくる光景が目に入った。その光景は死の壁が迫ってくるかのようである。

 二人は己の命を賭けて走り続ける。そうしてアイーラと美保の隠れる建物に到着した。


「アイーラ! 美保さん! 出てきてくださーい!」

「はーい!」


 建物に入って早々にレイテットが呼びかけると、すぐに美保の返事が返ってきた。

 そしてアイーラと美保が隠れていた便所から姿を現す。


「怖かった……」

「助かったわ、来てくれなかったら死んでいたかも」


 アイーラと美保はレイテットと雛の到着で緊張と恐怖を解したが、状況はそれらを許さない。


「敵が来る! 戦闘準備だ!」


 入口で敵の大群を見ている雛が告げる。


「仕方ないわね。生き残るためならこのツワブキの魔法姫、やってやるわ!」

「私も……私もやるよ」

「OK! やるよ、みんなで!」


 生存者たちの覚悟が決まる。

 死ぬことを恐れず生き残る心を持って、生存者たちはそれぞれの武器を構える。

 無数の『PODE』と四人の生存者たち。今ここに力は激突する。


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