第七十一話 銃声が呼び込む者
エースコンバット7面白い(`~´。)
時間は少しだけ遡る。
レイテットと雛がまだ騎士型、蜂型、車型とその他大量の『PODE』相手に戦っている時のことだ。
銃声が鳴り響く中、アイーラと美保は目立つ音を立てず食糧やなにか使えそうなものがありそうな建物の探索を始めていた。
「アイーラちゃんが撃つと音で敵にバレちゃうから、戦闘は私に任せておいて!」
「あーい」
美保が軍用スコップを持ち、胸を張って言う。ツワブキの魔法姫になりきっているおかげか、美保は自信満々だ。
そんな自信に満ちた美保となにも考えていない返事を返すアイーラ、二人は建物の中の探索を続けた。
「あ、包帯と消毒液。なんか他にもあるよ」
「流石アイーラちゃん、相変わらず目が良いわね」
探索を続けて早速アイーラが医薬品類を見つけた。
その見つけた医薬品類は美保の持つリュックサックの中へと入れ、回収される。
「後はなにかあった?」
「なんにもなーい」
取り忘れがないか確認を終えると、二人は玄関へと移動する。そして玄関の扉からそっと顔を出して敵がいないか周りを確認すれば、鳴り響く銃声がアイーラと美保の耳に入った。しかし二人の視界に敵はいない。
レイテットと雛が上手く敵を引き付けている証拠である。
「敵はいないね」
「次はどこへ?」
「目の前の建物、すぐそこのそれ」
美保が指を差して次に探索する建物をアイーラに教える。
「あー、あれね」
「行くわよ!」
「うん」
次の建物を把握出来ると、アイーラと美保は今いる建物から出て次の建物へと移る。
幸い道路に敵はいない。アイーラと美保は敵に邪魔されないまま順調に進んだ。
「先に私が入るわ」
「うん」
軍用スコップを構えた美保が先に建物の中に入る。
電気の点いていない薄暗い室内。美保の視界に敵は映らない。しかし待ち伏せの可能性がある限りは緊張が消えることはない。
美保は小さな物音も見逃さないように耳を澄ませ、敵が隠れていると思われる場所を徹底的に調べた。
「はぁ……いないわね」
全て調べ終え、敵がいないことが分かると緊張が解れたように深い溜め息を吐いた。
美保はアイーラに手招きして「入って来て!」と告げる。
純粋な子供のように美保に言われるまま、アイーラは建物の中に入った。
「敵はいた?」
「安心して、いなかったわ」
「じゃあさっさとリュックサックをいっぱいにしちゃって帰りましょうっと」
「そうね、早ければ早いほどレイテットちゃんと雛君の負担軽減にも繋がるし」
アイーラと美保は建物の探索を継続する。
室内の隅から隅まで探し、そうして見つけた物は食糧である缶詰めと衣服である。
「これ、合うかしら?」
早速美保は見つけた衣服であるセーターとスカートの二つを自らの身体に重ねて、アイーラに訊く。
「合うんじゃない?」
アイーラはなにも考えていない返事を返して、リュックサックに十個ほどの缶詰めを入れる。
そんなアイーラの返事を真に受けた美保は「やったー! 次から普段着はこれにするわ!」と大喜びした。
「後なにかある?」
「ありませーん」
アイーラと美保は取り忘れがないかの確認を終わらせる。
もはやこの建物は用済みである。
二人はそのまま建物から出ようと、出入り口の扉から顔を出した。
「!?」
このタイミングでアイーラと美保、二人の運は悪い方を向いた。
その運の悪さを証明するかのように、二人のすぐ目の前にナイフを持った人型『PODE』が現れる。
「アイーラちゃん!」
「わっ!」
美保はすぐにアイーラを建物内に戻し、ナイフを持った人型『PODE』の前に立った。
軍用スコップを持って身構える。
「来なさい!」
「遠慮なく」
人型『PODE』がそう言った瞬間、ナイフの一閃が飛び込む。
「え……」
美保の首から熱い液体が流れ出る。
手でその液体を確認すると、それは血ということが分かってくる。
「あ……あぁ……!」
紅く、美保の目に強く焼き付く色。
死の恐怖と絶望が美保に迫る。
半ばパニック状態に陥った美保は死を待つようにその場に座り込んだ。
「美保さん!」
心配から来るアイーラの叫び声、それと共に銃声が鳴り響いた。
発砲炎の発生と同時にAEK971の銃口から銃弾が放たれ、美保を殺そうとした人型『PODE』を蒸発させた。
「美保さん、大丈夫!?」
アイーラは美保に駆け寄る。
当の美保は半ばパニック状態のまま、何度も自分の首を触って血の量を見る。そうして美保は出血多量で死なないことに疑問を持ち始めた。
「私、生きてる?」
「生きてるよ」
「本当?」
「うん」
アイーラに言われて生きていることを実感する美保。
意を決した美保は、斬られた部位を恐る恐る触る。
「傷が浅い」
触れて確かめると斬られた首の傷は浅い。奇跡的に動脈は切れておらず、まさに首の皮一枚で繋がっていた。
「包帯を巻いておきましょうか」
美保は冷静さを取り戻し、首の傷口を塞ぐように包帯を巻いた。
「美保さん! 敵が!」
「え?」
しかし落ち着ける暇はない。
外を確かめるアイーラの視界に五十体を超える多数の『PODE』が向かってくる姿が入った。
その全てはアイーラの銃声に引き付けられた『PODE』だ。
「私の銃声で……」
「アイーラちゃん、逃げるわよ!」
「う、うん」
美保はアイーラの手を引っ張り、次の建物へと身を隠す。
生存者たちが完全に分断されるという最悪の事態、そしていつも以上に生死を賭けた抵抗の始まりである。
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