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【完結】POD Enemy  作者: D-delta
エピソード2 劣等感を抱く小さき子

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第六十八話 忍ぶ生存者たち

明けましておめでとうございます!

これからもこの作品にブクマしている読者様、この作品を読んでくれている読者様のために、そしてなにより自分のためにこの作品の完結を目指して更新していきます。

読者様の皆さま方、今年もよろしくお願いします!

 時刻は午前十一時。天気は相変わらず微妙であり、気持ちの良い天気とは言えない。

 その空の下、生存者たちは偵察した結果を活かして安全なルートを進み行く。


「みんな、よく聞いてくれ。ここで発砲すれば敵の大群に見つかり、奴らが押し寄せてくるだろう。発砲は必要なものを取ってここから撤退する時まで控えてくれ。もしもそれまでに発砲した場合は人命優先でここから即撤退する」


 大切な人を失いたくない気持ちと自衛官としての使命感が働き、もしものことを思考しながら雛はこの後の動きを伝える。

 そんな雛の説明を真剣に聞き入れ、レイテットとアイーラは緊張感を持って無闇に発砲しないことを誓う。


「ふふ、このツワブキの魔法姫には銃なんてなくてもこのブラックバスターがあるわ」


 そう言って、美保は軍用の折りたたみ式スコップを見せ付ける。

 しかしどう見ても魔法姫が持つような武器ではない。


「美保さん、その格好でその武器はちょっと……」

「痛いねぇ」


 レイテットとアイーラが美保の痛さを告げる。

 それでも美保は「このブラックバスターならデカイ音も出ないわ!」ともはや痛いことを気にしないでツワブキの魔法姫を続けた。


「さぁどんどん行くわよ!」


 美保が張り切って先頭を進んでいく。そんな張り切っている美保に他の生存者は付いて行く。

 安全ルートを進み続けて、十分が経つ。

 まだ発見されていない状態の生存者たちが安全ルート通りに舗装されていない道路に出ようとしたところで『PODE』が姿を現す。


「どうする?」


 隠れた状態で、敵を発見。すぐレイテットが雛に訊く。

 雛は『PODE』を視界に入れて、どういう形態をしているか確認する。


「舗装されていない道路に一匹。人型か、発見されて大声を出されると厄介だ。それに知能もあればなにをしでかすか分からない」


 姿を現した『PODE』を人型と確認し、雛はどういった行動をするか分析しながら対処の仕方を考える。

 そしてすぐに有効な対処策が頭の中に浮かぶ。

 雛は対処策を早速実行するため、美保のスコップに目を向けた。


「美保さん、そのスコップじゃなくて……ブラックバスターを貸してもらえませんか?」

「もちろん良いわよ、格好良く使ってあげて」

「ありがとうございます」


 美保からスコップを受け取り、雛は『PODE』に向かって石を投げる。もちろん『PODE』に当てる訳ではなく、物音を立たせるための投石である。

 石が地面にぶつかる。

 ほんの些細な物音しか出ないが、人型の『PODE』は見事に物音を立てた石の方に気を取られていた。

 このことから分かるのは、生存者たちの目の前にいる人型の『PODE』は少しの物音でも聞き逃さないということだ。


「その物音に反応するなら、一気に殺すまで」


 最後の分析を終えて、雛は『PODE』に向かって一気に走る。しかし走る際の足音は大きい。

 人型の『PODE』は足音を聞き逃さず、雛の方に向いた。

 そして雛の姿を視界に入れた『PODE』はすぐに口を大きく開き、叫ぶための予備動作を取った。


「大声は出させない」

「ギャア――」


 人型の『PODE』が叫んだ一瞬、雛は思い切り振りかぶってスコップで殴打。人型の『PODE』の口ごと頭を叩き潰し、言った通りに大声を出させなかった。

 そのまま雛はスコップの鋭い先端で『シールド細胞』を一突きし、人型の『PODE』を蒸発させた。


「よし、撃破」


 雛は『PODE』の蒸発する様子をしっかりと見つめ、隠れたままの彼女たちのところへ戻って行く。


「美保さん、ありがとうございます。ブラックバスターお返します」

「ふふん! どういたしまして!」


 美保にブラックバスターこと軍用の折りたたみ式スコップが返されたところで、生存者たちは再び目的地へと足を進ませる。

 舗装されていない道路を横断し、身を隠すために草むらに入って、生存者たちは進み行く。

 そうして生存者たちは敵との遭遇はあっても無駄な交戦はせず、目的地である街近くの林に到着した。


「ここから再び偵察だ。役割は先ほどと同じ、俺とアイーラが偵察、レイテットと美保さんは周りの警戒だ」


 彼女たちはコクリと頷き、再びそれぞれの役割を始める。


「やはりここまで来ると敵の数が多い」

「だね」


 偵察をしている雛とアイーラの視界には百を超える『PODE』が街の中をうろついている姿があった。しかも多種多様な姿をしており、一回目の偵察よりも更に多くの種類が見て取れる。

 初期型、人型、車型、人間並みに大きい蜂型、そして創作物から出てきたような騎士の姿をした『PODE』などなど、今まで生存者たちが見てきた敵とは比べものにならないほど種類も数も多い。


「さっきの偵察で見たあの扇形の奴はどこだ?」

「いないね。逆に近過ぎて見えないんじゃね?」

「それは一理ある。とりあえず偵察を終わらせて作戦を決めるぞ」

「はーいよ」


 雛とアイーラは扇形のなにかの確認をし合い、偵察を終わらせた。

 林の地面に地図が広げられる。その地図を囲んで、生存者たちは作戦会議を行う。


「偵察した結果、敵の数は百を超えるほど多い。交戦しながらでの食糧の回収はかなり厳しいだろうし、百を超える敵の目から隠れることも困難だ。だから今回は俺が敵を全て引き付ける、その間にレイテットたちは食糧の確保を頼む」

「雛君、私も一緒に敵を引き付けるよ。ダメとは言わせないから!」


 レイテットの険しくなった目が雛を見つめ、頑固な口調で告げる。


「しかしレイテットを危険に晒す訳に……」

「それだったら雛君だけを危険に晒す訳にはいかないね!」

「じゃあ、その、死なないって約束出来るなら」


 少年のような仕草で心配そうに雛が言う。そんな雛に対してレイテットは胸を張って「うん、絶対に死なない!」と自信たっぷりに告げた。


「分かった。俺の、僕の後ろは頼んだよ。もちろんレイテットの後ろは僕が、俺が守る!」

「にひひ!」


 死地に赴こうともお互いの信頼は絶えない。

 これでレイテットも雛と同じように敵を引き付ける役目を引き受けることとなった。


「それじゃあ、アイーラと美保さんは食糧とその他使えそうなものの回収をお願いします」

「うい」

「回収もこのツワブキの魔法姫にお任せあれ!」


 こうして生存者たちは敵を引き付ける者と食糧とその他諸々を回収する者に分かれ、それぞれが役割をこなし始める。


「行くよ、雛君!」

「あぁ!」


 レイテットと雛は身を隠していた林から飛び出て、アイーラと美保は身を隠しながら食糧とその他諸々の回収を始める。

 それぞれの戦いが始まろうとしていた。


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