第六十三話 曇り空
更新速度ぉ……(毎回の如く)
まぁ色々重なり過ぎているから仕方がないですな、今はエタらないように調子を整えながらがんばります。
時刻は午前八時。お茶会を終えて、また新しい日が昇ってくる。だが、空は灰色の厚い雲で覆われており、眩しい光が生存者たちのところへ届くことはない。
そんな少し鬱々とした空の下、生存者たちは目を覚ます。
「おはよう!」
生存者たちがリビングに集まると、レイテットが元気の良い挨拶をした。その後に次々「おはよう」と挨拶が交わされていく。
「さぁて、今日はなにする?」
レイテットが訊く。同時に彼女たちの視線はいつも作戦を決める雛の方へと向いた。
「武器の調達は済んでいる。毎日消費する食糧を引き続き確保するのが優先だから、今日も昨日と同じく食糧確保についてだ」
食糧にはまだ余裕がある。しかし余裕があるからと食糧確保の手を止めてしまえば『PODE』に取り込まれるかもしれない。ただでさえなんでも取り込み、数の多い『PODE』だ。食糧まで取り込み始めたらあっという間になくなる。
生存者たちが生き残るためには、そうなる前に食糧を手に入れなければならない。
「じゃあ早速、探索場所と作戦を決めよう!」
昨日のお茶会でとてもテンションが高くなっているレイテットが率先して地図を広げた。
地図が広げられると、雛が赤ペンを持って一度行った場所にレ点のチェックを付けて行く。
「みんな、俺がいなかった時に取り終えたところを教えてくれ」
雛はレ点のチェックを付けながら彼女たちに訊く。
「こことここ、後ここには何回も行ってるよ」
レイテットが地図に指差して、雛に教える。
雛が彼女たちと合流する前に行った場所は三つ。内二つは大型店舗、もう一つは『PODE』の巣窟である街中だ。それも街の中心となる場所である
大型店舗と街の中心であれば大量の食糧があるのは当然だ。彼女たちが今まで生き残れてきたことも納得出来る。
これで、なぜ彼女たちは生き残れているのか? という雛の頭の片隅にあった些細な疑問はなくなった。
「レイテット、ここの店のことだが……この二つは全部調べたか?」
「バッチリ!」
「よし、街の中心はどうだった?」
「缶詰めとか腐ってなかった食べ物は取れたけど、そこは敵が多かったからすぐに逃げちゃった。でもまだどっかに食べ物はあるはず!」
レイテットから確認が取れた。
雛はレイテットの発言を元に大型店舗二つにレ点チェックを付け、街の中心となる方は付けなかった。
「これでOKだ。次は行く場所を決めよう。どこか食糧を確保出来そうな場所に心当たりはあるか?」
雛は彼女たちに訊く。
アイーラは首を傾げて「うーん」と唸る。それもそのはず、ほとんど毎日引きこもっているのだ。外のことはあまり詳しくない。
対してレイテットと美保は心当たりがある様子で、地図に指を差した。
「心当たりと言ってもやっぱりここぐらいしか……」
「そうね、やっぱりレイテットちゃんと同じでここになってしまうわ」
レイテットと美保、二人が指差した場所は同じ場所。そしてその指差された場所は先ほどレイテットが言っていた街の中心だった。
「敵の巣窟に飛び込むのか」
雛は思考する。
街の中心に行けば『PODE』の数はお菓子回収作戦や武器調達の時の倍ぐらいはいるだろう。それくらいの数の多さだ。一度交戦すれば激しい攻撃を受けることになるのは確実である。下手に交戦すれば死者が出る可能性だってある。
雛はそのことを理解しており、悩んでいた。
「他の場所に心当たりはあるか?」
「ごめん、私はここしか」
「私もレイテットちゃん同様、そこぐらいしか」
レイテットも美保もここしか心当たりがなかった。
雛は「それなら仕方ない。次はここに行こう」と告げて、街の中心を赤ペンでマークした。もはや雛にとって危険は承知の上だった。
「明後日、ここに行って食糧を確保する。今回の食糧確保はかなりの危険が付きまとう、誰か一人でも命の危険を感じたらすぐに撤退するぞ。細かいことはまた後日だ。なにか反対意見は?」
「私は特にないよ!」
「私もー」
「右に同じくよ」
レイテットもアイーラも美保も、雛のことを信用している。今更作戦に反対意見はなかった。
こうして大体作戦が決まると、生存者たちはそれぞれやることを始める。
雛は武器の手入れを、彼女たちは洗濯などの家事を始めた。
※
家事や武器の手入れなどの作業をやっていく内に時間は経っていった。朝から夜へと変わるのはあっという間だ。
夜になっても曇っている空の下、一人を除いて生存者たちはくつろいでいた。
「大丈夫かな、次の作戦……」
机のイスに座って、ボーと記憶を思い出しているアイーラ。その表情は不安一色。
そして思い出している記憶は街中でのこと、レイテットと一緒に食べ物を回収していた時のことだ。
恐ろしい姿をした異形から見慣れた人型まで多種多様な敵、数の暴力とでも言える無数の敵、その敵たちから必死に抵抗して逃げた記憶。
「たぶんやれるよね」
アイーラの胸の内はもやもやとした不安が溜まっていた。
しかしアイーラにはどうしようもない。この不安を解消しようにも、そのやり方を知らない。
「……誰も死ぬことないよね」
アイーラは窓の外を見つめる。
風に揺れる木の葉。鬱々とした曇った空。
窓の外を見つめても不安が消えることはない。だからアイーラは思考するのを諦めて、逃げるように最初から不安などなかったことにした。
「寝よう」
アイーラはベッドに横になり、目を閉じる。
意識が落ちて行く。
そうして明日がまた訪れる。




