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【完結】POD Enemy  作者: D-delta
エピソード2 劣等感を抱く小さき子

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第五十四話 アイーラの過酷?な特訓2

特訓の始まり始まり!

 時刻は午前九時。

 レイテット、雛、美保の順番で、アイーラの特訓が始まろうとしていた。


「アイーラ! 行くよ!」


 天気の良い空の下、最初の鬼であるレイテットは距離の離れているアイーラに告げる。


「ふぅ……はーい!」


 逃げることに集中し、アイーラは答える。

 そうしてアイーラの声を聞き取ったレイテットは全力で走り始める。その走りはまさに馬の如し。速く、地面の上を駆ける。

 鬼ごっこ――特訓が始まった。


「始まった、やっぱ速い!」


 アイーラがそう告げる間にも距離は縮んでいく。もはや一回の呼吸が遅く感じるほどレイテットの足は速い。

 アイーラが逃げようと動き出した瞬間には、レイテットは既に目の前まで迫って来ていた。


「逃げられない!」


 だったら避ける、と心中で呟く。身体が反射的に動いたアイーラはレイテットが触ってくる直前で回避する。

 レイテットはアイーラを行き過ぎて、すかさず足を止めた。そしてアイーラの方へ向き直る。


「意外と動けるんだね、アイーラ!」

「そりゃ私だってみんなと一緒に戦ってきたんだもん! そう簡単には!」

「じゃあ今度は確実に捕まえるよ!」


 レイテットは宣言し、地面を蹴ってアイーラに向かって駆ける。再び全力疾走だ。しかも先ほどの全力疾走による体力消耗の影響がまるで見えないほどの走りである。まさしく体力お化けだ。

 そんな体力お化けを前にして、アイーラは冷静にレイテットの動きを観察した。足で逃げられない以上、レイテットから逃れるには直前の回避しかない。そのための動きの観察である。


「次も避ける」


 呼吸を整え、アイーラはレイテットだけを見つめる。

 そうしてまた全力疾走しているレイテットが間近に迫ってきて、アイーラに手が触れられようとした。しかしアイーラはその瞬間を狙って回避、レイテットが行き過ぎていく。


「よし!」


 回避した。が、レイテットは全力疾走の勢いを殺さないまま咄嗟に方向転換した。二人の距離は近く、尚且つアイーラにとって想定外の動き。再び駆けてきたレイテットの手から逃れることは出来ず、アイーラは捕まった。


「捕まえた!」

「そんな……!」

「さぁお待ちかねの罰ゲームだよ!」

「いやいや、レイテットには雛君がいるんだからそっちにした方が良いって!」

「ルールはルール」


 アイーラの引きつる顔。レイテットのニヤニヤした顔。

 罰ゲームが開始される。


「いやいやいやいやダメダメダメダメ!」

「はむっ」

「んっ!?」


 暴れるアイーラの両手を押さえ、レイテットは首に甘噛みする。

 唇は柔らかく、歯は立ててない。しかしとても乱暴であり、まるで貪るかのような甘噛みをしている。


「んぁ! レイテット……! あっ……!」


 アイーラは乱暴にされて、声を漏らすしか出来ない。その上身体から力が抜けていく。暴れて抵抗しようとしていても遂にアイーラはレイテットに押し倒され、そのままフィニッシュにまで持っていかれる。


「んあぁぁぁ!」


 気分が盛り上がったレイテットに強く甘噛みされ、アイーラは絶頂にまで達するかのような声を大きく漏らした。


「あは、大きな声出ちゃったね。アイーラ」

「はぁ……はぁ……!」


 レイテットに無茶苦茶にされたアイーラは声を荒げて「レイテットのスケベ」と吐き捨てる。当のレイテットはアイーラを無茶苦茶にし、満足していた。


「ねぇ、ちょっと待ってよ……」


 ふと気付き、アイーラは息を荒げながら訊く。


「私が勝つ条件ってなに?」

「あー……そういえば考えてなかった!」

「困るなぁ」


 アイーラに言われてレイテットは気付く。

 アイーラ――すなわち逃走する側に勝利条件が現状ない。


「一回集まって、ルールをもう一度見直そう」


 ルールが完璧じゃないことに気付いたレイテットは苦い顔をし、アイーラをおんぶして雛と美保のところに戻った。


「ごめん特訓は一旦中断、アイーラの方の勝利条件忘れてた!」


 全員集まったところで、生存者たちはアイーラの勝利条件を考えることにした。

 それから生存者たちは少し話し合い、雛の「鬼側に制限時間を付けるというのはどうか?」という意見でアイーラの勝利条件は、制限時間が経つまで鬼から逃げ続ける、というものに決まった。

 決まったところで生存者たちは再び鬼側と逃走側に別れる。


「それじゃあ特訓は一からやり直しってことで、もう一度私から!」


 アイーラにそう告げると、レイテットはまた追いかける姿勢になった。変わってアイーラは逃げる姿勢を取る。

 両者共に準備が出来て、制限時間をセットしたストップウォッチも準備が出来た。


「行くよ!」


 レイテットが特訓の開始を告げ、地面を蹴って走り始める。そうして雛の持つストップウォッチが押される。鬼側に課せられた制限時間はアイーラの体力不足と運動不足を考慮して三十秒。鬼はその三十秒以内にアイーラを捕まえなければならない。


「三十秒回避し続ければ、レイテットに勝てる」


 レイテットの走ってくる姿を凝視し、集中する。よく動きを観察しながらアイーラは回避のために動き出す。が、回避と思考、集中で疲れた身体が言うことを聞かずによろけた。


「捕まえた!!」


 レイテットがその隙を逃さず、一気に飛び込んでくる。そうしてたった五秒でアイーラは簡単に捕まった。


「ダメだこりゃぁぁ!」

「はむっ」

「にゃぁぁ!!」


 今度は最初から押し倒され、首を甘噛みされる。その様はまるで強姦されているよう。少なくとも美保はそう思って「うわぁ、レイテットちゃんの犯罪臭いわね」と独り言を言っていた。


「ふー、満足!」


 レイテットはアイーラを再び無茶苦茶にし、満足する。その表情も満足でいっぱいだ。

 そして特訓の一回戦目はアイーラの敗北、レイテットの勝利で終わった。


「次は俺か」


 雛が一歩前に出て、告げる。

 アイーラ対雛による特訓の二回戦目が始まる。


かなーり過激にしていますが、お気にせず。

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