表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】POD Enemy  作者: D-delta
エピソード2 劣等感を抱く小さき子

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/110

第五十二話 帰還

だいぶ遅くなりましたが、更新しました。

 時刻は午後七時。それまで夕日が綺麗だった空は暗くなり、星々が浮かんでいた。

 そんな空の下、生存者たちは無事に家に帰還し、晩ご飯の支度に入っていた。

 台所では晩ご飯の支度をしている美保とその様子を見つめているアイーラがおり、額に包帯を巻いた雛はリビングの隅でみんなの荷物整理をしていた。背中を怪我したレイテットはと言うと、自室で安静にしていた。


「これで全部か。アクシデントと失った武器はあったが、良い収穫だ。しばらくはこの武器と弾薬でどうにかなるな」


 雛はリビングの隅に置いてあるもう一つのテーブルの上に収穫物を置き、それぞれ合う武器と弾薬をまとめる。他の食糧などはまとめて一ヵ所にテーブルの上に置いている。

 今回の武器調達での収穫は三つ。

 スーツ一式と共に民家で拾ったSAIGA20、他人の生存を願った自殺者のMP446バイキング、スペツナズが置いて行ったスコープ付きAEK971だ。

 その代わりに失ってしまった武器はAK47、まだAK47の弾薬がある中これは痛手である。


「よし、後は各々に武器を分ければ大丈夫か」


 雛の荷物整理は終わった。戦いの疲れで雛はそのまま休憩に入る。が、雛の今の状態は上半身裸、服ボロボロ。既にパンツが見えている。


「雛君、あのー……着替えてきたら?」

「そうですね。美保さんの部屋借りて良いですか?」

「良いわよ。あ、アイーラちゃん、手伝ってあげて」

「あーい」


 少し目のやり場に困っている美保に言われ、雛はアイーラと一緒に部屋に移動して着替えを始めた。

 雛は早々にボロボロになった服を脱ぐ。そうして現れるのは包帯と生々しい傷だらけの雛の身体。


「雛君……レイテットより怪我してる」


 雛の身体を見て、アイーラは心配そうに言う。

 そして続けてアイーラが口を開く。


「ねぇ、雛君は本当に生きているんだよね……? 限界来てるのに無理に動いてないよね? なんだったらずっと安静にしていて良いんだよ……」

「大丈夫だ。俺は生きているし、限界になど来ていない」

「本当に?」


 雛は大丈夫と答えるが、雛の身体を目にしたアイーラの心配はなくならない。


「本当だ。俺の胸に手を当ててみれば分かるが、心臓はまだ動いている。これが生きているなによりの証拠だ」


 雛は自らの胸にアイーラの手を当てさせる。

 アイーラの手に伝わるドクンドクンという強い心臓の鼓動。


「えっと、えっと……ちゃんと生きてるね」


 次第に雛を意識してきたアイーラの顔は赤くなる。

 雛にとっては生きている証明をしたつもりだが、アイーラにとっては雛という男の存在の再確認だった。


「あ、ほら早く着替えようよ」

「それもそうだな」


 誤魔化すような口振りでアイーラは言う。アイーラの誤魔化しに気付かない雛は言われたままに持ち帰ってきたスリーピーススーツに着替える。

 一見して普通のスーツ姿に見えるが、スーツの下ワイシャツの上にベストを着ている。

 ワイシャツの色は白。スーツとベストの色はワイシャツとは正反対に黒い。


「意外と合っているな」


 部屋の鏡に映る自分の姿を見て、雛は感想を述べる。そして少し自分の格好に自信が出てきたのか、鏡に向かって簡単なポーズを決めてみせる。


「なにやっているんだ……俺」


 急にバカらしさが出てきた雛はふと冷静に戻る。そんな雛の横でアイーラはバカにするような小さな笑いを漏らしていた。

 冷静に戻ったところで、雛は自身の衣服の分析を口に出して始める。


「格好はかなり良い、気に入った。しかし防弾性能がない。これで俺もレイテットやアイーラ同様に一発の被弾も許されなくなったな」


 雛は自身が着ている衣服に評価を下し、これから一発の被弾が致命傷になる確率が飛躍的に上がることを頭の中に入れた。


「そんなの被弾しなきゃ良いっしょ」


 とても単純な考えがアイーラの口から出てきた。

 雛は「確かにそうだな」と、今にもそれをやってのけるような発言を口から出した。


「そういえば、さっきの着替えで手伝うことあるっけ?」

「ないな。脱いだ服は俺が片付けるし」

「えー、じゃあ私はなんのために一緒に……ひょっとしてまた美保さんのからかいだったり……はぁ」

「とりあえずリビングに戻るぞ。あまり長居していると怪しく思われる」

「んー、そうだね」


 着替えを終え、雛とアイーラはリビングに移動する。


「あ、美味しそうな匂いがする」

「確かに」


 雛とアイーラは台所から来る料理の匂いに気付き、二人はリビングのイスに座った。ほんの少しして美保が料理を持ってくる。

 あっという間に料理の美味しい匂いがリビングを包み込んだ。


「今日は趣向を凝らして回鍋肉にしたわ」

「ほいこーろー?」


 美保と雛はその料理を知っているが、アイーラは知らない。美味しい匂いに釣られてアイーラは見たことない料理を覗き込む。


「わぁ美味そう」


 肉とキャベツに染み込んだ香ばしい匂いが鼻を刺激し、アイーラはキラキラと目を輝かせる。

 アイーラにとっては未知の美味しそうな料理だ。たまらずぐぅーとお腹が鳴る。


「ふふ、レイテットちゃんを呼んでみんなで食べましょう」

「あーい!」


 早く食べたいアイーラは早々にレイテットを起こしに行く。バタンと大きな音を立てて、安静にしているレイテットの部屋に入室。そのままレイテットの肩をポンポンと叩く。

「晩御飯だよ」とアイーラはレイテットの耳元で告げる。


「ん……もうそんな時間?」

「うんうん」


 目を覚ましたレイテットは上半身を起こし、アイーラの頷きを視界に映す。そうして仄かにリビングから美味しい匂いが伝わってくる。

 その匂いはレイテットの嗅覚を刺激し、脳に「これは美味しいぞ」という情報が伝わる。この情報がレイテットのお腹を鳴らせる。


「よっし! お腹も空いたことだし、食べるぞ!」

「おー!」


 レイテットとアイーラは元気に部屋から飛び出てきた。まるで背中の怪我が嘘かのようである。


「来たわね、食べましょうか」

「はい!」

「早く早く」


 レイテットとアイーラは早速座り、よだれを垂らしながら回鍋肉がテーブルに置かれる様を見つめる。

 雛はそんな彼女たちを見つめて、和やかな笑みを浮かべていた。


「いただきます」


 美保がそう言うと、他のみんなも続いて「いただきます」を言う。いよいよ晩御飯の時間がやってきた。

 賑やかな雰囲気の中、生存者たちは出来た晩ご飯を食べ始める。

 こうして今日という忙しい一日は終わりを迎えて行く。


アイーラのエピソード入りました、ほのぼの半分シリアス半分のエピソードになると思います(たぶん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ