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【完結】POD Enemy  作者: D-delta
エピソード1 強く生きる雛

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第五話 家

銃をバンバンするだけではないのですよ(`-ω-)

「もう七時、帰ってくるのが遅いわね。あれほど時間にはうるさく言ったのに……どこかでくたばっているのかしら」


 豊満で素晴らしい谷間を作っている胸を微かに揺らし、温めている最中のカレーを見ているメイド姿の女性が寂しく一人。

 カレーが丁度良く温まる。一人でいるメイドは火を止め、火がしっかり通っているかを確認した。


「ん……」


 スプーンでカレーをすくい上げ、ほのかにピンクで艶のある唇の奥にカレーが入って行く。綺麗な紅い色の口内でカレーの味と温度を感じ、しっかり火が通ったことを確認した。

 メイド姿の女性は満足行った表情で口を付けたスプーンを自分の分のお皿に置いた。


「上手く出来た」


 そう言って三つの内一つのイスに座り、自らがここにまで持ってきた娯楽小説を読み始めた。レイテットとアイーラが帰ってくるまでの暇つぶしである。

 彼女はその小説を読み進めていく。内容は一人の転生者が圧倒的で理不尽なまでの強さを用いて黒く歪んだ世界を舞台に虐殺していくストーリーだ。まさにとんでもなく凄まじいストーリーなのだ。


「ただいま!」

「戻ったよ、ピースピース」


 家の扉が開き、元気なレイテットと気だるそうなアイーラの声が入りこんでくる。レイテットはドラグノフを壁に立て掛け、アイーラはバケツを帽子掛けに掛けてAK47をドラグノフの横に立て掛けた。缶詰めの入ったレジ袋は端に寄せてある別のテーブルの上に置いた

 二人は遅く帰ってきたことを悪く思わないような表情でメイド姿の女性と目が合う。

 メイド姿の女性は溜め息を吐き、遅く帰ってきたレイテットとアイーラにげんこつを入れた。


「あいだー!!」

「いべぇ!!」


 レイテットもアイーラもメイド姿の強烈なげんこつにやられ、痛みのあまりに叫んだ。どちらも痛みの余韻が残り、頭を押さえた。


「いくら遅くなったからって今日のは痛いよ、美保さーん」

「そうだよぉ!!」


 レイテットとアイーラは痛みを押さえながら言った。

 メイド姿の女性の名前は(さくら) 美保(みほ)。男なら誰でも目を奪われてしまいそうなほど肉付きの良い容姿をしている。しかも可愛らしいメイド服が合わさり、見た者をドキドキとさせてしまう魅力があった。

 しかし同時に怒ると怖い女性でもある。今の様子がまさにそれだ。


「あら?」

「……」


 無口でいるゼラニウム4と美保の目が合った。美保は珍しく客人が来たことに少し驚いた表情をしていた。

 ゼラニウム4と美保の目が合っていることに気付いたレイテットは「ほらほら、さぁ入った入った!」と、元気にゼラニウム4の手を引っ張って家に入れた。


「珍しいわね、軍人さんなんて」

「軍じゃない自衛隊だ」


 美保の言ったことを訂正するようにゼラニウム4が言う。美保はまた驚いたような表情をして「自衛隊? じゃあ助けに来てくれたの?」とゼラニウム4に問いただす。

 なんの表情の変化もないままゼラニウム4は「つい数時間前に俺の乗っていたヘリは落とされた。今は救助活動どころではない」と、冷静に述べる。

 残念そうに表情を変えた美保は言った。


「じゃあまだここからは抜け出せないの?」


 ゼラニウム4はなにも言わぬままコクリと頷く。

「はぁ……」と溜め息を吐いて、美保はメイドらしからぬ気が抜けるような落ち込み方をした。

 そんな美保の落ち込みようにレイテットが口を出す。


「まぁまぁ良いじゃない、美保さん。この自衛隊員さんは私とアイーラを救ってくれた頼もしい人なんだから」

「救った?」


 首を傾げた美保に対してレイテットは助けてもらったことに関して説明を始めた。


「いやぁー、実は……私たちさ、あの気持ち悪い敵と戦って何体か倒したんだけど、油断してやられちゃったんだよね。そこで、この人に助けてもらったって訳!」

「あのままだったらカレーの匂いを嗅ぐ前に死んでいたと思う」


 レイテットの簡単な説明が終わると、アイーラが付け足すように言う。

 美保はその説明を聞き、ゼラニウム4が悪い人物ではないと判断した。


「ありがとうございます、自衛官さん。お礼としてカレーを食べて行ってください」


 美保は丁寧な口調でお礼を言い、にこやかな可愛らしい顔でゼラニウム4を歓迎した。それに続いてレイテットが「そうそう、美保さんの作る料理は美味しいんだから食ってけ!」と底がないような明るさで言い、アイーラも続いて「食ってけ、食ってけ」と気だるそうにしてオススメするように言った。


「ならば、お言葉に甘えて頂くとしよう」


 ゼラニウム4はテーブルクロスが敷かれてあるテーブルのイスに座り、89式小銃をすぐ横に立て掛けた。戦闘用ヘルメットをテーブルの上に置き、タクティカルグローブを脱ぐ。

 彼の清潔感のある短髪が現れ、左手の甲に大きな傷痕があるものの綺麗な肌の手が現れた。

 そしてずっとゼラニウム4の顔を隠していたガスマスクが外れようとしていた。


「おぉ、素顔!!」

「気になる」

「?」


 女性陣は興味津々でゼラニウム4の素顔が出てくるのを待っていた。レイテットは覗き込むように、アイーラは横で、美保は正面から見ている。

 ゼラニウム4の吐息と共にガスマスクが完全に外れる。


「わーお!」

「これはたまげた」

「え!?」


 ガスマスクの後ろにあったものは鬼や悪魔のような顔ではなく、端正な顔つきでありながらどこか幼さを残した美青年の顔だった。一際鋭い目があることでクールな印象がある。言うなればクールな美青年だ。

 素顔を隠し、殺意の塊のような人間とは思えない彼の姿は女性陣に衝撃を与えていた。


「美青年の自衛官って、もうなんか容姿からして漫画の登場人物みたい……!」


 初めて見た美青年の姿に対してうきうきとしながら美保が言うと、レイテットとアイーラは興味津々な様子で「うんうん」と頷いた。

 対してゼラニウム4は相も変わらず無口無表情でなにも感じないまま女性陣の様子を見ていた。


「え、えっと……今夕飯の準備をするね」


 うきうきが止まらないままの美保は頬をほんのり赤くさせて、夕飯の準備を始めた。自家発電によって動いている炊飯器を開き、水蒸気が上る。炊飯器からお皿にご飯を盛り、温まり終わったカレーを掛けた。

 カレーライスの出来上がりである。

 美保は人数分のカレーライスをテーブルの上に置いた。

 カレーの香ばしい匂いが部屋をいっぱいにしてレイテットとアイーラのお腹を鳴らせ、お腹が空いたことを知らせる音が部屋に響き渡る。

 レイテットとアイーラは早速席に座り、カレーライスを口に入れた。


「美味い!」

「んー、最高」


 ほのかに甘く香ばしい味わいはレイテットとアイーラの口の中を幸せにさせた。

 ゼラニウム4もカレーライスを食べ始める。


「味はどう?」


 美保が窺うように訊く。

 彼は一度口の中にある食べ物を呑み込んで「美味しい」と答えた。しかしその表情は無表情のまま変わらない。

 表情には出なくても美味しいという一言、レイテットとアイーラが美味しく食べてくれていることで美保は笑みを浮かべた。


「嬉しい」


 呟くように一言言って、美保も食べ始めた。

 香ばしい匂いの中で幸せな夕飯は続いた。


飯テロやで(上手くいったかは分からないけど)

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