第四十四話 新しい武器
今回色々修正しました。
・銃剣特攻と銃剣突撃がごっちゃになっていたので、銃剣突撃に統一。
・ドアブリーチの時はスラッグ弾の方が有効ということで、SAIGA12(散弾)をSAIGA20(スラッグ弾)に修正。
他にも色々修正しておりますが、細かい描写部分だけです。
ストーリー部分には手を加えておりません。
時刻は午後一時。
雷鳴と豪雨は止まらず、校内の中からでも雨粒が激しく当たる音と雷鳴は聞こえてくる。
そんな中、生存者たちは電気の点いていない薄暗い校内の探索を始めていた。
「中々暗いわね、照らすわ」
美保は念のために持ってきた懐中電灯を点け、目の前を照らす。
照らされた先は廊下だった。あちこちに各教室へと繋がる扉がある。扉は全部で六つあり、必然的に教室も六つになっていた。
「誰もいないね」
「確かにすっからかんだ」
雛とレイテットは言う。
廊下からは人の気配は全くしない上に、廊下の途中に置いてある物資もない。まさしくなにもない。
「警戒は怠らず、進むぞ」
SAIGA20を構えた雛が先頭を進み始める。雛に続いて彼女たちも進み始める。
雛が先頭を進むポイントマンとなり、美保がその後ろから懐中電灯で前方を照らす。そしてレイテットとアイーラはすぐに援護出来るように雛と美保の後ろを進む。
「誰かーいませんかー?」
人の気配がまるでない廊下にレイテットが呼びかける。もちろん返事は返ってこない。物音一つせず、反応はなにもなかった。
生存者たちは警戒を怠らず、廊下を突き進んでいく。
そして生存者たちは廊下の一番奥にまで到達するものの、結局なにもなかった。
「教室の中を調べるぞ」
雛はそう言い、彼女たちはコクリと頷く。生存者たちは教室内を調べるために近場の教室の扉を開け始める。
最初の教室。教室内には綺麗に並べられた机と椅子、そして黒板の目の前に教卓がある。とても一般的な教室だが、教室の隅にとても一般的ではない異物があった。
「みんな、あそこになにかあるよ」
アイーラが指を差してその異物を発見する。
そうして生存者たちは教室の隅にある異物を調べ始めた。
「アイーラ、よく見つけてくれた。これは銃だ」
雛は微笑んでアイーラを褒めた。それも親指をグッと立てての褒めである。珍しく親しい感じに褒められたアイーラは「やったぜー」と、ニッコリ喜んだ。
「なんの銃?」
首を傾げてレイテットが質問する。
「これはAEK971だ。ロシアの特殊部隊、スペツナズが使うアサルトライフルという話を聞いたことがある」
「へー、ところでその銃は強いの?」
「アサルトライフルであることから考えて俺が持っているSAIGA20よりは強いだろう。まぁ銃の強さというのは使い方や距離で変わってくるから断定的にどれが強いとは言えない」
レイテットは銃に関しての話はよく分からず、首を傾げるしかなかった。雛は民家人であるレイテットには難しい話ということで、仕方ないか、と心中で思う。そうして雛はAEK971を確保した。
「ん?」
弾薬箱のすぐ横にスコープが置いてある。それに気付いた雛はスコープを拾い上げた。
「これはひょっとして付けられるのか?」
雛は試しにとAEK971にスコープ付けてみる。慣れない銃に若干苦戦しながらも結果的にスコープは付いた。
「アイーラ、この銃を使え。この銃ならスナイパーとしての役割をAK47よりはこなせるぞ」
雛はアイーラにスコープの付いたAEK971を渡した。状況に流されるままにアイーラは受け取ってしまう。
「新しい銃……やった!」
アイーラは新しい銃を手に入れ、喜んだ。さながら新しいおもちゃを得た子供のような喜びである。
そしてAK47はというと、まだ手放さないでアイーラの手の中にある。ずっと使い続けてきた銃、そしてここにいるみんなの背中を守ってきた銃でもある。アイーラはAK47に対して愛着が湧いていたのだ。
「これで二つ、いぇーい」
「弾薬を忘れるなよ。一つ三十発入りのカートリッジが三つ。弾薬箱にある弾薬も数えて、全部で二百発はあるな」
AK47とAEK971を両手で抱えて、ニッコリするアイーラ。その左手にはピースがあった。
「リュックサックに入れる、良いか?」
「うん、良いよーん!」
雛は持って帰るのを忘れぬようアイーラからAEK971本体を受け取り、その使用弾薬の入った弾薬箱とカートリッジをAEK971と一緒にリュックサックに入れた。
「これは?」
取る物は取り終えた。後は違う教室に行くだけだが、雛はロシア語で書かれた誰かの書置きを見つけた。
雛はロシア語が読めないため「これ、日本語訳出来るか?」とレイテットに書置きを渡した。レイテットは「うん」と頷き、ロシア語で書かれた書置きの日本語訳を始める。
「余った銃はここに置いておく、好きなように使ってくれて構わない。私はスペツナズ一仲間想いでバカなナイフ野郎を迎えに行ってくる」
レイテットは読み終える。短い文。ただの書置きと見て間違いない。
そしてバカなナイフ野郎。
彼女たちはサッパリ分からず、すぐに不要な記憶となる。しかし雛には心当たりがあった。
「アイツか、バカなナイフ野郎」
雛は思い出す。
ミサイル車に化けていたスペツナズ隊員。弾丸を弾いてきたナイフの達人。左手にナイフを突き刺し、トラウマを呼び起こした脅威。
バカなナイフ野郎とは紛れもない雛が戦ったナイフの使い手であるスペツナズ隊員だった。
強敵と思えた相手がどういう人間か判明した今、雛は強敵だったスペツナズ隊員の記憶を閉じた。そうして頭をクリアにして、今なすべき事を行動に移す。
「他にはなにかあるか?」
「ないよ!」
「よし、違う教室に移動するぞ」
取る物を取り終え、生存者たちは調べ終わったこの教室を出ていく。そうして今度は向かい側にある教室へと入り込む。
SAIGA20を構えた雛が先頭を進み、警戒を怠らず、付かず離れずで教室の隅から隅までを探索し始める。
「なにかあったか?」
武器となる物をなにも発見出来なかった雛がレイテット、アイーラ、美保に訊く。少しして彼女たち三人から返ってきた言葉は「なにもない」だった。
「ここにはなにもないか、次へ行こう」
「はーい!」
「ほいほい」
「そうね。ここにはなにもないし、行きましょう」
生存者たちは早々に次の教室へと進むが、結果的になにもなかった。
教室の扉からひょっこり顔を出した雛を先頭にして、生存者たちは次の教室へと向かう。しかしその教室も武器となる物はなにもなかった。
「見事になにもないわね、ここも」
「そうですね……次に行きましょう」
雛と美保が現状をそのまま口に出して、次の教室へ向かう。が、その教室も武器となる物はなにもない。
その次の教室も同じくなにもない。そのまま生存者たちは六つ全ての教室を調べ終わった。結果、最初の部屋以外武器となる物はなにもなしである。
「書置きを書いた人間の武器しかないね……軍隊さんの武器はどこに行ったんだろう」
「たぶん、ここに駐留していた軍は書置きを残した人間がここに武器を置くより前に撤退したのだろう。仮に『PODE』が食っていたとしたら今こうやって校内に侵入する前に銃撃戦が始まっている。ここは『PODE』の要塞になっているはずだからな」
行方の知れない軍の武器。レイテットの疑問を紐解くように雛が推測する。
「なるほどね。死にたい軍人なんていないもんね」
雛の説得感のある推測でレイテットは納得する。
残念な結果には間違いない。しかし美保の「武器と弾薬が一セット手に入っただけマシじゃないかしら?」という言葉で生存者たちは妥協するしかなかった。
そうして生存者たちは二階の探索に移るために教室から出た。
「後は二階だけだ。行こう」
「はーい!」
「うんみゅ!」
「ふふ、私が前を照らしてあげるわ」
気を取り直した生存者たちは二階へ進む階段に足を進める。その矢先だった。
「うあぁぁぁ!!!」
二階からの悲鳴。しかもその声は若い。
「まさか二階に学生がいるのか!?」
「とにかく行こう!!」
誰かを救いたいという己の正義感を持つレイテットを先頭にして生存者たちは他の生存者を救うため、階段を駆け上がっていく。




