第三十七話 包囲突破
思い切って次回予告したものの、結局違うサブタイトルになっちまっただよ(・ω・)
鳴り響く銃声。無数の死者をコピーした『PODE』の唸り声。彼女たちの声。
それらの音は建ち並ぶ民家から発せられていた。
そう、強引な突破は始まっていた。
「だああぁぁぁー!!」
レイテットの銃剣突撃が決まり、片腕が欠けた人型『PODE』の『シールド細胞』に突き刺さる。そのままレイテットは引き金を引く。途端にドラグノフの銃口から弾丸が放たれ、『シールド細胞』を貫き、破壊。あっという間に『PODE』は蒸発する。
「一体目!」
レイテットは忘れないように倒した数を口に出し、次の敵を探る。一番近い敵を探し、見つける。
次の敵を見つけたレイテットは銃剣の先端を煌めかせ、敵に向けて銃剣突撃を繰り出す。その走りは馬の如し。舗装された道路の上を駆け抜け、すぐに二体目の『シールド細胞』を貫く。
「潰す!」
再びレイテットはドラグノフの引き金を引く。銃口から放たれた弾丸が『シールド細胞』を破壊し、二体目の『PODE』を蒸発させる。
「二体目!」
レイテットは次の敵に目を向ける。しかし周りには十体ほどの『PODE』が近付いていた。まさに包囲されている状況だ。ここで銃剣突撃を繰り出せば、その隙に『PODE』に食われる。だが、レイテットは〝食われる〟という危険を知らない。そのまま一番近い敵に銃剣突撃を繰り出す。
「うぉらああぁぁー!!」
舗装された道路の上を駆け抜け、三体目の『シールド細胞』に銃剣を突き刺す。そして引き金を引き、放たれた弾丸は『シールド細胞』を破壊。三体目の『PODE』を蒸発させた。
「ウゥゥ……」
唸り声がレイテットを囲む。銃剣突撃により、レイテットは敵陣に入り込みすぎていた。完全に包囲され、自力では脱出出来ない。
『PODE』たちはレイテットを包囲したまま近付いていく。後少しでレイテットは食われ、消化され、存在を『PODE』に奪われる。
「させない」
アイーラの一言の下、AK47から7.62mm弾が放たれる。丁度二体重なっている『PODE』に弾丸は向かって行き、貫通力のある7.62mm弾は容易く二体の『PODE』を射抜いた。そして二体同時に蒸発する。
「次、仕留める」
アイーラはレイテットに近付く『PODE』たちに狙いを定め、引き金に指を掛ける。そして引き金を引いた。放たれた弾丸は空を切り、『シールド細胞』を確実に破壊する。
アイーラは引き金を引き続ける。放たれた弾丸は一発一発確実に当たり、確実に『PODE』たちを蒸発させていった。
「次、次、次」
広がる発砲音。撃っているということをアイーラに実感させる発砲炎と反動。放たれた弾丸が『シールド細胞』を確実に破壊、『PODE』を蒸発させる。
それらが繰り返され、レイテットを包囲していた『PODE』たちは全て蒸発した。しかも十秒足らずの殲滅。まさにアイーラの射撃スキルが人並み外れて高いことを物語っていた。
「次いくよー」
気の抜けた言い方で、アイーラは次の敵を狙う。屋根の上にいる『PODE』に狙いを定め、発砲。屋根にいた『PODE』は『シールド細胞』を射抜かれて蒸発する。
「アイーラちゃん!」
アイーラの背後に顔の半分がない『PODE』が迫る。それに気付いた美保は軍用スコップで『PODE』を殴り付け、倒した。そのまま倒れた『PODE』は美保の持つスコップの先端によって『シールド細胞』を突き刺され、蒸発する。
「アイーラちゃん、大丈夫?」
「大丈夫。後ろは任せたよ、美保さん」
「うん、任せて」
美保はアイーラに離れず、その場を維持する。
軍用スコップを強く握る。そして年長者として年下を守るという強い意志を持ち、アイーラに近付いてくる『PODE』を蒸発させていく。
「うっ……!」
一体の『PODE』が美保の死角から音もなく組み付いた。『PODE』のスライム状の身体が美保の身体を徐々に包み込んでいく。
「くっ……あぅ……」
『PODE』が完全に美保の動きを封じ込める。全く身動きが出来ない美保は押し倒されようにして取り込まれ続ける。そしていよいよ口元まで取り込まれ、口を封じられる。
「がっ! ごぼっ……!」
美保の口の中に『PODE』の身体の一部が入り込む。それ自体に害はない。しかし口を封じられれば、息が出来なくなる。
呼吸の出来ない美保は『PODE』の身体の中で、もがき苦しむ。
「美保さん!」
レイテットの声が響く。ズブっという刺突の音が美保の耳に入った。
「こんにゃろー!!」
直後、ドラグノフから発砲音が響き渡る。発砲音が消えると美保を取り込んでいた『PODE』は蒸発した。
『PODE』から解放された美保は息を荒げて咳をした。咳と共に美保の口に入れられたスライム状のものが吐き出される。
「ありがとう、助かったわ」
「さぁ早く立ってください。敵はまだわんさかいます」
「全く……人気者は困るわね」
「良いじゃないですか、人気者。全部ブッ飛ばせるんですから!」
「それもそうね。続き、行くわよ!」
気合の入ったレイテットと美保は戦いに戻る。レイテットは再び敵の中を突っ込み、美保はアイーラの背中を守る。
それぞれが得意なことを役割にして、彼女たちは戦い続ける。
「五体目!」
レイテットが五体目の『シールド細胞』を貫き、発砲。あっという間に蒸発させる。
「もらい」
アイーラの放つ弾丸が次々と『PODE』を蒸発させていく。
「そこっ!」
美保の気合の入った殴打が『PODE』を倒れさせ、尖った先端を『シールド細胞』に突き立てる。心臓部である『シールド細胞』は破壊され、『PODE』は蒸発する。
彼女たちはひたすらに戦い続ける。
銃声を響かせ、気合の入った怒号を響かせ、足音を響かせ、稀に敵から出る断末魔を響かせる。
「後二十体」
「はいよ!」
「一気に決めるわよ」
アイーラとレイテットはリロードをして、武器を構え直す。美保は全身に力を入れ、前に一歩踏み出す。
「敵、全部こっちに来る」
彼女たちの眼前に映る二十体もの『PODE』が走り始めた。全てが全力疾走の勢いだ。
レイテットとアイーラは迎撃の構えを取り、全力疾走で迫ってくる『PODE』に対して発砲を開始した。次々と『シールド細胞』を射抜き、『PODE』は迫ってくる間に減少していく。
「ごめん、弾切れた! リロードする!」
「はーい」
レイテットがリロードしている間にアイーラが発砲を続ける。
人並外れた射撃スキルによって弾が続く限り、確実に『シールド細胞』を射抜き続ける。
「リロードするよん、カバーお願い」
弾倉にたった十発しかないAK47の弾がなくなり、アイーラはリロードを開始する。
残った『PODE』は二体。全力疾走の勢いはなくさず、迫ってきている。
レイテットとアイーラはリロード中。そのため、美保が前に出た。
「来なさいよ」
軍用スコップを構え、気合を入れて迎撃に出る。
残った二体は全力疾走の勢いをなくさないまま美保に飛びかかる。美保はその一瞬を狙う。軍用スコップを思い切り振るい、一体目の『PODE』を殴打、そのまま二体目の『PODE』にぶつける。
唸り声を上げる二体の『PODE』は当時に倒れ込んだ。
「もらった!」
倒れ込み、隙だらけの『PODE』に対して美保は軍用スコップの尖った先端を突き立てる。二体どちらも美保の手によって蒸発。それまで包囲していた敵の集団は彼女たちの力によって消えた。
「これで、片付いたかしら?」
美保は振り返り、アイーラに訊く。
「うん。もう敵はいないよー」
アイーラは答える。
レイテットと美保はアイーラの言葉を信じて、緊張を解いた。当のアイーラも緊張を解く。
「美保さん、アイーラ。雛君助けに行くよ!」
「うん!」
「そうね、食われない内に早く行きましょう」
彼女たちは雛を救出しに、蜘蛛型の『PODE』が逃走したルートを辿って行く。
いよいよ蜘蛛型との対決でございます!




