第三十三話 雛、ゲームをする3
よっし、段々と更新ペースが上がってきた!(`´)
ゲームの日、三日目。
新しい太陽。新しい陽射し。それが部屋の窓から差し込む。
新しい朝、新しい一日である。
「ん?」
夜遅くまでゲームしていて寝落ちしてしまった雛が目を覚ます。しかし目を覚ました場所はレイテットの部屋ではなく、アイーラの部屋だった。
床で寝ていた雛が身体を起こす。起きて早々周りを確かめる雛は娯楽で埋め尽くされた二つの棚を見つけ、この部屋がアイーラの部屋だと認識した。
「んー?」
ベッドで猫のように丸まって寝ていたアイーラが雛の出す音に反応して目を覚ます。
「ほわぁ!? なんでここに!?」
「すまない。いつの間にかここで寝ていた」
「ふ、ふーん……」
アイーラは猫のように警戒し、雛を睨みつける。
「どうした?」
「いや、特になにもないけど……私の身体になにかした?」
「してない」
「ふーん、それなら良いけど」
そう言うと、アイーラは警戒を解いた。アイーラの防衛本能がよく理解出来ていない雛は首を傾げることしか出来ない。
「ゲームはどこへ?」
雛の手元にあったはずであろう携帯ゲーム機がない。雛は失くしたかと思い、携帯ゲーム機を探し始める。
その様子を見ていたアイーラは「あー、ゲーム機なら充電しといたよー」と、雛に伝えた。
「流石だ、アイーラ」
「えっへん! もっと褒めても良いんだよ?」
雛から放たれた褒め言葉を受け、アイーラは天狗になった。しかし雛はそれ以上褒めない、褒められない。褒め言葉が見つからないのだ。
「お邪魔した、俺はリビングに行ってくる」
雛はそう言ってアイーラの部屋から出て行った。
「むー、もっと褒めてよー」
雛を追うようにしてアイーラもリビングへと向かう。
リビングでは先に起きていた美保とレイテットが席を隣り合って、なにやらゲームをしている。
「おはよう!!」
雛とアイーラに気付いたレイテットは底抜けに明るい挨拶をした。その挨拶に遅れて美保も「おはよう、二人共」と挨拶をした。
二人は「おはよう」と口を揃えて言い、挨拶を返した。そのまま雛とアイーラはテーブルの席に着く。
「そういえばもう三日目かぁ、雛君の言ってた救出部隊来るの遅いわね」
「到着が遅れているのかもしれない、だから待つかしない」
雛を見て、ふと救出部隊のことを思い出した美保が不安を漏らした。
雛は待つしかないと言うしかなかった。
絶対に来る、という言葉は付けらない。だからと言って、来ない、とも言えない。希望を持たせた後に絶望に追いやるのは酷。しかしその逆も酷。その酷なことを理解している雛は断定的なことはなに一つ言えず、あやふやに会話を終わらせるしかなかった。
「まぁ、待っている間はみんなでゲーム出来るから良いじゃないですか!」
雛が内心困っているところに意図していないレイテットのフォローが入る。
美保の気が救出部隊からゲームの方へと向き、雛は難所をくぐり抜けた気持ちになっていた。
「ゲームなにする?」
アイーラが訊く。
レイテットと美保は悩み、そしてなんのゲームをするか決める。
「あれだ!」
「たぶん今の状況にはぴったりかもね」
「んー、あ! あれね」
レイテットと美保は一致した同じゲームを思い浮かべ、アイーラはそれを察したようになんのゲームか分かった。
彼女たちがなんのゲームをするか分かっているが、雛はゲームのことなど毛ほども分からない故になにをするのか全く分からないでいた。
「それじゃあ、準備しましょうか」
「はいはーい!」
「ほーい」
彼女たちは準備に乗り出し、各々の自室へと戻る。
アイーラは棚からゲームソフト二本と携帯ゲーム機二個を持ってリビングに素早く戻ってきた。後のレイテットと美保は自分専用の携帯ゲーム機とゲームソフト一本ずつを持ってリビングに戻ってくる。
そのまま準備を進め、ゲームソフトをそれぞれの携帯ゲーム機へと入れた。
「準備完了! みんなでやるよー!」
レイテットが元気良く言い、遊ぶ準備は完了された。
彼女たちは一斉にゲームを起動し始める。ゲーム画面に映されたのはミリタリーチックなオープニングである。
「雛君、やるよ」
アイーラは警戒をしながら雛に携帯ゲーム機を渡した。受け取った雛は「どうした」と一言言って、アイーラの顔を見る。
「ど、どうもしてないからゲームの方を見ててよ!」
「了解」
アイーラに言われた通り、雛はゲーム画面の方に視線を移した。アイーラは雛がゲーム画面に視線を移したことを確認して警戒を解き、ゲーム画面に視線を移す。
「このゲームはなんだ?」
雛の質問。その質問にレイテットが答える。
「あ、これはミリタリーなゲームだよ!」
「ミリタリーとは……前線で戦うのか? それとも指揮して戦うのか?」
「前線で戦うよ!」
「なるほど」
レイテットからゲームの情報を受け取った雛は早速ゲームをスタートさせた。ゲーム画面ではメニュー画面が映っており、雛はどれを操作して良いか困っていた。
困っているところにレイテットが「みんなでやるからマルチプレイを押して」と指示を出し、雛は迷いなくマルチプレイを押す。
そしてそこから準備画面に移る。準備画面では各種装備の項目が出ており、その項目の横で彼女たちそれぞれのカスタムされたアバターが表示されていた。雛はというと、まだ初期状態のアバターである。
「雛君、私たちは既に準備出来ているからさっさと準備を済ませてねー」
アイーラは言い、雛は各種装備を整え始める。
最初に整えるべきは武装である。雛は各種武器に目を通し、メインにアサルトライフルであるL85A2、サブにP229を装備。
次に衣服は迷彩柄の戦闘服を装備、ヘルメットも忘れずに装備した。そしてバラクラバと防弾ゴーグルを付けて装備はバッチリだ。
出来上がった見た目からしてイギリス軍の兵士、今の雛の気分は紅茶である。
「よし、準備出来た。ちなみに指揮官は誰だ?」
雛の質問が飛んだ。
レイテットとアイーラの視線が美保の方へ向く。雛は二人の視線で察し、美保が指揮官であることに気付いた。
「ふふん、この私が指揮官よ。みんなを勝利に導いてあげるわ!」
美保が調子に乗ったままミッションがスタートする。
ミッション内容は地下歩行空間を占拠した敵の全滅だ。
全員それぞれミッション内容に従って行動を開始する。
「一番に突っ込むよ!」
「分かったよん、援護する」
真っ先にレイテットは敵陣に突っ込み、アイーラはレイテットを援護する形で狙撃している。
そして指揮官である美保は、指揮など放っておいて別行動をしていた。
「美保さん、指示をお願いします」
「え?」
「?」
雛は指示待ちをしており、美保に指示を求めた。しかし美保は首を傾げた。雛も首を傾げるしかなかった。
「指揮官殿、指示をお願いします」
先ほどの言い方では伝わらないと思った雛は言い方を変え、再度指示を求めた。しかし美保は「え?」と首を傾げた。雛も首を傾げるしかなかった。
「あの、指示を……」
「えっと、じゃあ私に付いて来て」
「了解」
やっと来た指示を受けて、雛は美保の後ろを付いて行く。
移動して十秒ほど、雛と美保は敵と交戦を始めた。
「二人仕留めた」
雛は慣れないスティック操作で苦戦しながらも淡々と敵を倒していく。対して美保はスティック操作慣れしているが、敵との交戦で苦戦していた。
「大丈夫か?」
「この私がこの程度でやられると思っているのかしら?」
「だが、HPバーが真っ赤だ。後一発でも被弾すれば死亡するのでは?」
「うぐっ」
自信満々で言うが、美保は痛いところを雛に突かれた。
「やられたら蘇生お願いね」
「了解」
美保と雛はペアになって敵陣を前進して行き、敵を倒していく。
それからしばらくしてミッションは終わった。
レイテットと美保は満身創痍、雛とアイーラはほとんど無傷でミッションを終えていた。
「酷くやられちゃったけど、気を取り直して次のミッションに行くわよ!」
「はーい!」
「おっす」
「了解」
みんなで楽しむゲームの時間。今日はそれで埋め尽くされ、生存者たちは楽しんでいた。
しかし楽しい時間は過ぎて行く。
人が訪れる気配は全くない。救出部隊も来なければ、航空機さえも上空を通らない。
いよいよ生存者たちが動き出さなければならない時間である。
ちなみに今の私も紅茶気分である(パンジャンで紅茶キメた)




